【ライブレポート】Berryz工房がラストコンサート。「また会えるよね」

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鳴り止まない「Berryz行くべ!」の大コール。ラストコンサートに用意されていたWアンコールの1曲は、ステージ上にセッティングされたピアノを伴奏にした「Love together!」。喉の不調と枯れるほどの涙。菅谷梨沙子は、それでも最後の瞬間は笑っていたいのだろう、無理矢理に笑顔を浮かべながら儚げに歌う。しかしそれは、観客の心を、感情を揺さぶるような魂の歌声。

続く夏焼 雅は、涙を輝かせつつも、自分の感情で歌えなくなるのはプロフェッショナルとしてのプライドが許さないのだろう。こういう時にちょっと強がってしまうのが、夏焼 雅という人なんだから、それはもうしょうがない。どこまでも綺麗な涙は流れるままに、前を向いてしっかりと歌い上げる。

「梨沙子!」「千奈美!」「雅!」「佐紀ちゃん!」「茉麻!」「桃子!」「友理奈!」と、歌ったフレーズごとにメンバーの名前を一斉に叫ぶオーディエンス。その声はいつしかメンバーと一体になった大合唱へと形を変える。そして、いつまでもこの胸に響き続けるのだった。

21時20分、<Berryz工房ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!>終演。“21時までのシンデレラ”の魔法が解ける……というシナリオに対して、ちょっとだけ延長が入ってしまったのも、それもなんだかBerryz工房。最初から最後まで彼女たちを一番近いところで見てきたつんく♂プロデューサーの言葉を借りるなら「最後まで100点じゃないのがBerryz工房」ということだろう。

そして、11年ぶんの「Berryz最高!」のコールが響く頃、ハロー!プロジェクトの晴れ女集団・Berryz工房の活動停止に合わせるように、日本武道館の外では、雨が降っていたのだった。

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強烈な7人の個性の集合体だったBerryz工房。それは、5人がひとつになることで、ダンス&ボーカルグループとしてぐっと存在感を増す同期・℃-uteとは対極に位置するようなグループだった(ちなみに、個人とグループの個性を切り替えていくかのように、卒業と加入のシステムを組み入れて、時代に合わせて柔軟にグループの形を変えてきたのがモーニング娘。)。

Berryz工房という個性派たちの集まりが活動を停止してしまう。それは純粋に残念であり、未来のアイドルシーンにおいても決して小さくない損失である。「Berryz工房がいたから楽しかった」というファンだけでなく、現役アイドルたちの中にも「Berryz工房に憧れて芸能界を目指した」という人は数多い。活動停止に言及したツイートや、実際、この日の公演に足を運んだ(事務所の先輩後輩以外の)アイドルたちを目にした、という人もいることだろう。Berryz工房なしに今のアイドルシーンは語れない。いつの間にか、彼女たちはそんな存在にもなっていたのだ。

今後この7人は、それぞれの個性を武器に、描いた未来図に向けた活動を展開していくことだろう。しかし、Berryz工房は解散したわけではない。「解散」とは一言も謳っていない。

Berryz工房、無期限活動停止。だけどいつの日か彼女たちが、それぞれの夢や未来を手に入れ、そして再びそろってステージに立つ時がくる、かもしれない。メンバーはそれを否定していない。

もちろん、それがどんな形になるのか、いつになるのかなんてものはわからない。しかし誰も未来の可能性を否定はできない。ファン全員が10年、20年、30年、50年と何の疑いもなく続くと思っていたBerryz工房でさえ、歩みを止めたのだから。

2015年3月3日。僕らは、ステージ上の7人に手がちぎれるほど強く、大きく手を振って別れた。彼女たちは、涙で顔を濡らしながらも、それでも最後まで笑顔で割れんばかりの歓声に応え、そしてステージを降りた。

いつか、眩いばかりのスポットライトの中、あの最高にかっこよく、最高に凸凹していた7人がそろって、再びステージ上に姿を見せる時。その時、僕たちは、あの日と同じ仕草で、やっぱり手がちぎれるほど強く、大きく手を振って叫ぶのだろう。

「Berryz行くべ!」「Berryz最高!」と── 。


text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)



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