【ライブレポート】黒夢、忘れたくない夜の記憶を重ねて

ツイート

去る7月から“最後のロング・ツアー”を展開してきた黒夢。同ツアーの第二節にあたる<TOUR 2014-2015 BEFORE THE NEXT SLEEP『毒と華』>が、12月4日、郡山にて開幕を迎えた。それに先立ち、清春は自身のツイッター・アカウント上で「歴史とは常に忘れ去られ、形を変えながら新しいものとして始まっていくもの」という意味合いのつぶやきを発信。「せめてこの過ぎ去る日々を謳歌しましょう」と述べている。そして同夜、郡山HIP SHOTは、ステージ上も客席も酸素が足りなくなるほどの灼熱状態となり、翌5日、彼らは盛岡にてツアー第二夜を迎えた。

◆黒夢画像

街のあちこちに積雪の跡が残る盛岡。しかし会場となったClub Change WAVEには開演前から熱気が充満。定刻の午後6時半を5分ほど過ぎた頃に場内が暗転すると、そこが数百人収容規模のライブハウスだという現実を疑いたくなるほどの歓声が。宴の幕開けに惜しげもなく据えられた定番中の定番チューン「FAKE STAR」が炸裂した瞬間、その場は熱狂的一体感に包まれた。

ライブ前半、清春は「外はすごく寒いのに、この温度差、狂ってるね」と発言。そして「岩手は何年ぶりだろう?」と言うと、客席から「16年!」という声が飛ぶ。大事なのはその数字が情報として正確かどうかではなく、黒夢にとって盛岡公演が、彼らがかつて誰よりも濃密なロング・ツアーで全国を廻っていた頃以来のものだということ。もちろん言うまでもなく復活後初、ということになる。さらに彼が「岩手の人、盛岡の人はどれくらいいるの?」と尋ねると、フロアにはたくさんの手が挙がる。もちろん近県や遠方からも少なくない数のファンが来場しているはずだが、この場には自分たちの住む街に黒夢がやって来ることをずっと待ち続けてきた人たちがたくさん詰め掛けているのだ。尋常ではない熱気と歓声は、まさに長年蓄積されてきた飢餓感、待望感を裏付けるものだといえる。

10月末まで続いたツアー第一節『夢は鞭』とはひと味違ったセットリストには、観客の誰もが“この曲を聴かずには帰れない”と感じているはずのマスト・チューンの数々も、口をついて“まさか!”という言葉が洩れてしまいそうになる曲も名を連ねている。中盤には清春と人時、ふたりだけでのアコースティック演奏による「NITE&DAY」、そしてこの季節にお似合いの「Merry X'mas, I Love You」も登場。激しさのなかにも、ロマンティックさが薫る。この空気感もまた黒夢のライブならではのものだ。

「SICK」でひとたび幕を閉じたライブだが、当然ながら客席から立ち去ろうとする者はいない。鳴り止まない声援に応え、三度にわたり繰り広げられたアンコールでは、鬼気迫るパフォーマンスが印象的だった「autism」をはじめ、全9曲が披露された。前夜に続き強力なドラミングでバンド・サウンドを支えていたKatsuma(Dr)にちなみ、彼が籍を置くcoldrainがかつて黒夢のトリビュート・アルバム『FUCK THE BORDERLINE』(2011年)でカバーしていた「CHANDLER」も爆裂。そのKatsumaにとってはこの日が“第二夜であると同時に最後の参加日”となり、彼自身にとって忘れ難いライブとなったはずだが、それはサウナのごとき熱のなかで3時間を超えるライブの一部始終を目撃したオーディエンスにとっても同じことだろう。実際、誇張でもなんでもなく、筆者自身の目からみてもこの夜のライブは“過去最高のライブのうちのひとつ”に数えられるものだったといえる。

ステージから姿を消す前に、清春は「盛岡、もっと近かったらいいのにね」と名残惜しさを匂わせながら「ラスト3本(=2015年2月のツアー終盤に組まれた東京、大阪、名古屋での3公演)、遠いけど来てもらえたら」と客席に語りかけていた。少しばかり補足しておくと、そのラスト3公演に限り、会場限定CDが販売されることになっている。

そして去り際の人時は、「忘れたくない日が1日1日増えてる気がします。みんな、素敵だったよ!」という言葉を投げかけていた。そう、忘れられない瞬間ではなく、忘れたくない瞬間。それを重ねていくことこそが、“過ぎ去っていく日々を謳歌する”ということなのだろう。このツアーの次なる舞台は、12月12日と13日の両日に行なわれる京都での二夜公演。間違いなくそこでも、忘れたくない記憶が書き加えられていくことになる。ひとつでも多くの夜を、共に重ねていきたいものである。




TEXT:増田勇一
PHOTO:今井俊彦

<TOUR 2014 BEFORE THE NEXT SLEEP Vol.2 「毒と華」>

12月5日(金)@盛岡Change wave
1.FAKE STAR
2.13 new ache
3.WHITE LUSH MOVIE
4.SOMEONE
5.MIND BREAKER
6.FREE LOVE, FREE SEX, FREE SPEECH
7.A LULL IN THE RAIN
8.NITE&DAY
9.Merry X'mas,I love You
10.アロン
11.heavenly
12.LOVE ME DO
~ 人時 BASS Solo ~
13.MASTURBATING SMILE
14.FASTER BEAT
15.HELLO,CP ISOLATION
16.C.Y.HEAD
17.ROCK'N' ROLL
18.CANDY
19.Sick
ENCORE 1
20.ミザリー
21.DRIVE
22.BEAMS
ENCORE 2
23.CHANDLER
24.autism
25.カマキリ
26.後遺症-aftereffect-
ENCORE 3
27.少年
28.Like@Angel

◆黒夢 オフィシャルサイト


この記事をツイート

この記事の関連情報

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス