【インタビュー】ピエール中野「イヤホンスパイラル…もうキリがない（笑）」

■今までなじみで聴いてたものが
■がらっと違って聴こえてくる

──中野さんにとって「いい音」とはどういうものでしょう。

中野：10proを初めて聴いた時に、全然聴こえなかった音とかが聴こえてきたんです。

──それが原体験なんですね。

中野：それで同じイヤホンで他の音楽も聴いてみたくなるじゃないですか。どう違って聴こえるんだろう？って。そしたらやっぱり驚きと感動と発見があるんですね。こんな楽しいことないなって、あっという間に時間も過ぎているし。ああ、音楽っていいなってやっぱり思いますし。

──知っている音楽が違って聞こえたりね。

中野：もともとX JAPANがすごい好きで、『Jealousy』と『BLUE BLOOD』のリマスタリング盤を聴いた時も感動しました。いい音っていうか、オリジナルだとあんまり聴こえなかったベースの音がリマスター盤だときちんと聴こえてきて、こんなフレーズだったんだって。すごいクオリティが上がって、こんなエグくカッコよくなるんだ…みたいな。今までなじみで聴いてたものががらっと違って聴こえてくること、ありますよね。

──ミュージシャンが突き詰めて作り上げた音楽ですから、そのディテールまで受け取れたほうが、アーティストの意思を正しく受け取れるということになりますよね。そういう意味でも音はいい方がいい。

中野：そうですね。そのほうがいいですよね。

──微細なこだわりが音の劣化によってかき消されてしまうと、ミュージシャンはやるせないよね。「こだわって作ったあの表現はどこ？」って。

中野：違うんだよって言いたくなりますもんね。でもそれは「ミュージシャンあるある」というか、絶対に思うことですよねぇ。完成の時にいいスピーカーで聴いて、これで聴いてほしいなっていう想いはありますからね。それはそうですね…。

──そういう意味で、中野さんから若いオーディエンスにメッセージをいただけますか？

中野：イヤホンは頑張って探せば探しただけいいものが手に入ると思っているので、頑張って探してほしいですよね。別にそんなに高くなくてもいいイヤホンはいっぱいあるし、自分に合うイヤホンが見つかる。メーカ名やなんとなくのイメージで買っている人がほとんどだと思うけど、実は違うメーカーで良いのがあったりすることも多々あるので、ネットでも情報はたくさんありますから、探して欲しいですね。すごい楽しいんで。

──深みにハマっちゃった人からの悪魔の誘いですね（笑）。

中野：いや（笑）、意外とそこまでいってないですよ。そんなに、まあその、深みにハマるとどうなるかはもう調べつくしたんで。「あ、これはヤバいな」って（笑）。だからこれでもう落ち着こうってしてます。でもきっかけがあると「もっと聴いてみようかな」ってなっちゃうんですけど…だから、片足突っ込んでいるかな。

──全く治ってないですね。その勢いでナカノヘッドホンの完成を楽しみにしています。

中野：ありがとうございます。ぜひとも（笑）。

取材・文：BARKS編集長 烏丸哲也







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