【インタビュー】家入レオ「間違えたりすることって実はとても重要なことなんだなと思った」

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■10代の苦しみに向き合わなかったら20代になっても私を悩ませ続けると思う
■だからこそ、ちゃんといろいろなことに向き合いたかった


▲『20』初回限定盤

▲『20』通常盤

──人間は不完全だからこそ、自分に欠けているものを持っている相手に魅かれたりね。アルバム全体でテーマにしたことは?

家入:20代に一歩を踏み出すことって、私はちゃんと過去を受け入れることだと思うんですよ。10代の苦しみに向き合わなかったら20代になっても、そのことが形を変えて私を悩ませ続けると思うので、ちゃんといろいろなことに向き合いたかった。逃げても影って、ずーっと追ってくるんです。

──名言ですね。素朴でやさしい味わいのある「little blue」から「Silly」、ファンクなビートの「lost in the dream」に移行する前半の流れはとても素敵です。今の自分だから書けたという曲やチャレンジした曲は?

家入:「little blue」は自分でもすごく大切にしている曲です。もともと起伏があるというか、陰と陽が激しい自分が嫌いだったんですが、そういう極端なところがある性格だから歌を歌えるのかなとも思っていて。タイトルに“青”と付けたのは空の青だと明るいイメージだけど、涙の青は逆に悲しいイメージで、自分によく似ている色だと思ったからなんです。でも、喜びも悲しみも大人になる前の小さな世界の中で感じていたことなので“little blue”って付けました。

──大切な思い出、想いを歌った曲ですよね。

家入:そうですね。これから打ちのめされること、立ち直れないと思うこともあるかもしれないけれど、そんなときに記憶の中にある“あの日”に帰ったら、“もう一回、歩き出そうかな”と思える。私はそこに“永遠”がある気がするんです。今、いる場所もいつか懐かしい場所になるし、出会ったら別れがある。“永遠”は時間軸の外にあるものだと思うんですが、自分の中にある記憶が支えになって、生きていけたらいいなぁと。苦しいことがあったら、私はきっとこの曲の中に帰っていくんだろうなと思います。

──これからもずっと歌っていく曲になりそうですね。

家入:あと、「lost in the dream」も自分的にすごくこだわった曲です。映画『カサブランカ』(1942年)を見て刺激を受けて書いた歌詞なんですが、当時は想いを寄せている人がいても自分の気持ちを伝えないことが美学みたいな時代だったと思うんです。

──だから“叶わない夢でもいいよ”と歌っている。

家入:そうですね。映画を見ながら“やっぱり伝えなきゃダメなんだよ。もっと追いかければいいのに”って思いましたけどね(笑)。「lost in the dream」はアルバムの中でいちばん歌いこんだ曲です。リズムが重めなので、感情だけで歌うとツーマッチになってしまう。すごく歌い方を研究したし、言葉のアクセントにもこだわりました。

──ほかに新境地の曲や降りてきた曲はありますか?

家入:「love & hate」ですね。新境地というより、いちばん私の軸に近い楽曲で人間の本能を丸裸にした曲。愛される自信がないから、どんどん嘘を重ねていって、でも、どこかで“僕の嘘を見抜いて”って思っている矛盾というか。誰でも誰かのことを支配したいと感じることってあると思うんです。“僕の胸でむせび泣いて”という詞は大好きな人が悲しんでいるときに同じように悲しむ心もあるけれど、心のどこかで自分のことを頼ってくれてるっていう嬉しさもあったり。そういう人間の心理にスポットを当てて書きました。

──なぜ「love & hate」というタイトルに?

家入:なぜだろう。でも、私、すごく愛に執着していると思うんです。

──確かに歌詞の重要なワードになっていますよね。

家入:自分でもなぜこんなに愛にこだわっているのかわからないんですよ。たぶん、すごく求めているけれど、嫌っているものでもあるんです。わからないから、この曲でも“Ah 顔のない(僕はどこへ向かう)”って書いているんですよね。自分がどういう人格なのかわからないし、それって私だけではなくて、みんなそうだと思うんですが、家族に見せる顔、会社で見せる顔、友人に見せる顔ってそれぞれ違いますよね。自分っていったいなんなんだろうって。そういうところも突き刺しながら書いていった。

──ふりまわされたり、自分を見失ったりしそうで、家入さんにとって愛は怖いものでもあるんですか?

家入:いや、逆に私は振り回すことのほうが多いと思うんです(笑)。きっと愛がなんなのかわかっていたら歌わないだろうし。なんだと思います?

──今だにわからないです。無償の愛には辿り着けそうもない気がするし、愛の裏側には嫉妬があるけど、必ずしもその感情を否定したくない自分もいるし。

家入:好きな人には自分のキレイな部分しか見てほしくないのに好きになると同時に憎しみも覚える。なんでそういう作りになってるんだろうなと思うんですよね。そういう意味でも「love & hate」は20代の一歩に繋がる曲になったと思います。曲調もちょっと大人な感じで。

──ジャジーなテイストがありますよね。アルバムの最後が、「Last Song」なのも切なくもあり、ステキですね。

家入:これもすごく大事にしている曲です。昔は恋や愛以外の絆って信じられなくて、いつか尽きちゃうんだろうなと思っていたんですが、デビューしてから目に見えない心と心の繋がりがどんどん増えていったんです。“大切にしてもらってるんだな”と思う瞬間が何回かあって、この曲は13才のときから支えてもらっている人やこれまで出会ってきた大切な人に向けて歌詞を書きました。結果、いろいろな人に届けばいいなと思いつつ……。

──ホントに今の家入さんがそのまま出ているアルバムですよね。「勇気のしるし」のようなアグレッシブな曲も収録されているけれど、それだけじゃない。

家入:そうですね。「勇気のしるし」にしても自分を通して、いろいろな人に“がんばれ”って伝えたいと思って書いたので、今までとはちょっと違った角度の応援歌になっているんじゃないかと思います。

──なるほど。ちなみに家入さん自身は心が折れそうになったとき、どうやって立ち直ってきたんですか?

家入:心が折れそうになるときは“なんで自分ばっかり”って思うタイプなんですけど、あきらめというか、切り替えも早いんですよ。情がなさすぎるってよく言われるんですけど(笑)、泣いたらもう終了です。次に向かってがんばろうって。

──大泣きするタイプ?

家入:うん、泣いてる時間は手がつけられない状態になっていますね。

──吐き出し方がハンパじゃないんですね。

家入:自分ではわからないけれど、そうなんだと思います。発散しちゃうんでしょうね。私、人間的に奥ゆかしさが欠けた残念な作りになってるんですよ(笑)。

──でも、歌う人って切り替えがうまくないとステージに立ったりできないかもしれない。

家入:さっきまで人生のどん底みたいな歌を歌っていたのに、「サブリナ」を歌ってたりね(笑)。きっと、そこで鍛えられちゃったんでしょうね。もちろん、例外もありますけどね。悲しみは悲しみとして……。

──なかったことにするんじゃなくて、記憶に残して進んでいく。そんな向き合い方がアルバムにも出ていると思います。最後に5月からスタートするワンマンツアーはどうなりそう?

家入:デビュー当時から支えてくれた人たちにちゃんと成長を届けたい。あとは「Silly」がキッカケでこのアルバムを聴いてくれる人もいるのかなと思うので、ライヴで“こういう一面もあるんだ”って知ってもらえたらなって。20代初のツアーなのでがんばりたいです!

取材・文●山本弘子


『20』

2015.02.25発売
(初回限定盤) VIZL-780 \3,400+税
01.miss you
02.little blue
03.Silly
04.lost in the dream
05.心のカ・タ・チ ~Another Story~
06.TWO HEARTS
07.For you
08.純情
09.Still
10.love & hate
11.勇気のしるし
12.Last Song

(通常盤) VICL-64300 \2,900+税
01.miss you
02.little blue
03.Silly
04.lost in the dream
05.心のカ・タ・チ ~Another Story~
06.TWO HEARTS
07.For you
08.純情
09.Still
10.love & hate
11.勇気のしるし
12.Last Song
13.Silly (Another Version)

ライブ・イベント情報

<家入レオ 4th ワンマンTour ~20 twenty~>
2015.05.04 (月)日比谷野外大音楽堂
[問]SOGO TOKYO:03-3405-9999
2015.05.09 (土)札幌ファクトリーホール
[問]マウントアライブ:011-211-5600
2015.05.16 (土)仙台Rensa
[問]チケットGIP:022-222-9999
2015.05.23 (土)BLUE LIVE広島
[問]夢番地(広島):082-249-3571
2015.05.24 (日)高松オリーブホール
[問]デューク高松:087-822-2520
2015.05.30 (土)福岡市民会館
[問]BEA:092-712-4221
2015.05.31 (日)鹿児島CAPARVO HALL
[問]GAKUONユニティ・フェイス:0985-20-7111
2015.06.04 (木)金沢EIGHT HALL
[問]キョードー北陸チケットセンター:025-245-5100
2015.06.12 (金)エニスホール(野木町文化会館)
[問]エニスホール:0280-57-2000
2015.06.14 (日)日本特殊陶業市民会館フォレストホール(名古屋市民会館)
[問]サンデーフォークプロモーション:052-320-9100
2015.06.21 (日)三島市民文化会館
[問]三島市民文化会館:055-976-4455
2015.06.24 (水)鹿嶋勤労文化会館
[問]鹿嶋勤労文化会館:0299-83-5911
2015.06.27 (土)三田市総合文化センター 郷の音ホール
[問]響の音ホールチケットセンター:079-559-8101
2015.06.28 (日)大阪国際会議場メインホール(グランキューブ大阪)
[問]キョードーインフォメーション:06-7732-8888
2015.07.04 (土)渋谷公会堂
[問]SOGO TOKYO:03-3405-9999

<MUSIC SHOWERチュートリアルの徳ダネ福キタル♪SPECIAL LIVE>
2015.03.08 (日)豊洲PIT
[問]DISK GARAGE:050-5533-0888
【MC】チュートリアル、ニコル
【出演】家入レオ/UNISON SQUARE GARDEN/RIP SLYME andmore!


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