初めてグラミーにノミネートされた日本人＝冨田勲、3月に2タイトル同時リリース

冨田勲が、3月4日に『SPACE FANTASY』『TOMITA ON NHK 冨田勲 NHKテーマ音楽集（新装版）』の2タイトルを同時リリースする。なお、今作のジャケット写真はDOMMUNEを主宰する現代美術家、宇川直宏がデザインを手がけている。

◆冨田勲 画像

2015年で83歳を迎える世界的作曲家であり、シンセサイザーアーティストの草分けである、冨田勲。1974年にはシンセサイザーによる『月の光』（ドビュッシー）を発表しビルボード誌の第1位を獲得、さらには日本人として初めてグラミー賞（4部門）にノミネートされた。以後も世界的な活躍を続け、2010年代にはDOMMUNEや夏フェスへの出演、さらには初音ミクがオーケストラとコラボした「イーハトーヴ交響曲」の作曲などにより、若い世代にも支持を受けている。

と、これまでその動向は常に注目を集めてきた。今回のアルバム『SPACE FANTASY』は2枚組の作品で、ディスク1には、1978年に発表されたアルバム『宇宙幻想』の曲を中心に、同年発表の『バミューダ・トライアングル』、そして76年発表の『火の鳥』の中から厳選されたトラックが再構成＆4chサラウンド化され、SACDで収録。冨田が表現したかった本来の姿である“立体音響”での再音源化は、過去の音源に親しんでいるファンにとってもきっと新しい体験をもたらす内容だ。

一方ディスク2は、完全未発表音源がCDに収録されている。冨田が昔、強い衝撃を受けたというディズニー映画『ファンタジア』にシンセサイザーでオマージュを捧げた未発表音源「魔法使いの弟子」「くるみ割り人形」「ベートーヴェン：田園」「花のワルツ」を収録。冨田自身が「最もシンセサイザーを自在に使いこなしていた時期」と語る80年代中期に制作されたこの音源は、ファンにはたまらない秘蔵音源だ。まるで機械が生命を吹き込まれて縦横に蠢きまわるような、TOMITAサウンドの世界を十二分に味わうことができる。

同時リリースされるもうひと作品は、2003年にリリースされて以来ロングセラーとなっている、冨田がNHKのために作ったテーマ曲を網羅的に集めた『TOMITA ON NHK』の新装版だ。おなじみの『きょうの料理』や大河ドラマ、『新日本紀行』のテーマなど、戦後日本人のDNAに奥深く刻み込まれたTOMITAサウンド＆名メロディを一堂に集めたアルバムである。今回は、幻の音源「ピッポピッポボンボン」やファンから収録を熱望されていた「みんなの世界」の旧バージョン、さらには2014年4月より放送されているBSプレミアム『プレミアムシアター』の新テーマ曲も新たに追加される。NHK放送黎明期から現在までを支える冨田勲の幅広い音世界を体験できる作品だ。

なお、タワーレコードでは、『SPACE FANTASY』を対象にオリジナルW特典が企画される。同作のアートワークを起用したチケットサイズのクリアファイルとイベント応募ハガキが先着で付与されるので、特典の詳細・該当店舗については日本コロムビアのオフィシャルサイトを確認して欲しい。