【ライブレポート】石月努、MERRYを迎え愛の2マンイベント

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石月努プロデュースによる「vVS1.2015~キネマ倶楽部の変~」と題されたイベントが5月3日、東京キネマ倶楽部で行われた。この“vVS1”とは“ヴィ・ベース・セッション・ワン”の意味。石月努が自ら声を掛けたゲストを迎えて行われる本イベント。第一回目のゲストはMERRY。早速このイベントをレポートすることとしよう。

◆石月努、MERRY 画像

Text:ぽっくん

石月努とMERRY。一聴すると意外なブッキングと思われるだろうが、じつは石月とMERRYのテツとは20年来のつき合いだという。そして、そこに端を発して現在石月努のギターを結生がサポートしている。そんな縁もあり、石月とMERRYの2マンイベント「vVS1」は実現した。


定刻の17時。3拍子の緩やかなSEに導かれMERRYのメンバーがステージに姿を現す。SEがカットアウトし、ほんの短い静寂があった後、ネロの激しいスネアヒットをキッカケに結生、健一が最初のコードをかき乱す。ハイハットの速い4つのカウントから始まったのは「千代田線デモクラシー」。2014年12月24日にリリースされたアルバム『NOnsenSe MARkeT』からのメインチューンとも言えるこの曲は健一のオフビートを強調した切れ味鋭いギターカッティングが印象的なMERRYの真骨頂ともいえる曲。ステージ後方からの激しいフラッシュライトの演出にガラのパフォーマンスが、細切れに映し出される。

続く「不均衡キネマ」では「千代田線デモクラシー」でのビートを引き継ぐような、健一のカッティングに、結生のアンニュイなパッセージが重なる。ネロは上半身を激しく左右に揺らし、独特のシャッフルリズムを生成する。“さあさあお立ち会い!! これからお目にかけまするのは不思議な倒錯キネマ”と、今日のこのシチュエーションとリンクするような台詞を吐き捨てるように歌うガラ。オーディエンスもこの激しくも心地よいグルーヴに身を任せている。

“絶望、絶望、絶望”ガラのシャウトが縦方向に奥行きのあるこのホールにこだまする。MERRYとオーディエンスの絆を確認するチューン「絶望」の始まりだ。早くもトランス状態となったオーディエンスとガラとのコールアンドレスポンスが続く。

「Zombie Paradise ~地獄からの舞踏曲~」と「Hide-and-seek」とアルバム『NOnsenSe MARkeT』からのチューンが続く。アルバム発売から約6ヵ月。この日のライヴも『NOnsenSe MARkeT』の収録曲を中心にセットリストが組まれ、それは既にMERRYの新しいスタンダートとして昇華されている。

「Hide-and-seek」、「R-246」と聴かせるチューンが続いた後、歓声が止まないオーディエンスに向けて、ネロがマイクを握る。“石月努さんのライヴに呼んでいただいて光栄です。ありがとうございます”。ドラムスローンに乗ったまま煽りのMCかと思いきや、律儀にも主催者への御礼のMCをするネロ。この滑稽さもネロの持ち味なのか。会場が一気に和む。

後半は再びアルバム『NOnsenSe MARkeT』からのチューン「東京」。“追い続けた夢はまだ 何処にある... 東京よ”と高く挙げた左手で天をつかむような仕草で歌うガラ。サビではオーディエンスが高くジャンプする。結生のコーラスがガラのメロをサポートする。ステージと会場が一体となり一つの大きな波を形成する。


ガラの“暴れちゃいますか”の言葉をキッカケに「オリエンタルBLサーカス」がスタート。結生のオリエンタルなギターリフに続くネロのスネア連打がキネマ倶楽部の高い天井までの広い空間を埋め尽くす。“踊りだせ手を繋ぎ”とミドルのハーフテンポに落ちるパートでは真紅のライトに包まれてガラがゆっくり言葉を噛みしめるように歌う。そして“さあ踊れ”という言葉を合図にまた、激しい道化師の世界へ逆戻り。このジェットコースターに乗っているような展開がスリリングで心地よい。

ケミカルを用意することなくグルグルの世界にイクことが出来る脳内トリップナンバー「Carnival」のサビでは、オーディエンスとの力強いユニゾンで、演者とオーディエンスが同化する。

間髪入れずにエンディングの「梟」に突入。アウトロに重ねてガラが吐き捨てる。“本当にこの世に神様がいるとしたらそりゃあんた不公平すぎる”。ガラの至極パーソナルな内への叫びが、皮肉にも混沌とした世界への普遍的なメッセージとして聴くもの一人一人の心に深く突き刺さる。全10曲、時間にて1時間弱。贅肉を削ぎ落とした、タイトなMERRYのステージは幕を閉じた。

本日のホストである石月を目当てに来場したファンにもその圧倒的なパフォーマンスは強力な印象を与えたに違いない。
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