【北園みなみ】
◆Kitasono Minami SoundCloud
1990年生まれ、長野県松本市在住の男性シンガーソングライター北園みなみ。作詞、作曲、編曲に加え各種楽器の演奏をおこない、AOR、ジャズ、フュージョン、ファンク、シティポップとさまざまなジャンルを手の内に収め自由で洗練された音楽を作る人だ。ファンタジックでコミカルでシュールでドリーミーで豊かな彼の音楽世界、あぁ楽しい。プロフィールをほとんど明らかにしないまま2012年にSoundCloudにアップした音源が口コミレベルから話題になり、ベース、ギター、鍵盤の演奏を北園本人が担当した1stアルバム『promenade』を2014年10月にリリースしている。だが、ネットを駆使しPRするタイプのミュージシャンではないようだし、この音楽性も、ここ1~2年のインディ界におけるシティ・ポップブームから派生しているわけでもない。音源を聴いてもらえればわかるように、「やっぱりエビはカニじゃない」という楽曲をアップしている時点で、メッセージソングをせっせと作る音楽家ではもなさそうだし、自分をさらけ出すことでリスナーの反響と共感を誘うSSWでもない。そういう思惑から別次元に身をおき、リズム、メロディ、ハーモニーからなる「音楽」そのもととても自然に付き合っている。彼自身が傾倒するジャズの美しさと過激さを新しく創造する、素晴らしすぎるほど素晴らしい新たな才人。今回の特集で、彼ほどフェス向きではないアーティストはいないが、彼ほどフェスで一気に多くの観客の度肝を抜いて欲しいアーティストもいない。

【Awesome City Club】
Awesome City Clubは、thatta、元THIS IS PANICといったバンドのメンバーからなる男女混合の5人組。4月8日に1stアルバムをビクター内に新設されたレーベル「CONNECTONE」からリリースしメジャーデビューすることも決定している。これまで音源をYouTubeやSoundCloudなどインターネット上でのみ発表しており、CDリリースは今回が初めてだが、CHARAやGotchなどの楽曲を手がけるmabanuaをプロデューサーに迎えて制作された。サウンドはディスコ、エレクトロニカが基板にあり、歌のメロディはとんでもなくポップでキャッチー。だが、全体的なテンションとしてはどこか曇っていて、虚無感すらあるこの感じにとんでもないリアリティーを感じる。強いて言うなら相対性理論のように、意味と無意味を行き来するようなリリックも癖になる。すでにミュージックビデオが海外版MTV内で取り上げられたり、TAHITI80ら海外のアーティストの来日公演で共演していることが、ただの洋楽志向のバンドではないことを証明している。国内外問わず、これからたくさんの人に認知されるはずだ。アコースティックセットによる<BAYCAMP 201502>のオープニングアクトの出演も発表されたばかり。

【04 Limited Sazabys】
2008年に名古屋で結成、地元では既に第一線で活躍している。まず、非常にハイトーンで中性的なこの歌声。それが珍しくて面白いというんじゃなく、あまりに心にまっすぐ届いてきてはじめは動揺してしまった。きっと、日本語ギターロックを普段愛聴するリスナーなどにも刺さるパンクだ。そして、作詞作曲も担うVo.GENによる言葉もよくて、初期は英語で綴られていたが日本語へと移行した彼の歌詞は、メロディにとてもフィットした語感を持つ。それが単純に気持ちいいが、その詞世界は、迷いや後悔から安易に解放されたり逆襲を誓うのではなく、真実をじっと見つめようとする頑なさに信頼を覚える。特に、ミュージシャンとリスナーとのあいだの信頼関係が物を言うパンクというジャンルにおいて、これは大切な要素のひとつ。THE ORAL CIGARETTES、Brian the Sun、HAPPYとともに<スペシャ列伝JAPAN TOUR 2015>にも出演が決定していて、2015年は一挙に全国区へ浮上しそう。

【まちぶせ】
2010年12月に結成、Vo&Gt野々山領、Dr&MC南條暢也、Ba&Cho井上昭紘からなるロックバンド。2012年にはandymoriを撮り続けたカメラマン佐藤哲郎によるイベントでandymoriとも共演しているが、3ピース・ロックンロールの次なるバトンを彼らが握っていると期待してしまうのは私だけじゃないはずだ。だが、彼らの表現する歌のベクトルはちょっと違う。この身勝手な欲求、軽率な行動、ゴールのない愚痴、ただただ暗く深い孤独感、そんなどうしようもないことがここには全部あると断言できるくらい、超私的なロック。その上でこんなに心惹かれてしまうのは、ロックンロールの特権によるのだと思う。ロックンロールとはすべての例外であると久しぶりに思い出させてくれるバンドであり、音楽的にも、パンク、スカ、ブルース、フォークといった様々なレベルミュージックの要素を飲み込んでいる。こんなにもロックは、カッコ悪いがカッコイイになるのだ。2015年は、それをもっとみんなに見せつけて欲しい。

【恋する円盤】
2011年の春、Vo&G大塚真太朗(兄)がDr大塚薫平(弟)を誘い彼らの自宅にて結成。幾度かのメンバーチェンジを経て2013年春、現体制の6ピースとなる。2013年の「出れんの!?サマソニ!?」で「いしわたり淳治賞」を受賞しており、2014年12月にはミニアルバム『PASTEL』をリリース。ふと、ラジオから流れてきたラブソングに「あれ、なんで僕 or 私のこと知ってるの?」と驚いたことで、突然「音楽」というものと正式に出会う人って少なくないと思う。そんなことがきっかけとなり音楽にズブズブとのめり込んでいくわけだ。今はそれがYouTube上で行われる他曲の自動リコメンドかもしれないが、恋する円盤の音楽は、まさにラジオから聴こえてきそうなノスタルジックな歌のメロディ、フレッシュで色鮮やかなハーモニクスが魅力だろう。大塚真太朗と城明日香(鉄琴&Cho)の掛け合いによるボーカルも、爽やかなタイプの混声となっている。だが、一辺倒に明るい空気感を出しているわけではなく、洋楽の素養を感じるローファイなギターリフも。音楽は楽しい、という彼らの前向きなエネルギーの輪に加わってみて欲しい。

【ドンガンボン】
2012年6月に結成し現在は都内を中心にライブ活動を行っており、2014年4月に全国流通盤『see the sun』をリリースしている。ショウケースイベントやフェスの出演経験はほとんどないようで、私も川崎のタワーレコードでたまたま出会った(ちなみに同店舗でYogee New Wavesと2マンのインストアライブを行っている)。まず、めちゃくちゃ曲がいい。以上!って、あとはもう好きなだけ聴いて欲しいくらいにいい。時間を気にせず音楽と本気で戯れているようなバンドのアンサンブル。そして、日記に綴るような本当の出来事と素直な気持ちが、たとえそれがどれだけ輝きとは遠いところにあるものでも、ギターロックになってしまうと途端にこれほど輝き出すのだろうか。彼らのアルバムを聴いていると、その叙情的なコード進行が目の前に大きな夕焼けを見せる。四つ打ちビートや矢継ぎ早にシャウトするボーカルではない音楽で、みんなの心が本質的に熱くなっている光景が見たくて、今回ラインナップに入れさせてもらった。新しい上質なギターロックの原石として、クリープハイプが好きな人にもドンガンボンを知ってほしい。

【The Wisely Brothers】
東京育ちの20歳過ぎの3人の女子からなるバンド。2014年10月に1stミニアルバム『ファミリー・ミニアルバム』をリリースしている。彼女達の第一印象を強いて言うなら「森ガールっぽい」と表現したら、もうだいぶ古いのかな。どちらにしても、そんなナチュラルぶった女子ではなく、The Wisely Brothersはもっともっと自然に音楽を楽しんでいることが音源から伝わってくる。女子が3人集まった時特有のグルーブによるヒソヒソ感やワチャワチャ感が、あえて風通しよく作りこまれたようなバンドアンサンブルから見え隠れするのだ。そして、そのクオリティーの高さに思わず、こっちも乗りたくなる。ゆらゆらしながらも、高音ではヒステリカルになって狂気を孕むボーカルは原田郁子を思い浮かべるかもしれない。この「トビラ」なんて、野外のフェスでぜひ聴きたい。でもそれは、ただ心地いいハートウォーミングな音楽だからではない。他人のことや恋愛のことや社会のことやらを女子目線で純粋に切り取った歌詞は、毒にも薬にもなる刺激がある。女子の純粋性って、こうして音楽で爆発させるしかないほど威力があったことも思い出した。

【夜の本気ダンス】
2008年に京都で結成、Baマイケル、Vo&Gt米田貴紀、Dr鈴鹿秋斗、Gt町田建人からなるされた4人組のダンスロック・バンド。2014年11月に1stアルバムとなる『DANCE TIME』をリリースしている。どこを切り取っても大ぶりで派手なサウンドから構築されるダンスミュージックだし、バンドのキャラクターもお祭り感が漂うが、ノーテンキさがないのが面白い。むしろ世界観としてはシュールだ。だがもちろん、ファンキーでグルーヴィーな楽曲が確実に人を躍らせる、正真正銘のダンスロック。the telephonesの石毛輝のソロ作品は深遠なベッドルームミュージックであるように、夜の本気ダンスも、根にある繊細な心持ちが、こうしたダンスミュージックというジャンルへと過剰なほどダイナミックに変換されているのだろうか。それによって人生の突破口を見出そうとしているのではないか、なんて邪推もしてしまう。ともかく2015年、夜の本気ダンスは各フェスの沸点を上げていくはず。

【SHE'S】
2011年4月結成、大阪発のピアノロックである。Key&Vo井上竜馬がエルレガーデンに憧れてバンドを志したが、洋楽のピアノロックに出会ったことで現在の音楽性に至り、2014年7月、初の全国流通盤となる1stミニアルバム『WHO IS SHE?』をリリース。flumpoolやNICO Touches the Wallsといった、エモーショナルなのに清々しいギターロックがタイプのリスナーは絶対に聴いてみて欲しい。清竜人の初期の音楽性を彷彿とさせる静かなバラード「Leave Me」もひたすら美しいし、今すぐにでも映画やドラマのタイアップ曲のオファーが来そうな、キャッチーな歌のメロディにも耳が行くと思う。そして、エレキギターは「衝動」がそのまま具現化したようだし、ピアノは希望そのものであるかのように空間に息吹を与える。すべての楽器の効果が最大限に活かされているこのバンドのアレンジの完成度は高い。シンフォニックな彼らの音楽は、広い空間ほどいかんなく発揮されるものであり、スタジアムバンドとしての将来を期待している。


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