【インタビュー】マーク・ロンソン「いいアイディアはいつだって夜に浮かぶ」

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「Uptown Funk」が11週全米チャートのNo.1に輝くマーク・ロンソンが来日を果たした。これまでも、グラミーでプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを受賞したり、アーティストとしても2007年にリリースした『Version』で成功してきた彼だが、これほどのヒットは最大級。ノリに乗っているロンソンに話を訊いた。

――まずは、「Uptown Funk」の全米での11週No.1、おめでとうございます。

マーク・ロンソン:ありがとう。1週だけだったとしても、快挙だった。それまで僕の曲がBillboardのHot 100に入ったことはなかったんじゃないかな。だから、こんなスゴイことになるなんて信じられないよ。僕ら、グッド・フィーリングがつまった、みんなが聴いていてハッピーだったりいい気分になったり、クールに思うような曲を作ろうとしたんだ。でも、なんて言ったらいいのか、わからないよ。すごく驚いているしハッピーだし、すべてが現実のこととは思えない。

――アルバム『Uptown Special』には他にもたくさんいい曲があります。全て、シングル・カットできそうですね。アルバムを制作中、そういうことは考えていましたか?

マーク・ロンソン:いや……、それが、多分、いまのポップ・ミュージックの問題の1つだと思うんだ。アルバムに、別々のソングライターが作った10曲を収録して、10曲全てをシングルにしたいって考えているアーティストが多い。僕は、アルバムで1つの作品にしたかった。アップビートなものがいくつかあって、落ち着いたものがくる…、そんな流れで、最初から最後まで聴きたくなるようなアルバムを作りたかった。1つ1つがシングルになるんじゃなくてね。

――それでは、あなたは1曲だけをピックできるダウンロード・サイトやストリーミング・サイトに反対?

マーク・ロンソン:そんなことはない。僕も1曲だけダウンロードすることあるし。でも、僕が好きな音楽は…、家にいて日曜日に音楽を聴くとしたら、アルバムをかける。アルバムを最初から最後まで聴くのが好きなんだ。「Uptown Funk」だけダウンロードする人がいてもいい。嬉しいことだし、感謝するよ。でも、最初から最後まで聴きたいって思ってもらえるようなアルバムにしたかった。始まりがあり間があって、終わりがあるような…。ダフト・パンクやアーケイド・ファイアは、そういうストーリーを持ったアルバムを作っている。

――では、『Uptown Special』にはどんなストーリー、どんなテーマが込められているのでしょう?

マーク・ロンソン:そうだな、ほとんどの歌詞は、僕が大好きなマイケル・シェイボンっていう小説家が書いていて、同じキャラクターがあちこちに登場している感覚はある。でも、メイン・テーマは…、全部の曲がリンクするのは「夜」なんじゃないかな。どの曲にも夜のフィーリングがある。夜って、いろんなことが起きる。クラブへ行って踊りまくることもあれば、昼間見ないような怪しい人が現れたり、楽しいことも起これば、危険なことも起こり得る。

――結婚しても、落ち着いたわけではなく、まだ夜型なんですね?

マーク・ロンソン:そう言えるね(笑)。この曲のほとんどは夜、作ったんだ。昼間作ったのもあるけど、いいアイディアはいつだって夜に浮かぶ。空気が重くなり、電話もならない、そういうとき、別の世界へ行くことができる。朝10時、明るい時間にいい曲が作れたらって思うよ。そうしたら、1日の生活がずい分楽になる。でも、どうしてかわからないけど、僕には無理みたいだ(笑)。

――このアルバムでは自分が得意なことに専念したかったと聞きました。あなたが得意なことはいろいろあると思いますが、具体的にいうと?

マーク・ロンソン:僕は…、インディ・ロック、ヒップホップ、ファンク、ソウル・ミュージックが本当に大好きなんだ。これまでのアルバムではいろんなものを詰め込み過ぎたように思う。このアルバムでは、自分が1番理解している音楽、1番心に響く音楽、DJやプロデュースを始めたとき1番近くにあった音楽、それはソウルやR&B、ファンクなんだけど、そういった音楽に焦点を当てて、これまで誰も作ったことがないようなものを作りたいって思った。もちろん、そのジャンルではファレル・ウィリアムスやダフト・パンクが素晴らしいアルバムを作っている。でも、僕のやり方は彼らと違う。それに、こういうタイプの音楽を作ったとき、みんなから「君らしい」って言われることが多いんだ。だから、僕はそれが得意なんだと思う。

――どうやって曲が生まれるのか、教えてください。


マーク・ロンソン:そのときどきで違う。Jeff Bhaskerと共作しようと決めたのは、彼が素晴らしいソングライターだからだ。最高のジャズ・ピアニストだよ。だから、今回は自分にとって挑戦だった。いい曲、いいコードを作らなきゃって。だから、彼と一緒に彼のピアノで作ることが多かった。それに、マイケル・シェイボンからもらった歌詞からインスパイアされることもあった。彼が送ってくれた歌詞を読んでいて、突然、メロディーが浮かんだりね。「Uptown Funk」はブルーノ(・マーズ)のスタジオでジャムしていて誕生した。いろいろだよ。

――フィーチャリング・アーティストは、曲が完成してから、それに合う人を選ぶのでしょうか?

マーク・ロンソン:そうだね、曲ができて、誰がいいかなって考えるときもある。「Summer Breaking」のケビン(・パーカー)はそうだった。でも、「Daffodils」のケビンは彼がすでにギター・リフを作っていて、そこから曲が広がった。ブルーノとは一緒に作ったし…。でも、たいていは曲が先で、あとから誰がいいかなって考える。

――スティーヴィー・ワンダーとのコラボはどうでしたか?

マーク・ロンソン:彼がOKしてくれたのは、いまでも信じられないよ。あの曲(「Uptown’s First Finale」)のメロディーを作ったとき、これはスティーヴィー・ワンダーのハーモニカじゃなきゃダメだって思い続けてたんだ。ほかの楽器で試したり歌詞を変えてみても、やっぱりスティーヴィー・ワンダーじゃなきゃって頭から離れなかった。それで、彼のマネージャーに曲を送ってみたんだ。会ったことなかったんだけど(笑)。しばらく返事が来なくて、そうしたら2ヶ月後、「スティーヴィーが気に入ったから、今週末、シカゴでレコーディングする」って連絡が来た。信じられなかったね。僕の人生で最良の日だったよ。

――でも、この曲はスティーヴィー・ワンダー以外の声が入っているところは想像できませんね。スティーヴィーのために作られた曲みたいですが。

マーク・ロンソン:そうなんだよ。多分、僕は曲作りの面で彼にものすごく影響を受けているからだと思う。ピアノを習い始めたときも、スティーヴィー・ワンダーのピアノ本を買って、練習してたんだ。

――アルバムを聴いていて、もう1人名前が浮かんだアーティストがいます。ジェイムス・ブラウンなんですが…

マーク・ロンソン:そうだね。彼はファンク・ミュージックの生みの親だから、彼はヒップホップ、ソウル全ての音楽に影響を与えている。DJやるとき、ジェイムス・ブラウンのレコードを持っていない日はないよ。

――1人選ぶのは難しいと思いますが、最もインスパイアされるアーティストは?

マーク・ロンソン:多分、スティーヴィー・ワンダーだね。彼の音楽はどんなときでも聴いていられる。毎日音楽を作っていると、忘れがちなんだけど、誰かに「君の音楽を聴いているとハッピーになる」って言われると、はっとするよ。だから、僕はこの仕事をやってるんだって、思い出す。みんな、いい気分になりたいから、僕の音楽を買ってくれるんだってね。僕にとっては、スティーヴィーがそうなんだ。彼の音楽を聴いていると、気分が落ち着く。幸せな気分になれる。それが音楽の力なんだと思う。


――あなたは子供のときから音楽業界に慣れ親しんきたと思いますが、その裏側を知っていてもなお、音楽の道に進みたいと思っていましたか?

マーク・ロンソン:そうだね。他の道は考えたことなかった。いつも音楽を作ってたし、高校のときは学校の新聞でコンサート・レビューを書いていた。13~15歳のときは、夏休みはいつも『Rolling Stone』誌でインターンをやってたんだ。音楽業界の悪いとこ目にしたときでさえ、ほかのことをやりたいと考えたことはなかった。

――では、自分の才能に気づいたのはいつですか?

マーク・ロンソン:まだ発見したとは思えないけど(笑)。学生のときバンドをやってて…、ロック・バンドでギターをプレイしていたんだけど、それほど上手くなくて、ヒップホップを知りDJやるようになって…。1つの楽器の天才ってわけじゃなかったから、自分の得意なことを見つけるのに時間がかかった。プロデューサーのいいところは、自分の持つスキルをちょっとずつ使って、全体をまとめられるところだ。僕はそれが得意なんだと思う。

――どんなティーンエイジャーでしたか?

マーク・ロンソン:悪くはなかったよ。英国からアメリカへ来て、母がイギリス人だったから、すごく厳しくて、まあ全体的に行儀のいい子だったよ。音楽に夢中で、友達のほとんどもバンドをやっていた。反抗的なフリしてたけど、ホントはそうじゃなかった(笑)。

――若いとき、音楽は逃避だったり、自分を表現する手段だったりしますが、あなたにとってはどちらだった?

マーク・ロンソン:両方だね。ティーンエイジャーって、嫌なことがあるとドアをバタンと閉めて、レッド・ツェッペリン聴きながら「誰もわかってくれない!」って思うことがある。音楽を聴いていると、理解してもらえた気になる。そういう音楽との関係はいいと思う。それに、僕はバンドでプレイしてたから、音楽は服装にしても髪型にしても自分を表現する手段だった。

――初めてプロデュースの仕事をしたのは23歳のときですよね?

マーク・ロンソン:そう、ニッカ・コスタのアルバムで23歳か24歳のときだった。15年前だ。

――他人のアルバムをプロデュースするときと自分のアルバムを作るときの違いは?

マーク・ロンソン:誰かのアルバムをプロデュースするときは、クリエイティブな面で彼らの世界に入り込んで、彼らが作った曲を聴きながら、これがベストに聴こえるようにするにはどうしたらいいかって考える。自分のアルバムを作るときは、ちょっと違う。自分で曲作っているから、どういうサウンドにしたいかはすでにアイディアがある。コラボする人たちがもっと実験的にしたいって言い出すことはあるけど…。でも、どちらにしろ、一緒にやるアーティストにインスパイアされるよ。ブルースがそうだ。彼のアルバムだろうが僕のアルバムだろうが、彼には最高の音楽を作るよう、ひと押しされる。

――2010年にロンドンで行われたライブを観ました。楽しい公演でした。でも、ライブ・パフォーマンスはあまりやらないようですが?

マーク・ロンソン:そうだね、ライブは好きだよ。これからもっとプレイしていきたいって思っている。フェスティヴァルなんかも考えてるんだ。

――では、ツアーも期待できる?

マーク・ロンソン:やりたいね。

――新作は5年待った甲斐があり、いま、あなたは間違いなく、キャリア上これまでとは違うステージにいると思います。次にやりたいことは?

マーク・ロンソン:そうだね。39歳になって、これまでで最大のヒットが生まれるなんてヘンだよね。でも、ファレルだってダフト・パンクだって同世代だ。前作の『Record Collection』は期待されていたほど成功しなかった。その前の『Versions』がビッグだったからね。だから、今回はカンバックになるような強力なものを作らなきゃって思った。次のアルバムは、まだわからないな。ある意味、また強力なものを作りたいとは思うけど、どうなるかはわからない。

――では、音楽を作っていく上で、こだわっていることは? みんなをハッピーにしたいとか?

マーク・ロンソン:どうだろう、ハッピーだけじゃない。このアルバムにはメロウなものもあるし、現実の人生もそうだけど、いつだってハッピーってわけじゃない。でも、そうだね、最終的にはみんなをいい気分にさせたいかな。DJやるときも、みんなを盛り上げるのが目的で、そこにサプライズを入れて、こんな世界へ行けるんだって驚かせたいと思っている。

――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

マーク・ロンソン:日本のファンのみんな、ありがとう。シングルやアルバムを気に入ってくれたら、嬉しいよ。すぐに、みんなのためにライブをやりたいって思っている。

Ako Suzuki

マーク・ロンソン『アップタウン・スペシャル』

\2,200(tax out)SICP-4387
1.アップタウンズ・ファースト・ファイナル feat.スティーヴィー・ワンダー & アンドリュー・ワイヤット
2.サマー・ブレイキング feat.ケビン・パーカー
3.フィール・ライト feat.ミスティカル
4.アップタウン・ファンク feat.ブルーノ・マーズ
5.アイ・キャント・ルーズ feat.キヨン・スター
6.ダッフォディルズ feat.ケビン・パーカー
7.クラック・イン・ザ・パール feat.アンドリュー・ワイヤット
8.イン・ケース・オブ・ファイア feat.ジェフ・バスカー
9.リーヴィング・ロス・フェリス feat.ケビン・パーカー
10.へヴィー・アンド・ローリング feat.アンドリュー・ワイヤット
11.クラック・イン・ザ・パール, Pt.II feat.スティーヴィー・ワンダー & ジェフ・バスカー
Bonus Track For Japan
12.アップタウン・ファンク(BB DISCO DUB MIX)
https://itunes.apple.com/jp/album/uptown-special-japan-version/id967113103?at=10l3PY
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