マッサンのエリーも歌う「ゴンドラの唄」って?

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NHK連続テレビ小説「マッサン」に出演していたシャーロット・ケイト・フォックスが、4月29日に「ゴンドラの唄」でCDデビューを果たす。この曲はドラマ「マッサン」の中で亀山エリーや田中優子(相武紗季)が口ずさんでいた曲で、同じ時代を描いたNHKドラマ「ごちそうさん(2013)」でも高畑充希が演じた西門希子が劇中で披露していた。歌詞の<いのち短し 恋せよ乙女>は、誰もがどこかで聴いたことがあるフレーズだろう。

◆「ゴンドラの唄」画像

「ゴンドラの唄」が生まれたのは今からちょうど100年前の大正4年(1915年)だ。当時人気絶頂であった女優兼歌手の松井須磨子が芸術座の舞台『その前夜』で歌ったのが始まりだという。舞台での評判を受けてレコードが発売されるとカフェーやバーの蓄音機でヘビーローテーションされ、まず都会から火がついた。続いて演歌師と呼ばれたストリート・ミュージシャン達が歌本(今でいうスコア本)を売りながら、全国津々浦々の街角で歌う事で一挙に広まり、国民的ヒット曲となっていく。まだラジオの放送も始まっていない時代であり、「ゴンドラの唄」は当時、業務用で高価だった蓄音機を一般家庭にまで普及させたと言われる程の影響力があり、まさに大正ロマンの時代を代表する楽曲となった。「マッサン」や「ごちそうさん」の登場人物たちが歌っていたのは、当時の時代背景を描くのに、もっともわかりやすい大衆歌だったのだ。

「ゴンドラの唄」が凄いのは大正時代のヒットだけで終わらなかった点にある。最初のリリースから37年後の昭和27年(1952年)に黒澤明監督の映画『生きる』の劇中歌として突如復活するのだ。志村喬演じる主人公がブランコを漕ぎながら口ずさむ印象的なシーンで使われ、「ゴンドラの唄」が再び脚光を浴びることとなった。さらに13年後の昭和40年(1965)に放送された第16回NHK紅白歌合戦では、森繁久彌が歌い世代を超えて支持される曲となる。その後も小林旭、由紀さおり&安田祥子姉妹が歌い継ぎ、2012年にはCMソングでHALCALIがカバー。発表から100年近く経った曲なのに違和感無く若い世代に受け入れられているのは驚異的だ。

ドラマ「マッサン」では様々な曲が劇中歌として使われたが、シャーロット・ケイト・フォックスが「いちばん歌いたい日本の曲!」としてデビュー・シングルに選んだのがこの曲だった。

100年も支持され、何の予備知識もない外国人女優をも魅了した「ゴンドラの唄」とはどういう作品なのか。この超ロングセラー曲を作曲したのは中山晋平である。子どもの頃の音楽の教科書で、この人の名前を覚えている人も多いのではないだろうか。1887年(明治20年)に長野県下高井郡新野村(現在の中野市)で生まれた中山晋平は、「シャボン玉」「てるてる坊主」「証城寺の狸囃子」「背くらべと」いった童謡から、「カチューシャの唄」といった流行歌、ヤクルト・スワローズの応援でお馴染みの「東京音頭」と現代でも広く知られる様々な曲を手がけた作曲家である。65年の生涯の中で書いた曲は3000曲にも及ぶと言われ、日本の大衆歌謡の父とも呼ばれた。中山晋平の書くメロディは、「ゴンドラの唄」が証明するように100年経っても色褪せない普遍的な魅力を持ち続けている。


中山晋平が生まれた長野県中野市の音楽親善アンバサダーに2014年就任したシンガー・ソングライターの麻衣は、4月8日にリリースするアルバム『空みあげて』の中で「ゴンドラの唄」を歌っている。中野市は中山晋平を始め、数々の唱歌の作詞で知られる高野辰之に麻衣の父である久石譲を輩出した人口4万5千人ほどの小さな町だ。このアルバムには他にも<兎追ひし彼の山~>で知られる唱歌「故郷(作詞:高野辰之)」や、となりのトトロ・イメージソング「小さな写真(作曲:久石譲)」等が収録され中野市・愛に満ちた作品となった。麻衣は「古い筈なのに、何故か新しく感じるのが中山メロディ!中野市の美しい自然に触れてみて、この曲の持つ瑞々しさと力強さを実感しました!」と「ゴンドラの唄」を歌った理由を明かしている。


誕生して100年、シャーロット・ケイト・フォックスに麻衣。奇しくも二人のシンガーが同時期にリリースする「ゴンドラの唄」は、この先50年、100年と歌い継がれていく国内最長のスタンダード曲になることだろう。

シャーロット・ケイト・フォックス「ゴンドラの唄」

2015年4月29日発売
POCS-1318/価格\1000(税込)
1.ゴンドラの唄/作詞:吉井 勇・作曲:中山晋平
2.上を向いて歩こう feat.Kishi Bashi /作詞:永六輔・作曲:中村八大
3.Drained The Day Away /作詞:Charlotte Kate Fox, baby・作曲:Charlotte Kate Fox, Kishi Bashi

麻衣「空みあげて」

2015年4月8日発売
WRCT-1014/\1,620(税込)
1.空みあげて /作詞:麻衣・作曲:松本俊明 ◆長野県中野市イメージソング
2.Dreamland /作詞:麻衣/Stefan Aberg & 麻衣作曲 ◆中部電力CMソング
3.ゴンドラの唄 /作詞:吉井勇・作曲:中山晋平
4.つなぐ /作詞:麻衣・作曲:Stefan Aberg & 麻衣 ◆テレビ信州「冬の祭典2015」テーマ
5.小さな写真 /作詞:宮崎駿・作曲:久石譲 ◆となりのトトロイメージソング
6.故郷 /作詞:高野辰之・作曲:岡野貞一

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