UQiYOが3月18日、2ndアルバム『TWiLiGHT』をリリースした。映画館やコワーキングスペース、寺院などライブハウス以外での公演ほか、ボトルの中に夏の空気(柑橘系の香り)と手紙(文章に加えて音源にアクセス可能なQRコード)を封じ込めた作品『Summer Sun』リリースなど、彼らの活動や表現形態はオリジナリティが高い。その新たな試みや音楽性そのものが多くのクリエイターからの共感を得て、現在のUQiYOは、クリエイターとのコラボプロジェクトの中で楽曲が育まれることが多々あるという。

◆「Twilight」ミュージックビデオ

リリースされた『TWiLiGHT』はYuqiが作り出すエレクトロ要素の強いポップミュージックを基盤としながら、ジャズの素養を持つPhantaoのピアノが楽曲に豊かな彩りも絶妙な違和感も生んでいる。収録全15曲はそれぞれにバックグラウンドを備え、時に実験的な制作方法も採られた。とことんまで細部にこだわり、結果勝ち得た『TWiLiGHT』について、またUQiYOというユニットの音楽的コアについて、YuqiとPhantaoにじっくり訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■これほどまでに、まったく音楽的な要素が被っていないのは
■DNA的に、とても素晴らしいことだなと

──最初に、UQiYO結成の経緯から教えてください。

Yuqi:元々、僕はバンドをやっていて、2007年くらいにそのバンドが解散した後、ずっと1人で曲を作っていたんです。僕は、中学生くらいから宅録をやっていて。最初は、タスカムの4トラック・テープMTRから始まって、MDを使ったヤマハのMD4、そしてローランドのVSシリーズを使うようになって。録音メディアは、ZIPディスクでしたよ。

──ZIPディスクって、かなり懐かしいですよね(笑)。

Yuqi:(笑)。そこからPro Toolsに移行するという変遷をたどるんですが、いずれにせよ、ずっと部屋に暗くこもって(笑)、曲を作っていたわけです。そこに、ポストロックとかが、自分の中にバーンと入ってきて。ロックにエレクトロを取り入れると、音楽の世界が広がると分かって、そういった曲を作るようになったんですね。その頃に、Phantaoと会社の同僚になりまして。

──バンド解散後に、一度、会社勤めをされたそうですね。

Yuqi:とあるスピーカー・メーカーに、開発エンジニアとして就職しました。僕はいわゆる第二新卒で、2月に就職しました。直後の4月にPhantaoが入社してきて、研修とかも一緒だったので、ほぼ同期という感じだったんです(笑)。

Phantao:部署が違ったので、仕事上の絡みはほどんどなかったんですけど、社内の軽音楽部で一緒になって。

Yuqi:それで一緒にバンドを組んだりしていたんですが、彼が3年目くらいで、先に会社を辞めたんですよ。それも、「自分はジャズ・ピアノで食っていきたいんだ」って。その時点でも、ピアノはかなり上手かったんですが、音楽専門学校に入り直すと言うので、その気合いに驚いて。そこで、さらに彼に興味を持ったんです。ちょっと自分と通じる部分も感じたし、そこから2人でスタジオに入ったりするようになって。

Phantao:僕が会社を辞めてから、2人で活動を始めたんです。だけど、僕もいろんなバンドをやってきた経験上、音楽的なコンセプトがブレると絶対に崩壊すると考えていたので、曲は彼が専門的に作って、レコーディングやライブのピアノは僕が弾くよというスタイルの方が、上手くいくと思っています。だから、あんまり文句も言わないよね?

Yuqi:うん。彼は、本当に男らしいんですよ。僕がたまに、「こういう曲にしたいんだけど、たぶんライブは無理だよね?」とかって相談すると、「ライブのことは任してくれればいいから、気にしないで作れよ」って言ってくれるんですよ。すごく頼もしくて、「よし、そうする!」って、曲を作れるんです。

Phantao:まあその後、ライブ前にすごく苦労するんですけどね(笑)。

──(笑)。それでは、曲作りは基本的にYuqiさんが?

Yuqi:そうです。「Arakawa」は、Phantaoがピアノ・ラインを作ってきて、そこから一緒に揉んでいきましたが、それ以外は、だいたい僕です。曲ができたら、デモを渡して。

Phantao:完成形に近いくらいの状態のデモを聴かせてもらうことが多いですね。もしくは、彼が煮詰まっている状態(笑)。

Yuqi:あるある。「助けて。こんなになっちゃった」って(笑)。

──たとえば、「Twilight」は、ミニマルなピアノのループがとても印象的ですが、これはどちらのアイデアなのですか?

Yuqi:僕も鍵盤を弾くので、ああいったシンプルなループは、僕が作ります。やっぱりPhantaoはピアノのスペシャリストですから、スペシャリストが登場すべき場面があると思っていて、そういう部分で相談する感じですね。

──カッチリと作ったデモに、アドリブ的な要素を入れてもらうようなイメージ?

Yuqi:そうですね。

Phantao:ただそれもいろんなパターンがあって、ベーシックから僕がピアノを入れる時もありますし、ソロっぽいのを弾く時もあります。それが採用されない時もあるし。ピアノ・ソロのつもりで弾いたフレーズが、全然違う音色に変わっていたりすることもあったりして(笑)。

Yuqi:ピアノはMIDIデータで録音するので、あとで音色を変えて、笛のソロになってたりもするんですよ(笑)。それでも、Phantaoは毎回、「煮るなり焼くなり、好きにしていい」って言ってくれるから、本当にやりやすいんですよ。そんな中でも、「Snow White」のピアノ、あれはよかったよね。

Phantao:この曲は、確かデモの段階でピアノもキッチリと入っていたんですけど、それをあえて、すべて弾き直して。

Yuqi:絶妙なところで、絶妙に“外して”くれて、それですごく曲に深みが出たよね。

Phantao:たぶん、誰も分からないところだと思いますが(笑)、そういった部分に、僕らのこだわりがいっぱい詰まっています(笑)。

──その細かいこだわりの積み重ねが、UQiYO独特の世界観を生み出していると思いますし、Phantaoさんのジャズの素養が、単なるエレクトロニカとは違う、人間味のあるポップさを生み出すポイントになっていると感じています。ちなみにPhantaoさんは、どういったジャズが好みなんですか?

Phantao:ジャズに興味を持ったのは高校時代なんですが、その時は何から聴けばいいのか分からなくて、TSUTAYAにあるジャズ・コーナーのCDを片っ端から聴きました。それらジャズ・バーに通って、ジャズ好きのおじさん達に揉まれたりしながら(笑)、大学に入ってからは、ブラジル系や、カリブ系をよく聴いていました。ただ僕の中では、UQiYOの音楽性とはあまりリンクしていないと感じていますけど、それでも最近は、そういった要素も楽曲に放り込めているかもしれません。

Yuqi:すごく効いていると思うよ。そう! 今、思い出したんですけど、そもそも彼と組もうと思ったきっかけも、ジャズだったんですよ。その要素は、僕には皆無なものでしたから。お互いに音楽好きなのに、ずっと聴いてきた名盤だとかの話をすると、見事に被らないんですよ。Phantaoが勧める名盤を僕は全然知らないし、Phantaoも、僕がいう作品が、全然分かってない様子で(笑)。

──聞くところによると、Yuqiさんは、シガー・ロスやビョークなどに影響を受けたそうですね。

Phantao:シガー・ロスくらいは知ってますけどね(笑)。

Yuqi:でも、それもたまたまですよ(笑)。これほどまでに、まったく音楽的な要素が被っていないのは、DNA的に、とても素晴らしいことだなと思って。

Phantao:これは強い子どもが生まれるな、と(笑)。

Yuqi:そう、「この人と結婚すればいいってことだな」と思ったんです(笑)。最近は、そういったいい効果が、少しずつ出てきていると思います。

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