【ライブレポート】倉木麻衣、全4時間全36曲のプレミアムライブで「明日も一緒に歩いて行ける」

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倉木麻衣が2014年12月6日(土)、日本武道館にてアニバーサリーライブ<15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” ~Premium~>を開催した。先ごろ公開した速報レポートに続いて、全36曲全4時間の全貌に迫る詳細ライブレポートをお届けしたい。

◆倉木麻衣 画像

1999年12月8日、それは倉木麻衣の日本デビューシングル「Love, Day After Tomorrow」がリリースされた日。そして今日は2014年12月6日、<15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST“一期一会”~Premium~>が日本武道館で行われる日。それぞれが初めて倉木麻衣の歌に出会った時の思い出を胸に、一期一会の喜びを分かち合う大切な記念日だ。会場の外でスタッフが「今日は長いですよ」と笑顔で言う。そして武道館の広い空間に入るとまず目に入るのは、ステージを覆うように作られた巨大な階段状セットと、アリーナの真ん中を占める円形ステージ。16時過ぎ、灯りが消えると同時に湧き上がる“Mai.K!”コール。倉木麻衣とファンが共に歩んできた15年間の思いを乗せた、一夜限りのプレミアム・ライブがいよいよ始まる。

ステージ後方のスクリーンに映し出された、15年間の奇跡を駆け足で辿る映像が2014年に到達した一瞬の後、倉木麻衣が巨大セットの頂上に登場。炸裂する爆発音。大歓声。バンドの演奏と共にダンサーたちがステージに踊り込み、「PUZZLE」のダンサブルで力強いビートと共にライブはスタート。強烈な白いライトが点滅し、ミラーボールが三つ同時に輝く。壮麗なオープニングだ。

「日本武道館! みんな、行くよ!」

衣装というよりは造形物のような、虹色に輝くアーティスティックな服。赤いロングブーツ。長い髪を一つにまとめ、ダンサーと共に軽やかなステップを決める。“もっともっと自分らしく行こうよ!”“みんな手拍子!”と呼びかけ、そのまま「touch Me!」「Wake me up」とアップテンポの曲をたたみかける。声がよく出ている。動きにもキレがある。どうやら今日も絶好調のようだ。

「今日は来てくれてどうもありがとうございます。音の波に乗って楽しんで行きましょう」

曲は「Delicious Way」。この曲を15年後、武道館のステージの端から端まで走り抜けて笑顔で歌う日が来るとは、あの時誰が思っただろう。時代を一気に現代へ戻して新曲「You can」では、さわやかな曲調に乗せてペンライトが一斉に振られる。美しく青い光で武道館が幻想的に輝いて見える。

ここからしばらくは、ミッド/スローテンポのメロウな曲を。続いて「Your Best Friend」、そして「Tomorrow is the last Time」では階段に腰掛け、2本のアコースティック・ギターの伴奏でしっとりと。はかなく消えそうな、しかし力強い芯のあるウィスパーボイスの魅力は圧倒的だ。

「デビューしてから今年で15年を迎えさせていただきました。そして今日は単独ライブ300回記念になります。みなさんが支えてくれたおかげです」「今日という日は二度と返って来ません。みなさんと一緒に、心の奥深くにこの瞬間を刻みたいと思います。LOVEとHOPEを込めて、全身全霊で歌っていきたいと思います」

「Stay by my side」はさっきよりももっと高く、9メートルほど上昇したテレスコタワーの上で。「Reach for the sky」はせつなくも力強く。その次の「Revive」からは再びアップテンポに転じ、三段重ねのドーナツ型に変化するセンターステージの真ん中に隠れて衣装チェンジ。キラキラ輝くラメを散りばめた躍動的な赤いノースリーブで、ラテンのリズムに乗ってダンサーたちと激しく踊る。ファンキーなリズムの「Strong Heart」を歌い終えて一旦ステージを降りたあともバンドの演奏は続き、スクリーンに15年間の様々な表情が映し出される。切り替えが早く、スピーディーな展開で心地よくライブは進んでゆく。

メタリックな質感の、ブルーとゴールドを組み合わせたアート衣装。シルバーのブーツ。「NEVER GONNA GIVE YOU UP」で再登場すると、再び高く、9メートルまで上がったテレスコタワーの上で歌い踊る。高いところは苦手だと言ってなかったっけ……と思いつつ、揺れるテレスコタワーにハラハラドキドキ。そのままラテン調の「Simply Wonderful」へとつなげ、「わたしの、しらない、わたし。」では間奏のわずか数十秒のうちに、セリの下で着替えを済ませて飛び出してくるという早わざを披露。まるでビヨンセが着そうなゴージャスなクリスタル・ビーズの、シルバーとゴールドの輝きが目にまぶしい。

「ここからもっともっと、盛り上がって行こう!」

曲は「Feel fine!」。それまでと異なるオールディーズなロック色の濃い楽曲に、制作当初は戸惑いを感じたというエピソードをBARKSの特集インタビューで披露していたが、15年の歴史の中で、すべての曲が倉木麻衣の欠かせない一部になったことがよくわかる。ダンサーにバンドメンバーも加わってお揃いの振り付けで踊る彼女、本当に楽しそうだ。“カモン!”“Hey! Hey!”と、繰り返されるコール&レスポンスで会場がどんどん一体化してゆく。

「みんな、もっともっと熱く燃えて行こう!」

明るいエレクトロ・ビートに乗った「TRY AGAIN」、ステージ上で炎がゆらめく新曲「DYNAMITE」から、強烈なエレクトロ/ロック・チューン「無敵なハート」へ、まさに無敵のアップテンポ三連発。猛烈な重低音と強力なライトの洪水で、全身がビリビリと共鳴する。これが今の倉木麻衣、なんと圧倒的なエナジーの放出量だろう。

17時35分、音と光が消え、アナウンスが“これより15分間の休憩を…”と告げる。そう、今日のステージは二部構成なのだ。ここまでの19曲で、まだ前半が終わったばかり。お楽しみはこれからだ。

   ◆   ◆   ◆

暗闇に沈んだステージに光が差し込み、流れ出したのはチャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』から「花のワルツ(Waltz of the Flowers)」。華麗なワルツの音色に合わせてステージに現れたのは、花のような衣装に身を包んだ13名のバレリーナだ。一糸乱れぬステップ、爪先立ち、跳躍、回転。ステージ上にあった階段状の巨大なセットが、正面からゆっくりと開いてゆく。すると中から現れたのは、指揮者・藤原いくろうと67名の東京ニューシティ管弦楽団。曲のエンディングと同時に、ステージ下のポップアップからバレリーナたちの真ん中に勢いよく登場する倉木麻衣。ここから第二部、シンフォニック・ライブの始まりだ。

まずはミュージカルの古典的傑作『The Sound of Music』から、タイトル曲を朗々と歌い上げるその声に驚かされる。ポップスやダンスナンバーを歌う時の繊細なウィスパーとは異なる、伸びやかで太くパワフルな歌唱。歌手・倉木麻衣のポテンシャルの高さを見せてきた<シンフォニック・ライブ>シリーズの成果を示す見事な歌だ。高貴なエメラルドグリーンに輝く、蝶の羽根のような美しいドレス。「さくら さくら...」、ピアノを入れた「恋に恋して」、「Time after time ~花舞う街で~」と続き、背後の巨大スクリーンには、目を閉じて歌に没頭している美しい表情が大写しになる。「冷たい海」では、ブルーとホワイトの寒色系の照明が夜の海を思わせ、「明日へ架ける橋」では明るい虹色のライトが希望の光をイメージさせる。音と照明が一体となった見事な演出に、第一部で熱狂的な反応を見せていた観客は、魅入られたように聴き入り、大きな拍手を贈るのみ。ノスタルジーの中の夏の光景が目に浮かぶ「会いたくて...」、まるで泣いているかのような感情的な歌いぶりが胸に迫る「あなたがいるから」と、時を忘れる快演が続く。

「お楽しみいただけていますでしょうか?」

しとやかな挨拶に続いて迎え入れたのは、2013年の<シンフォニック・ライブ>でも素晴らしい演奏を聴かせてくれたバイオリニストのMei。容姿も音色もしたたるような美しさで、「あなたがいるから」を共にプレイした後、一人ステージに残ったMeiが独奏で聴かせたのは「Secret of my heart」の優美なメロディ。曲の終わりと同時に再登場した倉木麻衣は、純白の衣装にヘッド・コサージュ。スモークが静かに流れるドラマチックなムードの中で「白い雪」「もう一度」、そして藤原いくろう作曲のオリエンタルなメロディが耳に残る「儚さ」と、映画のワンシーンのような印象的な場面が次々と現れる。

その次に歌った「STAND BY YOU」は、間違いなく第二部の白眉と言える名唱だった。2014年のはじめ、『なんとかしなきゃ!プロジェクト』の一員としてカンボジアを訪れ、様々な社会活動を行なった際の体験を元に作り上げたこの曲は、彼女にとって特別なもの。一つの言葉を噛み締め、一つの音符に心を込め、“君は僕のヒーロー”と歌う姿には、神々しささえ感じる。突然聴こえてきたコーラスに驚いて顔を上げると、一階席のステージ左右に約200名の大合唱団が現れ、ゴスペル・クワイヤのような壮大な音響を作り出している。それは次の「chance for you」にも引き継がれ、数多い倉木麻衣の名作バラードの中でも特に人気の高いこの曲を、ライブではいつも観客の大合唱になるこの曲を、よりエモーショナルな高みへと引き上げる。鮮烈すぎる2曲の余韻を残して、第二部、シンフォニック・ステージは幕を下ろした。時刻は19時10分。すでに3時間以上が過ぎているが、退屈な時間は1秒もない。“Mai.K!”コールも鳴り止まない。そしてライブはいよいよクライマックスへ、アンコールへと突入してゆく。

バンドが演奏を始める。スクリーンに倉木麻衣とダンサーたちの笑顔が映る。「東京、もっともっと盛り上がっていきますか!」とカメラに向かって叫ぶ。舞台袖から生中継の、アンコール開始の合図と共にステージに駆け込んできた彼女は、ダンサーたちとお揃いのツアーTシャツ、ジーンズ、スニーカーのラフな格好。この日だけで、どれだけ多くの彼女のファッショナブルな側面が見られただろう。近未来的なアート服。クラシカルなドレス。普段着のようなジーンズ。それは彼女の持つ多面性を映し出す、豊かで多彩なバリエーションだ。曲は「Stand Up」。間奏では舞台の下手から上手へと走り抜け、そのまま戻ってセンターステージで飛び跳ねる。さらにエンディングで再び下手から上手へ全力疾走。あの小さな体の中に、一体どれほどのパワーが内蔵されているのだろう?

「日本武道館、ありがとう! 胸がいっぱいです。夢のような時間が流れています。みんなにとっても、私にとっても特別な1日になりました」

今日一番の長いMC。思わず感極まり、言葉に詰まる彼女に、“頑張れ!”と声が飛ぶ。

「17歳でデビューして、いろんな曲を作ってきました。音楽に救われることがたくさんありました。いつも一歩前にあるものを、成せばなる何事も、という気持ちでやってきました。それもみんなのおかげです。遠い未来を素敵に思えたら、きっと明日も一緒に歩いて行ける……この歌をみんなと一緒に歌いたいと思います」

その歌「Special morning day to you」では、再び藤原いくろうを迎え入れ、オーケストラとバンドが一体となった素晴らしいサウンドが聴けた。その強烈な音圧に負けることなく、体をいっぱいに使い、ソウルを込めて歌う倉木麻衣。彼女の歌のポテンシャルは、何回ライブを見てもそのたびに新たな発見がある、本当に底知れないものだ。

いよいよ終わりが近づいてきた。「always」ではセンターステージが三段重ねのデコレーション・ケーキのように形を変え、ダンサーたちがクリームのように縁を飾る。彼女の位置はもちろん、てっぺんのイチゴが乗る部分だ。再び登場した大合唱団のコーラスと共に、半音ずつどこまでも上がってゆくエンディングの盛り上がりがすさまじい。

「日本武道館、どうもありがとう!」

アンコール4曲目、この日通算でなんと36曲目のラストソングは、デビュー曲「Love, Day After Tomorrow」だった。おなじみの“L.O.V.E”のハンドサイン。大歓声。スクリーンに大写しになるとびきりの笑顔。客席の灯りがすべてつけられ、金のテープが盛大に宙を舞う。なんてあたたかい、親密な空間だろう。彼女はと見れば、またしてもステージを全力疾走中だ。すべての観客に挨拶を送り、ステージ中央に戻り、最後は全員揃ってのジャンプでジ・エンド。タイミングはぴったり。湧き上がる拍手。それは見事な、15周年を締めくくる最高の瞬間だった。

もう一度メンバー紹介。東京ニューシティ管弦楽団。藤原いくろう。合唱団。バレエ団のシャンブルウエスト。バイオリンのMei。彼女の後輩にあたるグループ、La PomPon。鳴り止まないスタンディングオベーションに応える、ダンサーとバンドメンバーによるラインナップ。そして彼女のメッセージは、マイクを使わない生声だった。

「日本武道館のみなさん。プレミアム・ライブ、単独300回ライブ、支えてくれてどうもありがとうございました!」

時計を見ると、時刻は20時。なんと4時間。プレミアム・ライブの名にふさわしい豪華なセット、演出、二部構成という壮大なステージ。しかしそれらを突き抜けて最後に強烈な印象を残したのは、倉木麻衣というシンガーの底知れぬアーティスト・パワーそのものだった。きっとまだ彼女は底を見せていない。ここから始まる16年目の歩みは、これまで以上に驚きにあふれたものになるだろう。終わりなき一期一会の旅は、まだまだ続いてゆく。

取材・文◎宮本英夫

【15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” ~Premium~>
2014.12.6 @日本武道館 SET LIST
01.PUZZLE
02.touch Me!
03.Wake me up
04.Delicious Way
05.You can
06.Secret of my heart
07.Your Best Friend
08.Tomorrow is the last Time
09.Stay by my side
10.Reach for the sky
11.Revive
12.Strong Heart
13.NEVER GONNA GIVE YOU UP
14.Simply Wonderful
15.わたしの、しらない、わたし。
16.Feel fine!
17.TRY AGAIN
18.DYNAMITE
19.無敵なハート
【Waltz of the Flowers「くるみ割り人形」より】
20. The Sound of Music
21. さくら さくら...
22. 恋に恋して
23. Time after time ~花舞う街で~
24. 冷たい海
25. 明日へ架ける橋
26. 会いたくて...
27. あなたがいるから
28. 白い雪
29. もう一度
30. 儚さ
31. STAND BY YOU
32. chance for you
ENCORE
EC1.Stand Up
EC2.Special morning day to you
EC3.always
EC4.Love, Day After Tomorrow



■ベストアルバム『MAI KURAKI BEST 151A -LOVE & HOPE-』

2014年11月12日(水)発売
【初回盤A:2CD+DVD】VNCM-9024~9025 4,200(tax in)/3,889(tax out)
特典:DVD「LOVE -visual collection-」
【初回盤B:2CD+DVD】VNCM-9026~9027 4,200(tax in)/3,889(tax out)
特典:DVD「HOPE -visual collection-」
【通常盤:2CD】VNCM-9028~9029 3,200(tax in)/2,963(tax out)
※全形態共通特典:倉木麻衣単独ライブ300回アニバーサリーライブの公開リハーサルへ150組300名様ご招待! 応募用シリアルナンバー封入!!
【LOVE】
1.Stay by my side
2.Secret of my heart 「名探偵コナン」エンディングテーマ
3.冷たい海
4.Time after time ~花舞う街で~(theater version) 映画『名探偵コナン 迷宮の十字路』主題歌
5.明日へ架ける橋 NHK総合23時連続ドラマ主題歌
6.会いたくて… 映画「大阪ハムレット」主題歌
7.白い雪 「名探偵コナン」エンディングテーマ
8.Tomorrow is the last Time 「名探偵コナン」エンディングテーマ
9.もう一度  「霧に棲む悪魔」主題歌
10.あなたがいるから
11.Your Best Friend 「名探偵コナン」エンディングテーマ
12.恋に恋して 「名探偵コナン」エンディング テーマ
13.儚さ 映画「画皮」
14.さくら さくら…
15.STAND BY YOU  「倉木麻衣 カンボジアの詩 ~それが夢のはじまりになる~」テーマソング
【HOPE】
1.Love, Day After Tomorrow
2.Delicious Way
3.Reach for the sky NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」主題歌
4.Stand Up 爽健美茶TVCMタイアップソング
5.always 映画『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』主題歌/「名探偵コナン」エンディングテーマ
6.Feel fine! SEA BREEZE CMソング
7.Revive 「名探偵コナン」オープニングテーマ
8.わたしの、しらない、わたし。 KOSE「エスプリークプレシャス」CMソング/日本テレビ系「スッキリ!!」9月度テーマソング
9.Strong Heart 「HUNTER ~その女たち、賞金稼ぎ~」主題歌
10.Special morning day to you 「ICEFIELD」TVCMタイアップソング
11.TRY AGAIN 「名探偵コナン」オープニング テーマ
12.Wake me up 映画「魔女の宅急便」主題歌
13.You can 2014 ユーキャン 「美しい二人」篇 CMソング/フェスタリア「Wish upon a star」CMソング
14.無敵なハート 「名探偵コナン」エンディングテーマ
15.DYNAMITE 「名探偵コナン」オープニングテーマ/金曜ロードSHOW!「江戸川コナン失踪事件 ~史上最悪の二日間~」主題歌

◆倉木麻衣15TH ANNIVERSARYスペシャルページ
◆倉木麻衣 オフィシャルサイト
◆BARKS内 倉木麻衣特集ページ
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