映画『セッション』、和製フレッチャー竹中直人がスカパラととんかつ&餃子セッション

ツイート

鬼教官とドラマーを目指す青年の凄まじいまでの鍛錬の日々を濃密に描いた映画『セッション』が公開中されているが、4月21日(火)、本作を鑑賞し「釘付けになった」と語る竹中直人と、東京スカパラダイスオーケストラの夢のスペシャル・セッションが実現した。TOHOシネマズ新宿での上映前に、生で演奏するスカパラに対し、竹中直人が劇中のシーンを再現する形で“鬼教官”フレッチャーに扮し、厳しく指導するというパフォーマンスで会場は笑いと歓声に包まれた。

◆竹中直人&東京スカパラダイスオーケストラ画像

全国16館での公開…と決して公開規模は大きくないものの、4月18日(土)、19日(日)の週末で全国で計25回の満席を記録し、観客満足度は95.6%を叩き出しており、この日も、オープンしたばかりのTOHOシネマズ新宿の大劇場は満席となっていた。

まずは竹中直人がスキップを踏みながら登場、「もう、すごいんですよ、この『セッション』!メチャクチャ期待して見てください!」とこれから映画を鑑賞する観客を煽る。特に見どころについて「役者ひとりひとりの芝居に圧倒されました。(主人公が)ドラムをたたく姿が尋常じゃない! たったの19日間で撮ったというのにも驚きました。こんなにエネルギーの詰まった映画を! まあ、信じられない! もう演奏もすごいなんてもんじゃない! イヤになっちゃうぜっ」とハイテンションで身体をくねらせながらまくし立てた。

続いて、竹中直人の呼び込みで、スカパラのメンバー9名――茂木欣一(ドラムス)、加藤隆志(ギター)、大森はじめ(ギター)、沖祐市(キーボード)、NARGO(トランペット)、北原雅彦(トロンボーン)、GAMO(テナーサックス&ソプラノサックス)、谷中敦(バリトンサックス)、川上つよし(ベース)が登場すると、会場は大歓声に包まれた。

スカパラはステージ上で「ハプニング」、続いて「スキャラバン」を生で披露するが、2曲目の「スキャラバン」の途中で、なぜか先ほどの衣裳から着替えた竹中直人が、突然、ステージに乱入。竹中直人はドラムの茂木の脇に陣取り、劇中の鬼教官・フレッチャーよろしく「もっとだ!もっと、もっと!」と指示を飛ばす。茂木もその声に応えるが、竹中さんの指示は「とんかつだ!とんかつ定食を思い浮かべろ。ギョウザだ!ギョウザ!」と奇妙な方向へ。それでも茂木は、その微妙すぎるニュアンスを受け取め、パフォーマンスをさらにアップさせていき、会場は大興奮だ。最後は、ライヴ会場さながら、客席はオールスタンディングで熱狂のるつぼと化した。

茂木は、演奏を終えて汗だくで「『セッション』を撮り終えたような気分です」と笑みを浮かべる。茂木は、竹中直人を「フレッチャーにしか見えなかった(笑)」と評したが、当の竹中直人は、演奏していたメンバーたちよりも、息も絶え絶えで「久しぶりに動いたから…。来年で60歳だけど、身に沁みた…」と苦笑い。竹中直人とスカパラの親交は深く、以前は竹中直人が、彼らのライヴにゲストで参加したこともあるが「昔はライヴで海パン一丁になってたけど、こんなに息が切れるなんて…(苦笑)」と充実感に包まれながらも、足元もヘロヘロになっていた。それでも、サックスの谷中は竹中直人との久々のセッション実現が嬉しかったようで、竹中直人の肩を抱き「久しぶりで感動しました」と笑顔を見せ、奮闘を称え合っていた。

茂木は改めて、ドラマーとして劇中の主人公への感情移入を問われると「しましたね。デビュー前にひたむきに打ち込んでいた頃を思い出しました」と語った。また「ツアーが始まると、夢を見ることがあって、(ライヴの開始に)間に合わなくて、ステージ上で一曲目が鳴り響く中、スーツに着替えてステージに上がっていこうとするんです(苦笑)」となんとも肝の冷える夢を告白し、映画を見て「手に汗を握りました」と自らの経験と映画を重ねてしみじみと語っていた。

竹中は、最後に「愛のある、エネルギーをいただける映画だと思います!」とアピールし、観客は大きな拍手と歓声で竹中直人とスカパラを見送った。

『セッション』はTOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開中だ。

この記事をツイート

この記事の関連情報