【ライブレポート】<TM NETWORK 30th FINAL>。そして例のバトンは我々“潜伏者”の手に

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TM NETWORKの30周年を締めくくるライブ<TM NETWORK 30th FINAL>が、3月21日と22日に横浜アリーナにて開催された。彼らの横アリ公演は、2004年4月21日に開催された20周年記念ライブ<TM NETWORK DOUBLE-DECADE “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA>以来、約11年ぶりとなる。

◆<TM NETWORK 30th FINAL>画像

小室哲哉の総合演出で、「地球に潜伏して音楽を通した調査活動を行う宇宙人=TM NETWORK」というコンセプトのもと、2012年4月の日本武道館公演から2014年4月の30周年記念ツアー<QUIT 30>(および<TM NETWORK 30th 1984~ QUIT30 HUGE DATA>)まで行なわれてきたTM NETWORKのシアトリカルなライブ。<TM NETWORK 30th FINAL>と銘打たれた横浜アリーナ公演は、一連の物語をダイジェストにし、さらにリミックスしたような内容となっていた。

とはいえ、単なるダイジェストだけに終わらないのがTM NETWORK。今回、サポートミュージシャンには松尾和博(Gt)とRuy(Perc / ※ツアーではDr)に加えて、阿部薫(Dr)と葛城哲哉(Gt)が参加。ということは、まさかの「DREAM'S OF CHRISTMAS」が1曲目なのかと色めき立ったFANKSも多かった……のかは定かではない。そして実際の公演で、オープニングの「Just Like Paradise 2015」からの1曲目を飾ったのは、トーキングモジュレーターの音色に誘われてTMN時代もっとも色濃くロックテイストを盛り込んだシングル曲「RHYTHM RED BEAT BLACK」。さらに2013年のさいたまスーパーアリーナ公演ではインストで披露された「Children of the New Century 2015」と、2012年からの一連の流れの中で披露されなかった楽曲も並んだ。

一方で、これまでの“物語”の核となったCAROLについての楽曲、“CAROL組曲”も今回の公演にはしっかりと組み込まれた。<HUGE DATA>の際に、音が盗まれてしまった世界との対比として、レーザーの洪水とジャイガンティカの懐かしい映像とのシンクロでオーディエンスのド肝を抜いた「Gia Corm Fillippo Dia」は、横浜アリーナでも見事に再現。「In The Forest」で、宇都宮隆が指のタクトを振るえば、スクリーンに映し出された26年前の宇都宮が歌うという過去映像との融合。昨今、音楽業界では過去作品のハイレゾ化やリマスタリングがトレンドだが、TM NETWORKの場合は、いわばライブ自体をハイレゾ化、リマスタリングしたかのような、1989年の追体験に我々を連れ出していく。

そして年齢を重ねたキャロル・ミュー・ダグラスからのメッセージも随所に差し込まれる。「UTSUは理想の男性でした。」「KINEは優しい兄のようでした。」という印象的な言葉。「FANKS、聞こえますか?」という呼びかけに呼応したのは「STILL LOVE HER」ではなく今回は「JUST ONE VICTORY」。しかし、1万人が一斉に突き上げる腕と大合唱という光景は、2015年3月の横浜アリーナでも、キャロルからのメッセージを受信できたことを確信へと変えた。

15分のインターバルの後には、こちらもツアーを通して話題となった木根尚登をフィーチャーしたコーナーへ。大きな歓声に手を挙げて応える木根。そして大きなブルームーンを背に、フラメンコギターの葛城と、鍵盤の木根、そしてパーカッションのRuyとのセッションによる「月はピアノに誘われて」。

小室哲哉がステージインして、ビートが横アリを揺らすと、聞きなれたコードの重なりが聞こえてきて、ピンクの水玉のシャツ姿の宇都宮隆も登場する。一緒に時を重ねてきたからこそ、オーディエンスひとりひとりに浮かぶ夏の景色。そんな遠い記憶に一瞬で連れて行くタイムマシーンのような「あの夏を忘れない」。オーディエンスも体と揺らして、軽く飛び跳ねながら、一緒に口ずさむ。

会場を一体にまとめてみせると、今度は小室哲哉が縦横無尽に音を飛ばして横アリをクラブ系フェスのような光景に変えていく。モザイクのようなビジュアル演出と空間を飛び交う7色の(RAINBOW RAINBOWな)レーザービーム。そして繰り返される「Self Control」「Get Wild」「DIVE INTO YOUR BODY」の断片。ただただ圧倒される人に、音に身を任せて飛び跳ねる人。さらに、“例のアタック音”と宇都宮のボーカルサンプリング。小室がカメラのレンズにサインを書いて、ステージには炎が上がり、阿部のドラムも熱を帯びる。木根のアコギの激しいストロークが重なり、ジリジリと音を立てて興奮の度合いが高まっていく。そうして迎えたのは「Get Wild 2015」。こんな熱狂のステージに、宇都宮もマイクスタンドを抱えていつもより余計に回るというものである。

<HUGE DATA>公演と同じようにNord Lead 3をスタンドから引きずり下ろし、ステージ前方でソロプレイ。そして客席側に投げ込むと大爆発が巻き起こる。なお余談だが、Nord Leadの下にセッティングされ、妖しく赤く輝いていた機材は、今回初投入された「Roland JD-XA」。発売前のシンセだった。

「We Love The Earth」では、円形に組まれたステージ上空のトラス中央に位置するミラーボールに光が当てられ、レースのような光を生み出す。そして多幸感に満たされて誰もが頭の上でこのステージに拍手。そして「30周年ありがとう!」の宇都宮隆のシャウトでテープが一気に発射されると「Be Together」は、1万人が歌って踊っての完全なるお祭り騒ぎ。ボーカルの声が聞こえなくなりそうなほどの大合唱で、笑顔を見せながらウツのターンも華麗に決まる。特に煽ることをせずとも横浜アリーナが、1万人が自然に歌って踊ってしまう。これこそが、TM NETWORK 30年の実力。

小室が赤いTetsuya's Mind Control、木根が白のRGXA2を手に、3人がステージ上に並んでの「I am」では、小室と木根がひとつのマイクでコーラスするパフォーマンスも。

そして、円形のトラスから伸びる3本の光が、まるで3人を再びどこかに連れ去っていくようなシーンを描いて、最後のメッセージは「Fool On The Planet」。「I am」とともに、青い揺れる惑星での活動、出来事に感謝するような歌声の最後は、<捜し続けてく forever>で終わる。

「The times go on, We move on.」

星空の下、手を振りながら煙と光の中に消えていった3人。一連の物語で様々な人たちの手にわたったバトンは、終演後に彼らから残されたコードをもって、他でもない我々“潜伏者”の元へと預けられたのだった。

<TM NETWORK 30th FINAL>セットリスト

OP. Just Like Paradise 2015
01. RHYTHM RED BEAT BLACK
02. Children of the New Century 2015
03. Here, There & Everywhere
04. SCREEN OF LIFE
05. Birth
06. CAROL 2015 M1
07. A Day In The Girl’s Life
08. CAROL (Carol’s theme I)
09. Gia Corm Fillippo Dia
10. CAROL 2015 M2
11. In The Forest
12. CAROL (Carol’s theme II)
13. Just One Victory
INTERMISSION 15min.
14. 月はピアノに誘われて
15. あの夏を忘れない
16. TK SOLO~ Get Wild 2015
17. We Love The Earth
18. Be Together
19. I am
20. Fool On The Planet
END. Electric Prophet

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