【BARKS編集部レビュー】BOSS「RC-1」はシンプルながらツボをおさえ、視認性抜群のインジケーターで快適操作できる実戦的仕様のルーバー

ツイート

従来のものに比べて驚くほどシンプルなルーパー「RC-1」がBOSSから登場。ループの操作に使うのはペダル一つだけ。面倒な設定をする必要はなく、録音も再生もオーバーダブも、すべてペダルを踏むだけの超シンプルな設計となっている。この「RC-1」の実践的試奏レポートをお届けしよう。

◆「RC-1」~拡大画像~

自分が今弾いたフレーズに、次々に別のフレーズを重ねていくフレーズ・ループは、ギタリストなら誰でもやってみたいと思うワザのひとつだろう。

自分のフレーズを重ねる手法はかなり以前からあって、70年代のクイーンのブライアン・メイや80年代のヴァン・ヘイレンの幻想的なソロも有名だが、あれはディレイを使ったもの。

これに対し、最近主流になっているのが、自分の弾いたフレーズをその場で録音し、すぐに繰り返して再生、そこに次のフレーズを重ねていくループを使う手法だ。直前の2~3回のフレーズに重ねられるだけのディレイとは異なり、同じフレーズを延々とループ再生しながら、次のフレーズ、そのまた次のフレーズと、次々に音を重ねていくことができる。これを可能にしたのがルーパーと呼ばれる機材だ。

BOSSからはLOOP STATIONシリーズとして、エフェクトやリズムパターンも内蔵し3つのステレオトラックを使える「RC-300」や、5つのループ・トラックを持つテーブルトップ・モデルの「RC-505」、コンパクトエフェクター・タイプの「R-3」などのルーパーがリリースされていて、いずれも人気を得ている。

そんな中発売された「RC-1」は、従来のものに比べて驚くほどシンプルなルーパーだ。しかし、ループに必要な機能はきちんとおさえられているし、今の状態が一目でわかるユニークなインジケーターを搭載、外部ペダルにも対応するなど快適に操作できるのが大きな特徴だ。電池駆動ができるコンパクト・エフェクタータイプだから、持ち運びしやすく、どこでも使えるのもポイント。ループ初心者でも余裕で使いこなすことができるルーパーといえる。

■ループの操作はペダルだけのシンプルな作り、ステレオにも対応

「RC-1」は、頑強さで知られるBOSSの伝統的なコンパクト・エフェクターのスタイルで、前述のとおり超シンプルな作りが特徴だ。おなじみの大きなペダルのほかに操作できるところは、LEVELと記されたつまみしかない。操作するところがほとんどないのだから面倒なことも一切なし。とにかくギターを弾いてペダルを踏むだけで、すぐにループを楽しめるのが「RC-1」なのだ。多機能のルーパーはもちろん便利だけれど、単純にフレーズ・ループをやるにはこれでも十分。このシンプルさがありがたいというギタリストも多いはずだ。


▲入出力はどちらもステレオ対応。「RC-1」の前にコーラスやディレイなど空間系のステレオエフェクターをつなげば効果的。
シンプルといっても、本当にただループを作るだけになっていないのがBOSS製品のニクいところ。LEVELつまみでループさせたフレーズの音量を変更できるから、重ねるフレーズとループのバランスは調整可能だし、入出力はどちらもステレオ対応だ。「RC-1」の前にコーラスやディレイなど空間系のステレオエフェクターをつないでおけば、広がりのある幻想的なループも楽しめる。

さらに特徴的なのが、LEVELつまみの横に配置された円形のループ・インジケーターだ。LEDの色と光り方でループが今どんな状態なのか一目瞭然のこのインジケーター、とても便利だし、見た目にも楽しい。明るくて見やすいので、暗いステージでも使いやすいこのインジケーターのおかげで、本当に簡単にループを楽しむことができるようになっている。実際にどんな光り方をするのかは、後ほど詳しく説明しよう。

■ペダル一つで即録音、再生やオーバーダブもぺダル一発

ルーパーの基本的な使い方は、まずプレイしながら録音し、再生しながらそれに重ねてさらにプレイ。そして再生しながらの録音、つまりオーバーダブによってどんどんフレーズを重ねていける、という流れだ。「RC-1」ではこれらの操作は前述のとおりすべてペダルを踏むだけ。プレイしながら最初にペダルを踏めば、すぐに録音が始まる。その後は、ペダルを踏むたびにオーバーダブ→ループ再生→オーバーダブ→ループ再生……という具合にモードが切り替わる。そして、ペダルをチョンチョンと2回踏めば、再生やオーバーダブを停止することができる。

実際にやってみると、本当に簡単だ。たとえば、バッキングになるようなリズムパターンとして、低音弦をミュートしながら“ズクズクズク…”と弾いておいてベースになるパターンを録音し、4小節分のところでペダルを踏む。するとオーバーダブに切り替わり、今弾いたベースのパターンがループされて、次に弾いたフレーズが録音される。拍のアタマでコードを弾いて乗せてみると、これだけで16分音符でリズムが刻まれ、コードが循環する4小節のパターンが簡単に出来上がった。次はソロを乗せてみたくなるのだが、アドリブを一発で決めるのは難しそう。そこで一度ペダルを踏んでループ再生に切り替え、これまで録ったフレーズを聴きながら合わせて弾いてみる。ソロがまとまってきたらペダルを踏んでオーバーダブを開始。これで、短いながら曲らしい形が出来上がった。

ここまでなにも難しいことを考える必要がなく、直感的に操作しながらループでギターを重ねることができた。本当に簡単なのだが、ちょっとだけ気をつけておきたいのが、ペダルを踏むタイミングだ。ある程度適当に踏んでもそれなりにループできてしまうのだが、録音を始めるとき、そして終えるときには、できるだけ正確に拍のアタマのタイミングで踏むようにしたい。録音は、ペダルを踏んだタイミングでスタートするので、拍のアタマより前で踏んでしまうとフレーズに空白ができてしまうし、遅ければフレーズの先頭が切れてしまう。録音を終える最後のタイミングも同様だ。

ただし、慎重を要するのは最初に録音するときだけで大丈夫。2回目以降、オーバーダブのモードの場合は、なにも弾かなければ録音されずループ再生し続けるだけなので、ループが1周するまで待って、次のタイミングで演奏を始めればよい。オーバーダブの場合はペダルを踏んでモードを切り替えながら瞬時に違うパターンを弾く、というのが難しかったが、4小節分待って、次のループからプレイしてフレーズを重ねたらうまくいった。

停止状態のときは、ペダルを踏めば直前に録音してあったフレーズのループ再生から動作が再開される。さっきまで録音やオーバーダブで作ったフレーズを聴いてみることができるわけだ。実際に録音したものを聴いてみると、やはりちゃんと弾けていないところや、リズムがよれてしまっているところもいくつかあって、ちょっと気恥ずかしい。しかしこうして自分のプレイをちゃんと聴くというのも、上達のためには必要なことだ。練習のときにいちいちレコーダーをセットしたりするのも面倒だが、「RC-1」なら簡単にプレイバックできるから、自分のプレイをチェックするのにも便利に使えそうだ。

◆試奏レビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報