【ライブレポート】約4時間の音楽の遊び場、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND

ツイート

11月21日(金)、10月6日より始まったOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(以下、OAU)のアルバム『FOLLOW THE DREAM』レコ発ツアーのファイナルが、六本木EX THEATERで行われた。

◆OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND 画像

彼らがオーガナイズするNEW ACOUSTIC CAMPを共に創るCandle JUNEと流木アーティストKSKが装飾を手がけた場内は、まさに六本木の真ん中に彼らのキャンプ・フェスを再現したような雰囲気で、その空間に足を踏み入れただけで開放的な高揚感が湧いてくる。

開演冒頭には<NEW ACOUSTIC CAMP 2014>のダイジェスト映像が上映され、そのなんとも楽しそうな映像にオーディエンスの表情もほころんでいく。映像が終わるとOAUのロゴとツアータイトルをバックに、アルバムジャケットのモノトーンの衣装のメンバーが登場し、大歓声で迎えられた。

1曲目には、いきなりアルバム表題曲「FOLLOW THE DREAM」を演奏。アコースティックギターの綺麗なハーモニーと心地よくも力強い躍動するリズムに、一気に場内の熱が上がっていくのが分かる。2曲目を終え、今やOAUのもう一つの魅力となっているTOSHI-LOWとMARTINの会場を笑いに包む漫談のようなトークが早くも展開。会場スタッフにビールをおねだりし「NEW ACOUSTIC CAMPの映像も観たし、もう2曲もやったから、ここからは、打ち上げです」と乾杯が行われ、さらに会場がひとつにまとまっていく。



しかし、最初からよく飲むメンバーであった。MCのあるごとに、来場者からの差し入れの日本酒、泡盛などを次々と空けていき、メンバーの顔は赤らんでいくのである。

それでも音を奏でれば、旧譜からの「Thank You」や「Freight Train」、今作収録の「N.A.C」などアッパーな曲ではアコースティックとは思えないような迫力とエモーショナルな演奏でオーディエンスを躍らせる。そして「夢の跡」「Ride Today」などのスローナンバーやバラードでは、心を和ませ、そして涙腺を弛ましていく。

今回一番涙を誘っていたのが「朝焼けの歌」だっただろう。震災、津波の被害にあった街を立て直すために働く人たちを想ってつくられたというこの曲には、ツアー初日の石垣島で急遽セッションした地元高校生の三味線奏者、西原和樹がゲストとして招かれた。1771年に約85メートルの津波が発生した石垣島列島の八重山地震の話などが語られた後の静寂の中、ギターとアイリッシュホイッスルの哀愁あるメロディーに三線の音が暖かでありながら悲哀の感情を持ったように響く。TOSHI-LOWの真っ直ぐな歌声はまるで語りかけているようにも聴こえ心に染み入ってくる。悲しみを背負いながらも希望に向かって進む、そんなメッセージがオーディエンスにも共鳴し、涙を流す微笑みが見られたのが印象的だった。

アンコールでは冒頭、KAKUEIがパチカ(アフリカの民族楽器・玩具をプラスチックデイにしたもの)の演奏テクニックで盛り上げると、そこにピエロが登場。サーカスのような空気に一変すると、RONZIとTOSHI-LOWが加わりリズムセッションが始まった。リズムセッションからのアレンジで「Making Time」のイントロに繋がれると、会場が一気に熱を帯びる。さっきまでステージにいたピエロは客席内に現れ、オーディエンスの歓声は瞬く間に最高潮に達していた。

「Pilgrimage~聖地巡礼~」では、再び三味線奏者の西原が登場。演奏で魅了することはもちろん、何か以前約束があったのか、サプライズで西原からMARTINとKAKUEIにサングラスのプレゼント。するとTOSHI-LOWが石垣島から寒い東京に来た西原にジャケットをプレゼントするなど、お互いをリスペクトするサプライズのやり取りもあり、終始アットホームだった彼らのライブを象徴するような一幕があった。

よく笑い、よく踊り、よく泣き、よく飲んだ、そして喜怒哀楽の人間味溢れるライブは、盛り沢山の内容とハプニングが続き4時間に迫る勢い。しかしこのライブは、単にライブとはひとくくりに言えない新しい音楽の楽しみ方だったようにも思う。そして、その音楽を誰よりも楽しみ、誰よりも音楽で遊んでいたのは確かにOAUのメンバー自身であったことが、いかに充実したツアーを重ねて来たかが分かるものであった。『FOLLOW THE DREAM』とは、彼らにとってはライブという夢のステージが続いている、そんな人生を表したような言葉なのかもしれない。

またこの日はファイナルという冠ではあったが、ツアーは<FOLLOW UP TO 東北ライブハウス大作戦>のタイトルを付け、石巻、宮古と続く。そしてステージでは11月28日(金)に大船渡の追加公演も決定したと発表された。震災後に彼らが支援を続けてきた東北の地では、どんな笑顔が溢れるのか。今回のツアーファイナルを体験したことで、想像するとまた顔がほころんでくる。




<OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND TOUR 2014 『FOLLOW THE DREAM』-FOLLOW UP TO 東北ライブハウス大作戦 ->

11月28日(金)@大船渡 おおふなと夢商店街
START 15:00
チケット:¥0(投げ銭制)
Tel 0192-47-5552(RACCOS BURGER OFUNATO / FREAKS)
http://www.go-freaks.com/

11月29日(土)@石巻 BLUE RESISTANCE
OPEN 18:30 / START 19:00
チケット:SOLD OUT
Tel 022-256-1000(ノースロードミュージック仙台)
http://www.north-road.co.jp/

11月30日(日)@宮古 KLUB COUNTER ACTION
OPEN 18:30 / START 19:00
チケット:前売¥3,500 税込み(ドリンク代別途必要)
ぴあ(P: 238-387)、ローソン(L:28260)、e+、tixee
Tel 022-256-1000(ノースロードミュージック仙台)
http://www.north-road.co.jp/

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND『FOLLOW THE DREAM』

2014年9月3日発売初回限定盤(CD+DVD)TFCC-86000 ¥3.500(tax in)
通常盤 TFCC-86000 ¥2.800(tax in)
1.Follow The Dream
2.Broken Glass
3.夢の跡
4.Blind Moonlight
5.Making Time
6.Pilgrimage~聖地巡礼~
7.Ride Today
8.N.A.C
9.Treason Song
10.Clumsy Queen "Isabella"
11.朝焼けの歌
12.Question
DVD
・OAUがオーガナイズに携わり圧倒的なリピート率を誇るキャンプフェス〈New Acoustic Camp〉のハイライトを集めたライブ&ダイジェスト映像。
・まもなく結成10年を迎えるOAUの足跡を辿る、未公開MVを含むMUSIC CLIPS。[Making Time/夢の跡/otherwhere/New Tale/all the way/Thank You/Dissonant Melody]


◆OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDオフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報