【インタビュー】三宅由佳莉、あきらめず進んでいけば虹は絶対に架かる『希望~Songs for Tomorrow』

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■海上自衛隊での日常はほぼ一日中デスクワークです(笑)
■企画係として台本を考えたり広報係として会場との打ち合わせをしたり


▲『希望~Songs for Tomorrow』DVD付限定盤

▲『希望~Songs for Tomorrow』通常盤

――この曲もそうですが、どの曲でも歌詞をかみしめているように、言葉を大事にして歌っているように聴こえるますね。

三宅:今回作詞をしたことで、歌詞に対する向き合い方が変わった気がします。自分で作ってみると、さっきの“架かれ”と“架かる”の一文字の違いだけでもすごく思い入れがある。それなのに今まではそういうのを見逃していたんじゃないかと。自分のことに置き換えてもいいから、もっと歌詞に自分の想いをぶつけていいんじゃないかと思えるようになりました。

――今回そういう気持ちで歌ってみて、歌詞に改めて感動したような曲もありましたか?

三宅:「この道」ですね。歌いながらジーンとしました。自分が母と一緒に歩いた道を思い出しながら、今その場所にいる、そんなことを考えただけでもグッとくるし。

――岡山のことを思い浮かべて?

三宅:そうですね。この歌で歌われてるのは北海道なんですが、私にとっての“この道”は岡山の道なので。母と自分のことを重ね合わせて歌いました。

――作詞は今後もやってみたいですか?

三宅:はい。私は自分の気持ちを表に出すのが苦手なんですが、今回こうして自分の気持ちを言葉にしてみると、意識が高まるというか、気持ちがすごく整理されるのがすごくいいと思ったんです。今後も普段気になったことなどを書きとめて、自分なりの言葉にしていけたらいいなと思います。

――では今回の作詞の作業は苦痛ではなかったんですね。

三宅:大変でした(笑)。ホントに大変だったんですけど、なんかいやな苦しみではなかったというか、その苦しみがちょっと良かったというのもあったかな(笑)。

――どんな歌詞を書きたいと思いますか?

三宅:今は具体的なものはないですが、入隊した当初からずっと変わらずに思っているのが、ほかの人のために歌いたいということなんです。だから、ほかの人のためになにか力を与えられる曲を生み出せたらいいなと思います。

――ところで、DVDのついた限定版もありますが、DVDの映像はどんな内容なんですか?

三宅:レコーディング風景など、メイキング映像という感じです。隊員それぞれの顔もクローズアップされているので、私だけでなくみんなの音が重なってハーモニーになっているのを、映像からも感じてもらえたらうれしいです。

――海上自衛隊の音楽隊の隊員としては、どんなことをしているんですか?

三宅:ここでの日常は、ほぼ一日中デスクワークです(笑)。私はコンサートでMCもやるんですけど、企画係としてその台本を考えたり、広報係としてはコンサートのチケットの番号を振り分けたり招待状の準備をしたり、会場との打ち合わせをしたり、そんな事務作業をしながら練習をして、という感じです。他の隊員もみんな演奏のほかにそれぞれ色々な役割を兼務しています。

――そのほかに自衛官としての訓練などもあるんですよね?

三宅:それは時々なんですけど、たとえば2014年の1月から3月は横須賀に行って、走ったり泳いだり勉強したりというのを、朝から晩までやっていました。

――そんな中で、コンディションを維持するためになにか気をつけていることはありますか?

三宅:気をつけているのは睡眠ですね。あとは大きな声で笑わないとか(笑)。大勢の宴会とかだと大きな声でしゃべったり笑ったりしちゃうんですね。次の日に声が枯れてたりするので、そういう時は気をつけてますね。

――音楽隊全体としては、どんな活動をされてるんですか?

三宅:定期的に演奏会があり、地方でも演奏をしたりしながら、その合間にここで事務作業を(笑)。あと、式典での演奏も音楽隊の任務です。

――音楽隊の中にも色々な編成があって、色々なところで演奏してるんですよね?

三宅:そうです。全員でやるフルの編成から、それよりちょっと小さいビッグバンド、あとは船に乗ってBGM演奏をするような小編成もあります。それぞれのイベントに応じた編成で行くことになります。演奏会はだいたい全員で参加しますね。

――演奏会はどのくらいのペースで?

三宅:音楽隊全体でいうと、3日に1回は式典または演奏会がある、というペースですね。年間120日くらいは演奏の仕事をしています。

――そんなにあるんですか!?

三宅:そうなんです。東京音楽隊は全国に行きますので。私は演奏会など、フルのバンドのときに参加することが多いんですけど、少人数でしか行かれないときに5人とかのバンド形式で派遣に出ることもあります。震災の被災地で歌ったときは7人の編成で行きました。あと、一人でイベントに行って国歌を歌ったりもします。

――フルバンドに参加するときは、吹奏楽にボーカルが一人というスタイルですよね。これは珍しいんじゃないですか?

三宅:そうですね。でも日本以外、たとえば米軍などの音楽隊では当たり前に歌手がいるんです。入隊したときにはそういった映像を色々見せていただいて、そこから漠然としたイメージを感じ取っていました。でも実際にやるとなると、自分にとっても周りのみんなにとっても初めてのことなので、お互いに探りながら、やり方を見出していったという感じでした。

――演奏会などで披露する楽曲はどのように選んでいるんですか?

三宅:演奏会の場所やいらっしゃるお客さんに合わせて、たとえば年配の方がたくさんいらっしゃる演奏会なら演歌とかも歌いますし、子供たちが多ければドラえもんも歌うし妖怪体操も一緒に踊ったりします(笑)。聴いてくれる方が楽しんでもらえるかどうかを一番に考えて選んでいます。

――ところで、新たに自衛隊にボーカリストが3人加わったそうですね。もう会いました?

三宅:はい。会ってお話もさせていただいて。海上自衛隊に1人、陸上自衛隊に2人入ったんです。みんなそれぞれキャラクターも歌い方も違うんですよ。彼女たちが歌ってる姿を見て刺激をもらえるし、もっと頑張らなきゃ、と思いますね。そう思うような存在ができたことがありがたいと思っています。いつか彼女たちと共演したいですね。音楽祭りなどで同じステージに立ったことはあるんですけど、デュエットみたいな形で一緒に歌ってみたいです。

――新しく入った後輩に伝えたいこと、教えたいことはなにかありますか?

三宅:彼女たちが入った時に直接会って伝えたことなんですけど、まずは、自分が壊れてしまっては意味がないので、自分の心は大切にしてあげてね、ということですね。あと、同じ自衛官の歌手ではあるけれど、私とは環境も違うはずなので、それぞれの環境の中で頑張ればいい。私と比べる必要はないし、自分なりの答を見つけてほしい。そして一緒に頑張って続けていこうね、ということを話しました。


――最後に、今後の目標を教えてください。

三宅:入隊以来ずっと心がけているのは、人のために歌うということ。その初心は忘れないようにしたいですし、それがこれからの目標でもあります。具体的に叶えたい夢としては、新人のボーカリストとの共演を実現させたいです。そして遠洋練習航海にも参加したいですね。世界中を回って、各地で国際親善の任務に携わりたいと思っています。

取材・文●田澤 仁



『希望~Songs for Tomorrow』

2015年3月4日発売
DVD付限定盤:UCCY-9023 価格¥3,888 (税込)
通常盤:UCCY-1053 価格¥3,240 (税込)
【収録曲】
1.旅立ちの日に
2.レット・イット・ゴー ~ありのままで~(映画 『アナと雪の女王』より)
3.ユー・レイズ・ミー・アップ
4.希望 *オリジナル曲 作詞:三宅由佳莉  作・曲:清水大輔
5.木綿のハンカチーフ
6.椰子の実
7.花
8.この道
9.早春賦
10.愛は花、君はその種子 (映画 『おもひでぽろぽろ』より)
11.シンク・オブ・ミー (『オペラ座の怪人』より)
12.見上げてごらん夜の星を
13.希望 (ensemble version)

限定盤 特典DVD ミュージック・ビデオ
★旅立ちの日に
★希望(オリジナル曲)
★祈り~a prayer (piano version)


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