【ライブレポート】[Alexandros]、ウェルアレで見せた「人生は最高になる」という反逆

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スペースシャワーTVにて2013年にスタートした[Alexandros]の冠番組『Welcome! [Alexandros]』。当番組と[Alexandros]によるコラボイベントが、2月12日(木)に新木場スタジオコーストで開催された。

◆<Welcome![Alexandros]LIVE>ライブ写真

第二回目の開催となる今回は、2月10日に行われた大阪公演(なんばHatch)と東京公演の2ヶ所で開催されスケールアップしたことにも、[Alexandros]というバンドの勢いを実感せざるを得ない。放送開始当初より、様々なゲストを迎えてセッションも行っている番組の実演版だけあって、コーストのステージ上では他バンドで活躍するボーカリストとのめくるめくような競演が展開していく。



indigo la End/ゲスの極み乙女。の川谷絵音と、この曲の短さから2回も演奏したブラーの「Song2」では、切実さの強い川谷の歌声と「Song2」にある爆発力が見事なマッチングを聴かせた。それに、アルカラの稲村太佑と川上洋平のデュエットがまるでスナックのカラオケタイム状態だった「壊れかけのRadio」でのふたりは、国民的歌謡曲であろうが反射的に「自分のものにしてしまう」というロックボーカリストの鏡のようだった。(と言うとちょっと素敵な表現過ぎるが、想像通りの悪ふざけのテンション込みで楽しかったし、実際、貴重なものが観れた。)



でも、当日を迎えるまで気になっていたことがある。ライブにおける演奏のアンサンブルを完璧なレベルまで高めることが音楽家としての勝負になるのが、「バンド」というチームの性質だ。特に[Alexandros]は、4人の鉄壁のグルーヴによってオーディエンスの心を絶対に奪おうと、ステージ上で完全に勝ちにいこうとするバンドである。要するに、彼らのパフォーマンスにゲストが加わるのって、実際どうなの?と思ってた。けれどそんな懸念は完全にムダで、この日は番組で観る以上に、ロックで真剣に遊ぶことってこんなにも刺激的で創造的なんだと知ることになった。その熱い歌声と魂をみんなの瞼に焼きつけたcoldrainのMasato。タガが外れたような爆裂ギターセッションをギター白井眞輝と行ったPOLYSICSのハヤシ。もともとスケールの大きい[Alexandros]のグルーヴのふところへ飛び込んでいくように、ゲストの誰もが存分にエネルギーを出し切っていた。セッションとしての掛け算がされまくったそんな光景の数々に、こっちの心が動かされないわけがない。




きっと、[Alexandros]の中にある自分達の楽曲への自信も、このセッション企画を実現させるのだろう。川谷絵音との「Forever Young」では、世界の広さを教えているようなこの曲の雄大さも、フレッシュなきらめきも、まったくブレることないまま歌い上げられていて純粋に感動した。

特に最近の[Alexandros]の楽曲は、オーディエンスを「連れて行く」。中でも、飛翔感を増幅させた新曲にして正真正銘の名曲「ワタリドリ」の演奏は、無条件に心が解放されていくものだった。と共に、これから彼らがもっと広いフィールドに出て行くことをはっきりと感じたのは、私だけじゃないはず。この曲が映画の主題歌だということが個人的にめっちゃ嬉しいと川上は無邪気に喜んでいたが、[Alexandros]は、この国で一般層にまで愛される存在──というか、国境を軽く飛び越える存在になっていくんだろう。彼らに感じていたそういう予感は、近い将来に実現すると確信させる瞬間だった。それくらい彼らの現在地を1曲で言い切っているような、とても強い四重奏を奏でてくれた。それに、たとえボーカリストとのセッション中であっても、おかまいなしにゲストを差し置いてステージで暴れまくる川上の姿は、はじめはびっくりしたけど、同時にとても頼もしくもあった。衝動を抑えられないからこうして音楽をやっているロックミュージシャンは、いつだってエゴを出してなんぼ。本当はこうでなくちゃいけない。マインドにも世界基準のデカさがあるのが[Alexandros]だ。



人生は、ありきたりのひな型をなぞらえるのではなく、こんなにも楽しいし、こうして新しい景色と出会うことができる。このイベントはそんなことを教えていた。だけど退屈な毎日の中では、「生きるって楽しい」なんて思えることは、反逆にあたるのかもしれない。人々にそんな反逆心と気づきを与えたのがオアシスやプライマルといった[Alexandros]が敬愛するロックバンドの歴史でもあり、その他すべてのミュージシャンの功績である。そういう作用こそ、時間の経過を超越する「音楽」というものの普遍性そのものだ。そして、時代に対してそんな役割を果たした音楽家だけが、ムーヴメントを起こすのだろう。今、[Alexandros]にはその力がある。彼らがそれを身を持って伝えてくれた一夜であった。だから、コーストでもちょっと狭かったなと終演後に思ったのが正直なところだ。








text by RYOKO SAKAI
photo by AZUSA TAKADA

  ◆  ◆  ◆

<Welcome![Alexandros]LIVE>
2015.2.10(OSAKA)&2.12(TOKYO)
[GUEST VOCALIST]
大阪&東京出演:稲村太佑(アルカラ)、ハヤシ(POLYSICS)、Masato(coldrain)
大阪出演:光村龍哉(NICO Touches the Walls)
東京出演:川谷絵音 (indigo la End/ゲスの極み乙女。)

[SET LIST]
M1.For Freedom
M2.Vertigo(U2)
M3.Waitress, Waitress!
M4.She's Very ※大阪公演 / Song 2(Blur)※東京公演
M5.Droshky!
M6.Ho!
M7.Turn(Travis) ※大阪公演 / Forever Young ※東京公演
M8.You're So Sweet & I Love You ※大阪公演 / spy ※東京公演
M9.Kill Me If You Can
M10.Cat 2
M11.ワタリドリ
M12.Run Away
M13.Starrrrrrr
M14.シーラカンス イズ アンドロイド(POLYSICS)
M15.Kick&Spin
En1.壊れかけのRadio(徳永英明)
En2.Dracula La
En3.Adventure

スペースシャワーTV『Welcome![Alexandros] LIVE SPECIAL』

※<Welcome![Alexandros]LIVE>の模様を3月の『Welcome![Alexandros]』にてオンエア
初回放送:毎週(火) 23:00~23:15
※3月3日(火)の放送回よりオンエアいたします。
リピート:毎週(水) 24:00~、毎週(日) 26:30~
http://www.spaceshowertv.com/alexandros
Twitter:@Alexandros_sstv

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