【インタビュー】サックスプレイヤー矢野沙織、AL『Bubble Bubble Bebop』発売。「ビバップは決して難しくない。」

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■初めて作詞した歌詞の意味は、
■“私にとって都合の悪いすべてのことよ、さようなら”です。

──最新作『Bubble Bubble Bebop』についてうかがいます。まずジャケット写真が目を引きますね。



矢野沙織:デビュー作からずっと所属している“SAVOY”は数多くの名作を生み出してきたジャズの名門レーベル。レーベル・ロゴもかっこよくて、デビュー作の頃からそれを前面に出したいと思っていました。数年前から写真集や絵を買って見るのが好きで、私のアルバムのデザインに関してもアイディアを伝えるようになりました。それで今回は“SAVOY”と“Bebop”の文字を大きく表示し、CDの盤面も昔と今の要素を入れたデザインを初めて提案して、それが反映されています。

──アルバム名の由来とアルバム・コンセプトについて教えてください。

矢野沙織:ビバップは1940年代に若者を熱狂させた音楽で、当時チャーリー・パーカー(as)の演奏で彼らが踊っていたビバップの魅力を、私を通じて伝えられたらいいと思って今まで演奏してきました。この言葉はセンスも聞こえも良くて、“Bubble Bubble”と組み合わせたら語呂が良くて可愛いと思ったのです。

──参加メンバーの中では、ベーシストの中村健吾とは初共演です。



矢野沙織:ニューヨークを拠点に、日本でも活動している中村さんは、ミュージシャンの私からすると逆輸入のような印象があった憧れの方です。私は敷居が高いと思っていたのですが、2014年の夏に急遽、私のバンドで演奏していただく機会がありました。共演したらやはり素晴らしくて、お人柄もフレンドリー。その後も共演を重ねて、この新作を成功させる上で中村さんならば力になってくださると思い、参加をお願いしました。

──収録曲について教えてください。

矢野沙織:1曲目の「Blowin' The Blues Away」は作曲者のホレス・シルヴァー(p)のヴァージョンと同じくらいのテンポですが、テーマの部分がアルトサックスの多重録音なのでスピード感が増しています。多重録音は意外に初めての試みで、賑やかな雰囲気を出したいと思いました。

──「Puerto Rico~砂とスカート」は大儀見元(per)らサルサスインゴサのメンバーとの共演曲です。

矢野沙織:大儀見さんとは数年前に菊地成孔(ts)さんのイべントで初めてご一緒しました。以前から大儀見さん率いるサルサスインゴサのライヴとCDが好きで、『ANSWER』にも参加していただいた中島徹(p)さんがそのメンバーということもあって、サルサを取り入れたアルバム作りを考えていた私のイメージにぴったりだったのです。エディ・パルミエリ作曲の「Puerto Rico」はいつか収録したいと思っていたサルサの代表曲。この曲に私の自作曲「砂とスカート」を繋げたのは、ファン・リクエストアルバムである『ANSWER』で選曲を決めた時に、多くの支持を得ていることがわかって、自分が10代に書いた曲に改めて愛着が湧いたからです。

──「砂とスカート」は『SAKURA STAMP』の再演曲でもありますね。

矢野沙織:『02』で初演を発表した時、YouTubeにアップしたらアレックス・キューバ・バンドがカヴァーしてくれて、彼らとは来日公演で知り合い、『SAKURA STAMP』で共演しました。強い明るさを持つカリブ海周辺の音楽に興味があって、この新作のヴァージョンはアレックスとの共演の発展形と言っていいと思います。二つの曲の繋ぎの部分にチャーリー・パーカー作曲「COOL BLUES」のリフを入れたのは、パーカーの有名な曲でぜひそうしたい気持ちがあったからです。

──「Mercy, Mercy, Mercy」では、SOIL&"PIMP"SESSIONSの元晴(ts)、タブゾンビ(tp)と共演されました。

矢野沙織:10代の時からソイルのファンです。ライヴも何度も観ていて、熱狂できるかっこいいジャズ・バンドと思ってきました。去年ようやく初めてご一緒する機会があり、ジャズ的な牽制のない管楽器の共演がすごく楽しくて、そこで新作の参加を打診しました。

──「Bayou」は、ジミー・スミス(org)の楽曲です。

矢野沙織:オルガン奏者としては特別な風格があるミュージシャン。緻密にビバップを発展させた、わかりやすい曲だと思います。私のライヴでよく演奏するレパートリーです。

──続く「Avalon」は、通例のジャズ・ヴァージョンよりもスローテンポです。

矢野沙織:この曲は私にとって、ベテランの北村英治(cl)さんや前田憲男(p)さんの演奏がお手本です。日本人が昔のジャズを演奏するノスタルジックなセンスを、私も共感して表現したいと思いました。

──矢野さんによる書下ろし曲「Bye Bye Babylon」は、どのようにして生まれたのでしょうか?



矢野沙織:昔から小説を読んだり映画を観るのが好きで、感化されやすい子供だったと思います。新作に『ベティ・ブルー』のテーマ曲を収録したのは、映画の影響ですね。文章を書くことも好きです。子供の時の文章を読み返してみると、大人になった自分ではとても思いつかないようなことを書いていて、忘れてしまった感受性を気づかされたりもしました。それを曲作りに生かせないかと、ずっと前から考えていたのです。それで今回初めて作詞、語り、歌唱をしました。どのようにすれば上手く収まるかを考えて、歌唱と語りの二つが一つになった曲構成に仕上げました。歌詞の全体的な意味は、“私にとって都合の悪いすべてのことよ、さようなら”です。少しずつ書き溜めていた歌詞がベースになっていますね。

──そしてアルバムの最後の「Confirmation」は、デビュー作にも収録されたチャーリー・パーカー作曲の再演曲です。

矢野沙織:デビュー当時はまだレパートリーが少なくて、これも難しい曲でした。今だから言えますが、デビュー作の演奏は自分としては満足できていない部分もあります。でもディレクターさんの提案でこの曲を1曲目に選曲したことで、私のイメージが定着し、それがこれまでずっとビバップを演奏し続けてきた理由なのだと思います。コンサートのアンコールで演奏することも多くて、お客様から支持されているレパートリーなのだと実感しています。独特の難しさがあるけれど、飽きないし、好きな曲。私にとって落ち着く曲なのです。

──最後にファン、リスナーへのメッセージをお願いします。



矢野沙織:ビバップは決して難しくないし、もっとカジュアルなものだと伝えるために、“バブル・バブル”という可愛らしい言葉をつけました。先入観なしに聴いていただきたいです。ビバップは単純に“クール”“かっこいい”と受け取ってもらえれば、嬉しいですね。

取材・文◎杉田宏樹

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アルバム『Bubble Bubble Bebop』

2015年4月22日発売
COCB-54166 ¥2,800(+税)
[収録曲]
1.Blowin’ The Blues Away (Horace Silver)
2.Bluebird (Charlie Parker)
3.Puerto Rico~砂とスカート (Edward Palmieri~矢野沙織)
4.Betty Et Zorg (Gabriel A. Yared)
5.Mercy, Mercy, Mercy (Josef E. Zawinul)
6.Bayou (James O. Smith / Jimmy Smith)
7.Avalon (Vincent Rose)
8.Bye Bye Babylon (矢野沙織)
9.Confirmation (Charlie Parker)

[参加メンバー]
矢野沙織(as)
中島徹(p) 中村健吾(b) 小松伸之(ds):M1、2、4、5、6、7、8、9
元晴(ts/Soil & Pimp Sessions) タブゾンビ(tp/Soil & Pimp Sessions):M5
大儀見元(perc) 中島徹(p) 中路英明(tb)ほかサルサスインゴサのメンバー:M3

<Bubble Bubble Bebop 2015 Live Tour>

6月03日(水) 台湾 國父記念館 (こくふきねんかん)
6月20日(土) 埼玉 あすねっと「文化ホール」(熊谷)
8月10日(月) 横浜 モーションブルー横浜
8月21日(金) 名古屋 ブルーノート名古屋
8月27日(木) 大阪 ビルボード大阪

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