【インタビュー】小野賢章「自分が今まで生きて来た道のりや経験をベースにしたいと思ってた」シングル「ZERO」

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小野賢章といえば、映画「ハリー・ポッター」シリーズのハリー役の吹き替えや、アニメ「黒子のバスケ」の主人公・黒子テツヤのキャラクターヴォイスを演じる声優として知っている人も多いだろう。2014年からシンガーとしても活動を開始し、シングル「FANTASTIC TUNE」、ミニアルバム「Touch the Style」をリリースした彼がBARKSに初登場。アニメ「黒子のバスケ-帝光篇-」の主題歌として4月8日にリリースのシングル「ZERO」について語ってくれた。

◆小野賢章~画像~

▲「ZERO」初回限定盤

▲「ZERO」通常盤

――2ndシングル「ZERO」は、超絶ロック・チューンに仕上がってますね。ロック好きが聴いても、メロディの裏で鳴っているギターのメロや、ギターソロはカッコいいと感じるような曲ですが。

小野賢章(以下、小野):皆さんが、そこまで聴き込んでくれると、僕としてもすごく嬉しいし、この曲も本望です。サウンドはロックですけど、僕的にはすごく聴きやすいんじゃないかと思います。唄い方もそうだし。デビューしてから、今のチームで作るのは、ミニアルバム「Touch the style」を含めて三作目なんです。自分的には、デビュー曲の「FANTASTIC TUNE」よりも軽いタッチになっているんじゃないかなって気はしているんです。

――私の中では、「FANTASTIC TUNE」は繊細なロックというイメージで、「ZERO」はすごく男っぽいロックという認識なんですけど(笑)。

小野:あぁ~。確かに、「ZERO」のサビは男っぽいかもしれない。

――男祭りですよ。ドラムも荒々しいし。

小野:実は、作っている方の感覚としては、逆のイメージなんですよ。だから、すごく新鮮な意見かも。「FANTASTIC TUNE」も「ZERO」もテーマから入っているんですけど、実は「ZERO」は爽やかなイメージで作ったんです(笑)。

――それぞれのテーマっていうのは?

小野:デビュー曲の「FANTASTIC TUNE」は「黒子のバスケ」のオープニング曲だったので、「黒子のバスケ」のストーリーと僕自身を重ね合わせて作ったんですね。経験してきた過去には傷付いたり辛いこともあったけど、それを乗り越えて、周りも見ずに、ただ今を頑張って真っすぐ進むというイメージで作りました。

――「ZERO」のほうは?

小野:今作の「ZERO」も「黒子のバスケ-帝光篇-」のオープニングテーマなんですけど、「帝光篇」では、ストーリーが登場人物たちの中学時代にさかのぼるんです。だから、楽曲でもさかのぼろうということになって。時間軸で言うと、「FANTASTIC TUNE」は1、「TOUCH」が2、それで、今回が「ZERO」なんです。タイトル通り、本当にここから始まるというか。ここから将来のことを考えたり、希望を持って、視野を広げて行こうっていうイメージですね。というわけで、中学時代を描くなら、爽やかな曲を作ろうと。でも、作ってみたら、客観的に聴いてくれる人にとっては「ゴリゴリのロック」というイメージだったんだなぁって(笑)。

――面白いですよね(笑)。でも、その話を聞いて、自分の見解に納得する部分もありましたよ。中学時代の黒子たちを描くということは、「キセキの世代」になっていく物語ということですよね。バスケをはじめて経験も浅いから、高校時代よりもよりガムシャラに練習したり、自分を磨くのに必死でもあるだろうし、そういうところが、この曲の男っぽにも繋がるのかなって。

小野:確かにそうかもしれないですね。自分の作品を作るようになってから、もう3作目ということもあって、今作では、かなり自分の意見を言ったんです。僕が演じている黒子テツヤのことはもちろん意識もしましたけど、自分が今まで生きて来た道のりや経験してきたことはベースにしたいなと思っていたんです。僕の場合は、ずっとやってきたことが繋がって、ここまで来ているということが多いんですね。だから、「ゼロからスタートして希望を持って進むことで、次にも繋がって行く。だから、今を頑張って行こうよ」っていうところが曲にこもったらいいなぁということを作詞家の方にも伝えたんです。

――具体的に賢章くんが出したワードというのは歌詞にもなっているの?

小野:「自分の道を」とか「人と少しだけ変わってたって僕は構わない」とか。楽曲の肝となっている言葉は僕が出したワードを元にしてもらっています。僕の大好きな餃子を食べながらミーティングしたんです(笑)。

――餃子、好物ですもんね(笑)。「ZERO」「FANTASTIC TUNE」「TOUCH」と、点ではなく線で繋がっているということは、次回作もなんらかの繋がりがあるんですか?

小野:とりあえず、僕の中ではこの3曲は三部作なんですけど、次がどうなるのかはわからない。ただ、PVが繋がっているのは面白いかもなぁと思います。

――カップリングの「Mr.Trickstar」は、不思議な内容の曲ですね。女の子を魔法にかけちゃう的な。これも賢章くんのアイデアから生まれたの?

小野:はい。これもだいぶミーティングしました。カッコいいところはもう結構やったと思うので、この曲では遊び心が見せたいなと思ったんです。「音楽を楽しんでるような曲を作りたいですね」っていう話から広がって。それで、この曲では「モテたい男子」の曲を作りたいなということで(笑)。

――賢章くんがいつも口にしている「モテたい!」という言葉が曲になったわけね(笑)。

小野:そうそうそう(笑)。モテたいというところをまず出して。結果、「絶対的に自分に自信がある男性の曲」になりましたね(笑)。

――それは、「絶対的に自分に自信を持ちたい!」という願望?

小野:そうです(笑)。これも歌詞の捉え方で変わると思うんだけど、僕の中では、この曲みたいに女の子に魔法をかけて、自分の色に染めてしまう……みたいな感じで妄想している男子の歌。女性に対してスマートに振る舞いたいけどできない自分を奮い立たせているようなイメージなんです。ただ、ガツガツ行くという感じではなく、スッと交わしたりして……例えるならば、サッカー選手のネイマール(ブラジル代表)のように華麗にスッスッとドリブルで抜いて行くような感じ(笑)。だから、歌詞には「ファンタジスタ」(フォワード(ストライカー)にあたるサッカー選手に対する賛辞として使うサッカー用語)っていう言葉も入っているんです。

――ネイマールって、わかりやすい例えですね。実際の賢章くんはどうなんですか?

小野:こんな器用さはないですね。だからこそ、そういうのに憧れるから曲にしてもらったという(笑)。でも、草食系ではないですよ。女々しいのも嫌いだから、恋が一つ終わったら、すぐに上書き保存しようとします。

――普通は男の人は、脳内でフォルダを分けて保存して、女々しく昔の恋に浸ったりするのに珍しいね。

小野:未練とか感じるのが嫌なんですよ。思い出すとムカつくじゃないですか(笑)。だから、極力忘れます。

――なるほど。楽曲的には、リズムがハネているけど、唄うときはどうでしたか?

小野:難しさというよりも、楽しく唄えましたね。

――今作は制作のところからガッツリ関わって、作る楽しさも相当あったんじゃないですか?

小野:かなり楽しいですね。高校時代は軽音楽部でバンド活動もしていたので、こうやって曲を作り上げて行くのってもともと好きなんです。音楽やるの、すごく楽しいですね。2014年は、あまりにいろんなところに時間が足りなくて、スタッフに任せた部分もあったんです。だから、2015年はなるべく、自分の意見だったり、思ったことを伝えて、もっと一緒に作っていきたいという思いがあって。今は、早くライヴがやりたいんですよね。

――スタッフとのチームワークが良いって、物作りにおいて、大切なことですよね。

小野:ヘアメイクさんやスタイリストさんまでも含め、男ばっかりのチームなんですけどね(笑)。「男ノリ」っていうんですかね、それがすごく楽しい。次の作品でも、どんどん自分の意見を反映させて積極的に作品作りに携わりたいですね。

――次回作用の自分のアイデアをメモったりしてるの?

小野:それはないんです。その時の自分の旬のものをやりたいし、「こういう感じはどうですか?」って提示されたことに対して、自分の意見を反映させていくというほうが得意だから。これって、役者をやっている感覚と似ているかもしれないですね。まず、役があって、それに対して、自分はどうアプローチするか考えていくというか。

――あぁ、なるほど。賢章くんは、音楽や声優のほかにも役者としても活動してますものね。4月15日から銀座・博品館劇場で、山寺宏一さんと水島裕さん、演出家の野坂実さんが立ち上げた演劇ユニット、ラフィングライブの旗揚げ公演となる舞台「パパ、アイ・ラブ・ユー!」にも出演されるんですよね。

小野:はい。役柄的にはかなり難しい役なんですよ。突然泣いたり、笑ったり、喜怒哀楽が激しくて。ただ、共演者の皆さんが、大先輩ばかりなので、それがめちゃくちゃ楽しいんですよ。いろんな現場で仕事をするけど、僕が居て心地よいのは、僕が一番年下という現場なんです。どうしてかと言うと、先輩の背中を見ていると「やってやる!」という気持ちが湧くから。「この人、凄いなぁ」って思う人の背中を追うのが楽しいんですよね。そういえば、僕は恋愛も追うのが好きだなんだよなぁ(笑)。これからも、声優も舞台も音楽も頑張っていくので、ぜひいろんな僕を見てほしいですね。

取材・文●大橋美貴子

リリース情報

TVアニメ『黒子のバスケ』第3期第2クール帝光編OP主題歌
「ZERO」
2015年4月8日(水)発売

[初回限定盤]
CD+DVD LACM-34331/ \1,800 (+tax)
〈収録内容〉
【CD】
1.ZERO
2.Mr.Trickstarr
3.ZERO(Off Vocal)
4.Mr.Trickstarr(Off Vocal)
【DVD】
ZERO -Music Video-

[通常盤]CD LACM-14331/ \1,200 (+tax)
〈収録内容〉
1.ZERO
2.Mr.Trickstarr
3.ZERO(Off Vocal)
4.Mr.Trickstarr(Off Vocal)

ライブ・イベント情報

<Animelo Summer Live 2015 -THE GATE->
2015年8月30日(日)
会場/さいたまスーパーアリーナ
OPEN/14:00 START/16:00
※詳細はhttp://anisama.tv


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