【インタビュー】AREA51「極限まで詰め込める本場の人たちのプレイで強力に進化できた」

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■最近はリラックスして遊びを入れた曲も作れるようになってきた
■遊びを入れても自分たちのスタイルは崩れないと思えるようになった


――歌詞を日本語にするのもAREA51のこだわりですよね。こういうへヴィなロックだと英語の方が乗りやすいという人も多いと思いますが。

Kate:最初の2枚くらいまでは、日本語があまり乗りやすくない曲も多くて歌詞を乗せるのに苦労もありましたけど、私は子音の発音が上手くなくて母音が強調されやすいのでそこを逆手に取って工夫していました。でも今回の曲については英語のほうが乗りやすかったので、部分的に英語を使ってみましたね。初めての試みで楽しかったです。

石野:最初のころは、単に曲に対して欲しいメロディをそのまま歌ってもらってたんですけど、前作くらいからは、Kateのどういう歌が欲しいとか、Kateがこう歌ったら面白い、というのを考えて作るようになってきたので、今はたぶん乗せやすくなってると思いますよ(笑)。

――歌のことで言えば、へヴィロックにありがちなシャウトではなく、ほとんどきれいな声で歌ってますよね。

石野:シャウトではなくてきれいな歌、というのが当初からのコンセプトだし、そのためにKateに入ってもらってるんで。だから曲を作るときもそれはイメージしてます。

Kate:私は子供の頃に合唱をやっていて空気感のある歌い方はその時覚えました。その後J-POPの高い声の曲とかも歌えたんで、音域が広い意識はありましたね。高くても透明感のある高い声を、地声に近いミドルな声とミックスさせたら面白いだろうと思っていつもそれを念頭に、全身で空気入れて。喉で歌うのだけは避けてます。なので地声を聞かれると歌ってる声と全然違うと言われます(笑)

――収録曲の中でもっとも引きつけられたのが「The Devil's Own」という曲でした。ご自身で設立したレーベルの名前も同じですが、なにか特別な意味のある曲ですか?

Kate:曲が先にできたんですけど、言葉の意味がすごくよかったし、私たちの代表曲みたいな感じになりそうだったので、そのままレーベル名にもしたんです。こういうミディアムテンポのへヴィな曲ってすごく好きですね。

――この曲はシンセも多用していてゴージャスな雰囲気だし、このアルバムの中でもとくにポップに感じます。

石野:高速のナンバーだと、それでガッツリいく、いかなきゃいけないって感じですよね。初期のころは僕らにとってもそれがすべてだったんですけど、最近はもっとリラックスして、遊びを入れた曲も作れるようになってきたんです。遊びを入れても自分たちのスタイルは崩れないと思えるようになったというか。色々やってみると、これはこれでけっこう面白いし、この曲はそれが上手くハマった感じで、今回の核になってる曲ですね。

――AREA51というと高速ナンバーとか超速弾きのイメージがありますが、この曲を聴くと、石野さんの頭の中に流れているのが速いものばかりではない、というのがよくわかります。

石野:そうなんです。それが一番現れたのがこの曲だと思います。

――「The Vampire's Agony」や「Save Our Roots」のような高速ナンバーが好きなファンも多いと思いますが、ギタリストが二人いるようなソロの受け渡しからキーボードソロへのドラマチックな展開など、どちらもインスト部分のカッコよさが際立ってます。こういうのを聴くとインストナンバーも聴いてみたくなりますね。

石野:ただ、やはりAREA51はこの二人のプロジェクトなので、基本は歌モノということなんです。以前はもっとインスト部分を重視した大曲もやっていたし、興味がないわけじゃないんですよ。次回以降は入れるかもしれません。

――AREA51のサウンドは海外でも評価が高いですよね。どんなところが受けてるんだと思いますか?

石野:“ここまでやるんだったら歌詞も英語にしたら?”と言われることもあるんですけど、メタルの英語の歌になっちゃったら海外では普通なんですね。ここまでガッツリやってる曲に聴いたことのない日本語、しかもメタル的じゃない歌が乗ってるっていう、それが他にないから受けてるんだと思います。すごくエキゾチックだと思って聴いてるんじゃないかな。

――日本ではギターのテクニック重視のリスナーが多いってよく言われますよね。

石野:そうですね。曲を作るときはギタリスト目線じゃないんですけど、ギターを入れるときにはそのことも意識して弾いてます。あくまで作曲家の目線から見た許容範囲の中でですけど、ギターのテクニックもマックスで追求しますね。やはりギタリストとしてのプライドもあるんで。

――このアルバムで、そのプライドが現れた部分ってどんなところですか?

石野:ギタリストとして弾いていて気持ちがいいという意味でいえば、バラードですかね。あとは自分のギターソロで引っ張ったあとに、マットのキーボードソロに切り替わるところ。オレがこう弾いたあとにこう来るかっていうのがとくに気持ちいいですね。テクニック的には、単純に速さだけで押し切ってるところもありますけど、サラッと聴けるところなのに実は難しい、普通は弾けないとか、そういうのがたくさん詰まってると思います。

――そういうのが本当は一番難しいところですよね。

石野:そうなんです。僕はギターという楽器の論理に縛られたくないと思ってるんです。奏法とかピッチの間隔とか運指とか、そういうギターの制約に縛られたくないんです。ギターの奏法でこのアルペジオがハマるから入れよう、とか、このスケールを入れよう、じゃなくて、欲しいメロディとか欲しい音があるからそれをギターで弾いているだけ、という。もちろん、ギターの論理でギターを弾くのもロックギターのカッコいいところですけど、そうじゃないところも提示したい、そういう気持ちはありますね。

――とはいえ、ギターキッズはギターのテクニック、とくに速さに注目しますよね。速く弾く秘訣ってなんですか?

石野:速くても音の長さがあるってことを意識するのが大事だと思います。32分音符にも32分音符のぶんだけ長さがあるので、その長さをちゃんと感じるという。長さ、響きを感じることはとても大事だと思ってます。

――次作の構想など、今後の予定が決まっていたら教えてください。

石野:次作については、このアルバムの手ごたえ、色々な人のリアクションを感じながら考えることになると思うんですけど、コンセプトが変わることはないですね。今回4枚目でこんなスゴいメンバーでやるってところまで来れたので、次も色々な人とやってみたいし、また今回とは違った新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。

取材・文●田澤仁


『Judge the JOKER』
2014.11.12リリース
DQC-1395 税込価格¥2,700
1.The Phantom
2.The Vampire's Agony
3.Over the Rainbow
4.FALSA LUCE
5.CALL MY NAME
6.The Devil's Own
7.Valkyrja
8.No More Pain
9.Sang Noir
10.Fly away from the flower
11.Save Our Roots

◆AREA51 オフィシャルサイト

◆インタビュー(1)へ
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