【ライブレポート】紅白にもサプライズ出演のサザンオールスターズ、「今年もゆっくり、がんばりましょうね!」

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2014年12月31日、サザンオールスターズの<年越しライブ2014「ひつじだよ! 全員集合!」>が横浜アリーナで開催。途中、NHK『紅白歌合戦』へ中継で出演するなど、アンコールを含め全34曲で1万5000人の観客を盛り上げて新年を迎えた。

◆<年越しライブ2014「ひつじだよ! 全員集合!」>画像

12月27日から始まった9年ぶりとなるサザンのカウントダウンライブ。今回はステージバック席を設置していることもあり、各日1万5000人を動員。4日間合わせて6万人が久しぶりのサザンのライブに集まったこととなる。また、これまでのカウントダウンライブでは、最終日の31日は23時30分開演だったが、今回2014年は開演時間が21時30分に前倒しされ、全国の劇場ではライブビューイングを実施。そして大みそかにはNHK『紅白歌合戦』の生中継が行なわれるのではないかという噂もあって、これまで以上に注目を浴びるライブとなった。

開演時間直前になると、会場にいるお客さんへのいち早い情報として、新曲3曲(「アロエ」「イヤな事だらけの世の中で」「平和の鐘が鳴る」)のタイアップCMがスクリーンに流され、ライブ開始前でテンションが上がったファンから喝采を浴びていた。そして、開演のアナウンスから場内が暗転すると「東京VICTORY」が流れ、観客の手拍子に乗ってステージ後ろからサザンのメンバーが登場。全員で手をつなぎ、アリーナとステージバック席それぞれに挨拶するとオープニング曲「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」からライブがスタート。半袖のシャツにベスト姿の桑田佳祐が歌いだすと、一斉に手拍子で迎える観客たち。見渡す限り人・人・人、みんな笑顔で盛り上がっている。

「フリフリ'65」に続き、原由子がピアノのイントロを弾きだすとドッと沸き上がる歓声。前半で早くも大人気曲「希望の轍」が登場だ。ハンドマイクに持ち替えた桑田が歌う後方には、羊のコスプレ姿の女性ダンサーがふたり登場して曲に合わせてダンス。歌い終えるとカメラに向かって鼻に指を突っ込んでおどける桑田。最高にエモくてドラマティックな曲でも、このふざけっぷりを見せるところが最高だ。

「どうもありがとう! DREAMS COME TRUEです!」との第一声に続いて「我々のときは“なんとかズ”っていうバンド名ばかりだったけど、いまはゲスの極み乙女。ですよ!? キュウソネコカミとか!」と観客を笑わせる。さすが桑田、若いバンドの音楽にもアンテナを張っているようだ。「サザンが横浜アリーナに帰ってきました! 会いに来てくれてありがとう。今日はWOWOWとライブビューイング、それからNHKの『おかあさんといっしょ』が入っています。」とのMCに歓声と笑いが起こった。

「懐かしの選曲コーナー」と題して「気分しだいで責めないで」「匂艶 THE NIGHT CLUB」で楽しませ、「メロディ(Melody)」「逢いたくなった時に君はここにいない」ではしっとりと聴かせる。スクリーンに歌詞が出るため、一緒になって歌うファンも多い。オリエンタルなイントロと真っ赤な照明に照らされ「JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)」へ。この曲は、かつて歌詞に英語が多いと指摘された桑田が、日本語のみにこだわって作ったという曲。その結果、英語のようにも聴こえる実験的な作品だ。「死体置場でロマンスを」では2番の歌いだしの歌詞を変えて「野沢毛ガニ 今年ついに 還暦になっちまった~」と歌い、毛ガニことパーカッションの野沢秀行に大歓声。スクリーンにインベータ―が映し出された「Computer Children」、原坊が歌う「鎌倉物語」と、1985年の名盤『KAMAKURA』からの選曲が続く(そういえば2015年は『KAMAKURA』発表から30周年だ)。「ちょっとだけ新しめのコーナー」として何曲か演奏。「ごめんよ僕が馬鹿だった」ではベースの関口和之、コーラスのTIGER、サポート・ギタリストの斎藤誠が桑田と共にフロントに集まりポーズをキメた。

「おかげさまで今年は皇居に行かせて頂きました」と、紫綬褒章受章の話題に触れ、ステージ上から実物の紫綬褒章のメダルを披露すると大きなどよめきが客席から起こった。さらに「ラブユー東京」を替え歌にした「ラブユー褒章」を披露すると観客は爆笑しつつ偉業を讃えた。続いて「とある港町の物語コーナー」と題し、横浜を舞台にした「涙のアベニュー」「思い出のスター・ダスト」、そして原坊とのデュエット曲「シャ・ラ・ラ」。さらに「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」ではステージバック席から女性が選ばれステージに上がり、歌う桑田と肩を寄せあう演出も。

ここで「紅白来る!? あと30秒?」と言うと、なぜかチョビひげを付けてスタンバイする桑田。スクリーンにNHKの有働由美子アナとSMAPの中居正広が映ると大歓声で紅白中継を迎える観客たち。物凄い盛り上がりだ。サザンの紅白出演は31年ぶりだそうだ。「ピースとハイライト」が始まると天井から一斉に金色のテープが落ちてきた。明るい曲調のポップスとは裏腹に、スクリーンには世界中の紛争や権力者たちの顔が並び、歌に込められたメッセージが全国のお茶の間に届けられた。さらにステージに聖火が灯り、会場中も電飾に包まれて「東京VICTORY」へ。曲に煽られて客席からコブシが挙がる。紅白の中継はここで終了。続く「爆笑アイランド」では希望に満ちた前曲と対象的に自虐的な内容が歌われているのが興味深かった。

ライブはいよいよカウントダウンに向けてラストスパートへ。激しいビートの「怪物君の空」「BOHBO No.5」「ボディ・スペシャル II(BODY SPECIAL)」で観客のボルテージはMAXに。それにしても後半になってもまったく衰えない桑田の声量には圧倒される。改めてミュージシャンとしての力量に驚かされた。「カウントダウンが近づいてきたよー!」と曲は「勝手にシンドバッド」に突入。サンバカーニバル、着物などさまざまな衣装に身を包んだ女性ダンサーたちがステージに登場してカオスになる中、スクリーンには“SAYONARA 2014”“今年もありがとう”とメッセージが表示される。曲が終わると残り30秒でカウントダウン開始! カウントが0になると共に天井から色とりどりの風船が舞い降りてきた。

アンコールでは「天国オン・ザ・ビーチ」で水着姿の女性たちに囲まれてのスキットを見せ、「ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~」を歌い終わると「本当はテレビに出るときはドキドキなんだけど、みんなのおかげでやり遂げることができました。」とのMCから、10年ぶりとなるニューアルバムを3月31日に発売すること及び4月から全国ツアーをおこなうことが発表された。「みんなと会えるのが幸せ。生かされてるってしみじみ思います。本当にありがとう。」と感謝を伝えると、最後はグリーンやオレンジのライトが会場を包む中、「Oh! クラウディア」が歌われた。エンディング近く、「まるで夢のような今日の横浜 今年も素敵な年にしようよ」と観客へメッセージが贈られた。

曲が終わると全員で手をつなぎ深々と一礼して「今年もゆっくり、がんばりましょうね!」との言葉を残してステージを後にしたサザン。最高のライブでスタートをきった2015年、アルバム発売に全国ツアーと、サザンオールスターズは年間を通して話題をふりまいてくれそうだ。

取材・文:岡本貴之

「年越しライブ2014 ひつじだよ!全員集合!」セットリスト

1. Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)
2. フリフリ '65
3. 希望の轍
4. 気分しだいで責めないで
5. 匂艶 THE NIGHT CLUB
6. メロディ (Melody)
7. 逢いたくなった時に君はここにいない
8. あっという間の夢のTONIGHT
9. JAPANEGGAE (ジャパネゲエ)
10. 死体置場でロマンスを
11. Computer Children
12. 鎌倉物語
13. BLUE HEAVEN
14. LONELY WOMAN
15. SAUDADE ~真冬の蜃気楼~
16. ごめんよ僕が馬鹿だった
17. ラブユー褒章
18. 涙のアベニュー
19. 思い出のスター・ダスト
20. シャ・ラ・ラ
21. LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
22. ピースとハイライト
23. 東京VICTORY
24. 爆笑アイランド
25. 愛と欲望の日々
26. イエローマン ~星の王子様~
27. 怪物君の空
28. BOHBO No.5
29. ボディ・スペシャル II(BODY SPECIAL)
30. 勝手にシンドバッド 

ENCORE
1. 天国オン・ザ・ビーチ
2. ロックンロール・スーパーマン ~Rock’n Roll Superman~
3. 栄光の男
4. Oh! クラウディア

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