【インタビュー】SOTO、「こういうヘヴィな音楽をやりたかった」

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ソロ・シンガー、メロディアス・ハード・ロック系プロジェクトのW.E.T.等のメンバーとして活動しているジェフ・スコット・ソートが自己のバンドSOTOを結成し、多彩なゲストが参加したアルバム『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』を発表した。彼がこれまでに関わった作品と比べ、かなりヘヴィなサウンドを打ち出したこの作品は、30年以上のキャリアを誇る彼にとって新たな挑戦でもあり、彼のポテンシャルの高さを示したものとなっている。

◆SOTO画像

1984年にイングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォースのメンバーとしてデビューを果たした彼は、タリスマン、アイズ、アクセル・ルディ・ペルのバンドへの参加を経て、1995年に初のソロ・アルバム『ラヴ・パレード』を発表。2作目の『プリズム』(2002年)リリース後、本格的にソロ・シンガーとしてのキャリアをスタートさせると、その一方で、ニール・ショーンとのプロジェクトのソウル・サーカスとジャーニーのツアーへの参加、さらに近年はトランス・シベリアン・オーケストラでも歌うなど、活動範囲は多岐にわたっている。

そんな彼が今回、何故ヘヴィなサウンドを追求したメタル・アルバムを自己のバンドを率いてリリースすることになったのか? 話を訊いてみることにした。

──どういう経緯でSOTOというバンド名義でアルバム『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』を制作するになったのですか?

ジェフ・スコット・ソート:最初は次のソロ・アルバムに作るつもりで始めたんだ。ソロ・アルバムの『ダメージ・コントロール』(2012年)でも俺の曲はかなりへヴィになっていたけど、当時のレーベルは俺が既にやっていたようなメロディックなロック音楽をやってもらいたいと思っていたから、俺は自分が望むように自身を表現することが出来なくなっていた。そして、このアルバムを俺がそれまでにも仕事をしていた様々なライター、外部のミュージシャン達と一緒に書き始めてみると、『ダメージ・コントロール』より、さらにへヴィになりつつあった。前のレーベルは、それを聴いて「これは自分達の求めているものとは違うから、別のレーベルを見つけてくれ」と言ったよ。俺にとって、これは新しいバンドであり、新しいサウンドと新しい方向性だったから、このアルバムを俺と一緒に出す新しいレーベルが必要になったんだ。

──何がきっかけでヘヴィな方向にシフトしていったのでしょうか。

ジェフ・スコット・ソート:俺は自分のキャリアを30年前にヘヴィ・メタル・シンガーとしてスタートさせたんだ。俺が何年もやっていなかった側面が、このパワフルな音楽には沢山あるんだよ。2001年には映画『ロック・スター』のためのバンド、スティール・ドラゴンに関わったんだけど、あの映画で使われた「スタンド・アップ・アンド・シャウト」を自分のライヴ・ショーでやるたびに、これが俺が自分のレパートリーに欠けている方向性だと感じていた。だから、こういうヘヴィな方向の音楽は何年も前からやりたいと思っていたんだよ。でも、やはり前のレコード会社から、そういう方向に進んではいけないと言われていたから、この方向に進むためには新たに動かなくてはいけないとわかっていた。こういうヘヴィな音楽をやれないことを悲しく思っていたんだ。『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』で聴ける曲の多くが、俺がずっとやりたくてやれなかったものだったんだよ。それを今、俺は自由にやれている。


──ガス・G(オジー・オズボーン・バンド、ファイアーウィンド)など様々なゲスト・プレイヤーが曲作りで参加していますが、アルバムの方向性に統一感が出るように曲作りの段階で何かリクエストはしたのですか?

ジェフ・スコット・ソート:いや。100%彼ららしさを出してもらいたかったから、彼らが自然にやることを抑えるようなことはしたくなかったんだ。受け取ったものは、そのままにしておく。デモを作った後で、実際のレコーディングの時には多少の変更があるかもしれないけど、できるだけオリジナルのデモに忠実に仕上げるように努めたよ。何故なら、俺が一緒に書いている相手の持ち味を出来るだけそのまま表現したいからだ。

──そうすることで、新しい経験をし、新たな能力を磨いていると感じられるのでしょうか?

ジェフ・スコット・ソート:その通りだよ。まず、普段一緒に仕事をしていない様々な人達とやることで、他のスタイルの曲や他の人達の想像力を知ることができる。それが俺にとってのチャレンジにもなるんだ。例えば、このアルバムには「エンド.オブ.デイズ」という9分間の曲が入っているけど、そのコンセプトは俺の頭にあったもので、一緒に曲を書いたライター(コナー・エングストロム)には、「映画のサウンドトラックのような、例えばジェームス・ボンド(007)みたいなもの、「ボヘミアン・ラプソディ」(クイーン)とアイアン・メイデンとピンク・フロイドを融合させたようなものにしたい」と伝えたよ。「様々な起伏があって、へヴィなセクション、ライトなセクション、ブレイクダウンと、あらゆるものが1曲に詰まったものにしたい」と話したんだ。説明したのはそれだけだよ。音楽的な説明は一切しなかった。そして、コナーが最初から最後までアルバムに収録された通りの音楽を作ってくれたんだ。それを受け取って、俺は自分の仕事に取り掛かった。俺にとっては凄く大きなチャレンジだったよ。これまでの人生で書いた中で一番難しい曲のひとつだったけど、人生で最もやり甲斐のある曲のひとつでもあったね。

──このアルバムで、あなたはハードな側面を自由に表現できたと思いますが、その他の側面で、あなたがこのアルバムで表現したかったことはありましたか?

ジェフ・スコット・ソート:このアルバムの歌詞には沢山の激しさと怒りが詰まっている。でも、それ以外にも俺が自覚したことがいくつか表現されているよ。つまり、俺はもう若者ではないということだ。俺は思い切り生きてきて色々な経験をしてきた。今の俺は、年を重ねた人間として、そういった出来事を振り返ることができる。自分が見てきたことを振り返り、経験を踏まえて、これから起こることを見通すこともできる。俺は幻想を抱いてはいないし、パーティー・アルバムを作ってもいない。俺がこれまで経験してきたことや置かれてきた立場、そして見聞きしてきたものを、じっくり振り返るアルバムになっているよ。

──今後、SOTO以外に何かプロジェクトを予定していますか?

ジェフ・スコット・ソート:いや、100%SOTOに専念するつもりだ。スケジュールも空けてある。フェスティヴァル出演やサポートとしてのオファーが来た時のために、それを妨げるような予定は入れておきたくないんだ。それに、SOTOが活動に影響を与えてしまうような他のプロジェクトやバンドもやりたくない。そんなことをやっても、自分自身で競合するだけだ。このプロジェクトをやっていない間に、あっちのプロジェクトが上手くいくかもしれない、なんていう考え方はしたくない。SOTOは俺が1000%を注いでいるものだということを皆に知っておいてもらいたいんだ。SOTOと『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』が、今の俺の人生の中心だよ。これが本物だということを人々に理解してもらうために必要なことは何でもやるつもりさ。

取材・文:Jun Kawai

SOTO『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』
2015年2月4日発売
通販限定 / CD+Tシャツ 4,000円+税
通常盤CD 2,500円+税
1.ファイナル・セイ(with マイク・オーランド)
2.ザ・フォール
3.ラス(with ガス・G)
4.ブレイク
5.ナルシシスティカリー・ユアーズ(with レオ・マンシーニ)
6.エンド・オブ・デイズ(with ケイシー・グリロ)
7.インサイド・ザ・ヴァーティゴ
8.ホエン・アイム・オールダー(with アル・ピトレリ)
9.トランス(with ヒューゴ・マリアッティ)
10.ジェラシー(with レオ・マンシーニ)
11.カルマズ・キス(with ジェイソン・ビーラー)
12.フォール・トゥ・ピーシズ
13.リーヴ・イット・オール・ビハインド*日本盤限定ボーナストラック
【メンバー】
ジェフ・スコット・ソート(ヴォーカル)
ホルヘ・サラン(ギター)
BJ(キーボード&ギター)
デヴィッドZ(ベース)
エドゥ・コミナート(ドラムス)
【スペシャルゲスト】
ガス・G(オジー・オズボーン・バンド / ファイアーウィンド)
ジェイソン・ビーラー(サイゴン・キック)
マイク・オーランド(アドレナリン・モブ)
レオ・マンシーニ(シャーマン)
アル・ピトレリ(サヴァタージ / 元メガデス)
ヒューゴ・マリアッティ(アンドレ・マトス / 元シャーマン)

◆SOTO『インサイド・ザ・ヴァーティゴ』オフィシャルサイト
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