【ライブレポート】マストドン、日本単独公演でみせた圧倒的な凄味

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まさに圧巻のライヴだった。4月1日、恵比寿リキッドルームにて開催されたマストドンの東京公演の話である。2014年6月に発売された最新作『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン』に伴うワールド・ツアーの一環として、ニュージーランドやオーストラリアを経由してやってきた彼らだが、日本上陸は実に<SUMMER SONIC 09>出演時以来、つまり約6年ぶりということになる。さらに言うならば、それ以前にも<EXTREME THE DOJO>や<LOUD PARK>に出演を果たしている彼らではあるが、いわゆる単独公演での来日は今回が初である。オーディエンスがこの機会の到来をずっと待ち焦がれてきたことは明白だ。開演前からフロアに充満していた熱気がそれを裏付けていた。

◆マストドン画像


定刻に場内が暗転すると、まず聴こえてきたのは前述の『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン』の幕開けを飾っていた「トレッド・ライトリー」。きわめて分離の良いクリアなサウンドが、圧倒的な音圧を伴いながら攻めてくる。単なる轟音でもなければ、構築感が見事なだけでも、演奏が完璧だというだけでもない。一言でいうならば「すごい!」のだ。以降の具体的な演奏内容については、4月2日の大阪公演を観る人たちのためにもあまり触れずにおきたいところだが、とにかく激しくも濃密で、緻密でありつつも肉体的で、MCもほぼ皆無のまま繰り広げられた約80分間に及ぶ演奏が極上の快感をもたらしてくれたこと、その時間経過がまったく長く感じられなかったことはお伝えしておきたい。


上記のような理由からこの東京公演のセットリストは掲載せずにおくが、最新アルバムに収録されている全11曲のうち8曲が披露された事実はご報告しておこう。実際、その演奏メニューはオーストラリア公演の際のそれと変わらぬものではあった。前作、『ザ・ハンター』に伴う来日公演がなかっただけに、同作からの曲をもう少し聴きたいという気も確かにした。が、2015年を代表する傑作アルバムのひとつである『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン』の世界をじっくりと堪能できたこと、フェスにおけるコンパクトなステージではなく、フル・サイズの彼らのライヴを味わえたことが与えてくれた満足感は、まさにこの上ないものだった。


蛇足を承知で付け加えておくと、この『ワンス・モア・ラウンド・ザ・サン』は、全米アルバム・チャートで最高6位を記録しており(前作に続いてのトップ10入りとなる)、同作に収録されている「ハイ・ロード」は、惜しくも受賞こそ逃しているものの、第57回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門にもノミネートされている。そしてこのライヴに触れたならば、きっと誰もがそうした世の評価に頷くことになる…のではなく、「そんなことはともかく、やっぱりこのバンドは桁違いにすごい!」と声をあげたくなるに違いない。というわけで4月2日、大阪BIG CATでの公演も必見である!


文:増田勇一
Photo:Masayuki Noda

<マストドン大阪公演>
4月2日(木)
@大阪BIGCAT
開場18:00/開演19:00
http://www.creativeman.co.jp/artist/2015/04mastdon/
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