カメラ用レコーダーTASCAM「DR-70D」&「DR-60DMKII」で実現する「良い音」の世界、ティアックが新製品紹介イベントを開催

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ティアックは、カメラでの映像撮影時の音声収録をターゲットとしたリニアPCMレコーダー/ミキサー「DR-70D」、「DR-60DMKII」をTASCAMブランドで11月下旬より発売する。この発売に先駆けて「映像制作に特化したオーディオレコーダーで実現する『良い音』の世界」と題したイベントが、ゲストにふるいちやすし氏を迎えて開催された。

「DR-70D」、「DR-60DMKII」は動画撮影用として現場に必要な機能・仕様を盛り込んだレコーダー。昨年3月に発売された「DR-60D」に続く、動画撮影に特化したモデルだ。

昨今のデジタル一眼レフカメラの多くはステレオマイクを内蔵したり、マイク用端子を設けているが、音質的には専用のレコーダーにはかなわない。また、複数のマイクを使った高度なセッティングにも対応できない。そこで音楽用のレコーダーにはない、動画撮影用の機能を備えて登場したのが「DR-60D」だった。今回の新機種2モデルはその上位機種となる。いずれもTASCAM独自の「HDDA(High Definition Discrete Architecture)マイクプリアンプ」を搭載、96kHz/24bitまでの録音に対応する。

「DR-70D」は、ステレオ内蔵マイクと4つのXLR入力で思い通りのセッティングができるモデル。本体上面にカメラを取り付けるネジとホットシューが設けられている(取り外しも可能)ほか、カメラ上部にホットシューで取り付けることも可能。開発時のこだわりとして、音楽用のDRシリーズから内部のメニュー構造を見直し、動画撮影の現場でより直感的に必要な項目にアクセスできることも語られた。4入力2出力のミキサーを内蔵し、4chのマルチ録音またはステレオミックスの録音が可能。価格は33,000円(税別)。

一方の「DR-60DMKII」はすでにマイクを複数所有しているユーザー向けのモデルで、マイクは内蔵しない。ファントム電源対応のXLR入力×2、ステレオミニジャック入力を装備、4トラック同時録音に対応する。4入力2出力のミキサーを内蔵、ミキサー用途での使用も可能。価格も22,000円(税別)と、より手頃な価格で購入できるモデルとなっている。


▲マイク内蔵のDR-70D(左)と、XLR×2/ステレオミニ入力を備えたDR-60MKII(右)。本体サイズ(W×H×D)/重量はDR-70Dが199×55.2×106.5mm/530g、DR-60MKIIが133×93.2×78mm/510g。


▲DR-70D。本体上面には取り外し可能なカメラ用スクリューとホットシュー、底面には三脚用ネジ穴を用意(DR-60DMKIIも同様)。外部マイク用のXLR端子は左右側面に配置される。

デジタル一眼レフカメラによる映像製作のワークフローとして紹介されたのは、「DR-70D」を取り付けたデジタル一眼レフカメラでの映像+音声収録。「DR-70D」のステレオ内蔵マイクで収録すると同時に、「DR-70D」のカメラアウトからデジタル一眼レフカメラの外部入力端子に音声を出力、カメラ側でも録音。編集時にはカメラ側の音声をガイドとしてタイミングを合わせ、「DR-70D」で収録した音声を最終的に使うという流れだ。「DR-70D」にはスレートトーンと呼ばれるタイミング合わせ用の「ピーッ」という信号音を発生するジェネレーターを搭載する。いわゆるカチンコの機能を担うものだ。録音開始、停止時に加え、任意のタイミングで発音することが可能。これにより非常にカンタンに音声の位置合わせができることが紹介された。


▲左はカメラ撮影時のセッティング例。右の画面はビデオ編集ソフト。下の緑が「DR-70D」の音声、その上のトラックがカメラの収録音声。録音開始位置のスレートトーンで位置をカンタンに合わせることができる。

続いて、映像作家、音楽家、作曲家として数々のサウンドトラック制作、アーティストへの楽曲提供を行っているふるいちやすし氏がゲストとして登場。自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までこなすマルチプレイヤーである氏は、以前からTASCAMの「DR-100」を映像収録時のフィールド録音に使用、「DR-60D」の登場でスレートトーンをはじめとする機能やセッティングにおいてカメラとのマッチングがよくなったことに触れた。また、最新モデルの「DR-70D」については、内蔵ステレオマイクは無指向性なので、使用前はステレオ感のない音をイメージしていたが、実際に試すとしっかりとステレオ音像になっているほか、指向性のムラがなく、その場に立っているようなナチュラルな音声が収録でき、感動したとコメントした。

実際の映像&音声収録の例として紹介されたのは、海岸でのギター演奏の収録。海の大きい音と繊細なアコースティックギターを同時に収録するというむずかしいシーンだ。デジタル一眼レフカメラに取り付けた「DR-70D」の内蔵マイクと、業務用ビデオカメラに取り付けたガンマイクを使用。海の音を含むその場の音をメインするたためにあえて「DR-70D」をメインとし、ガンマイクはギター専用として補足的に使用。両者をミックスして仕上げられた映像・音声は、その場の空気感をしっかりとらえつつギターの音もはっきりと聴こえるもの。まさに映像にマッチした、臨場感溢れる音となっていた。こうした収録を無理なく可能にしたのが、「DR-70D」の機能だ。


▲海岸でのギター、波音の収録の例を紹介。DR-70Dをカメラ上部にセッティングして内蔵マイクで狙うほか、ビデオカメラとガンマイクも使用。対象物にあわせ角度などを調整する。

多くのカメラでは外部入力がマイク入力専用となっているため、これまでの器材ではアッテネーター挟む必要があるなど、インピーダンスマッチングに苦労したが、「DR-70D」はそんな苦労とは無縁。ヘッドホンのボリュームとは別にカメラへの出力レベルが調整できるので、どんなカメラでもカンタンにレベルマッチングができるとした。また、スレートトーンの使い方も紹介。録音開始時の発音とは別に任意のタイミングで発音できる機能を使い、録音を継続したままテイク2では2回発音するといった柔軟な運用ができることを示した。さらにカメラ本体での収録音をモニターするための端子(CAMERA IN)も用意されているので、ヘッドホンを抜き差しせずに確認できることも利点として挙げられた。

加えて「DR-70D」本体の形状にも言及。「三脚とカメラの間にものを挟むのは好きじゃない、安定性を担保したい」という氏は、「アクセサリーキットの利用で本体下部にシューが付けられるので、重心が高くならず安定するのもいい」とカメラの上にレコーダーを配置する自身のセッティングを紹介、「そのために平べったく作られたんだろうなあ」とコメント。ディスプレイが撮影者側を向いて配置されているので、カメラのモニターを見る際に視線を動かさずにレコーダーもチェックできるの点も専用機ならではのポイントとして挙げた。

「(音声の)録り方についてはクリエイターはもっと研究していかなければならない」という氏は、アフレコではなく現場で音声を収録することは、役者の思い、そのままの声や場の空気を残すこと、「フィールド・レコーディングをこれからもやっていきたい」とし、そのための機能がレコーダーに備わってきたことは「ありがたい」。映像は4K、8Kと進化しているのに対し、「音をもっと高める」ためにまだやることがあるはず、そのためにこれからもTASCAMのレコーダーを使っていきたいとも。「とにかく音をよくしようよ(笑)ということ。たぶん、フィールドレコーダーを撮影現場に持ち込んでまで、っていうモチベーションはまだまだ映像クリエイターに足りないと思ってるんです。だから、そこをちょっとみんなで気持ちを高めていく手助けをしていただきたいと思ってます」。


▲イベント会場には、カメラ、外部マイク、オプションなども合わせたDR-70D(左)、DR-60MKII(右)のリグも展示。写真右のカメラ上部に取り付けられているのはカメラ用のX-Yステレオマイク、TASCAM TM-2X。

◆DR-70D
価格:オープン(市場予想価格 33,000円 税別)
◆DR-60DMKII
価格:オープン(市場予想価格 22,000円 税別)
◆AK-DR70C (DR-70D専用アクセサリーキット)
価格:オープン(市場予想価格 5,500円 税別)
発売日:2014年11月下旬

◆DR-70D 製品詳細ページ
◆DR-60DMKII 製品詳細ページ
◆AK-DR70C 製品詳細ページ
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◆BARKS 楽器チャンネル
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