【インタビュー】PULLING TEETH、『フッコーブシ』完成「生き方に忠実に、責任を取れる言葉」

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■興奮するんですよね、このバンドは
■すげえバンドに入っちゃったなと

▲植野泰治(ウッドベース)

──スタジオの回数が多くなったのは、アルバムを作ろうっていう気持ちがより働いていたっていうことなんですかね。

寿々喜:今回働きましたね、うん。KO君だからなあ。

照井:巨匠に失礼なことはできないし、ちゃんとしないと!っていう(笑)。

──最初にできた曲は?

寿々喜:「フッコーブシ」と「男」ですね。アイデアというか、半分くらいはできてまして。

──「フッコーブシ」という曲については、震災を経た今だからこそ作ろうという気持ちが強かったんですか?

寿々喜:この2曲を作りはじめたのは震災の前だったので、何となく“次はちょっと演歌っぽいのやりたいな”っていうくらいで、内容とかは全然考えてなかったんですけど。震災があって。一瞬、曲のことも忘れてしまったんです。

──ええ。

寿々喜:またバンドができる状況になって、思い出して。この曲だなって。

──期間が空いてしまったのは、いろいろな事情があったと思いますが。

寿々喜:そうですね。自分の生活の問題もあって期間は空きましたね。

──音楽やバンドをやるという気持ちに揺らぎもあったんでしょうか。

寿々喜:音楽は、まあ……音楽で食べているわけではないんですけど。“音楽って何だろう”って考えると、音楽をやるために上京してきている自分がいて。じゃあ辞めたらどうなるのかなとか考えると、続けるしかないっていうか。まあ、楽しんでやっているので、今のところ辞めるつもりはないんですよ。普段は一般社会の人との付き合いのほうが多いので、たまに言われるんですよね、「そんな年になってまだバンドやってんの?」って(笑)。逆に、「おたくタバコ止めないの? 止めるわけないよね。俺もそうですよ」って言うんです。趣味でもあるし、自分のなかで勝手に使命だとも思ってますしね。生活の一部なんですよ。

──今回は特にかもしれませんが、自身の体験や経験が歌になっていくのも必然ということですね。

寿々喜:そうですね。私も48歳になって、ここまで生きてくれば何かしら言ってもいいんじゃないの?っていう思いもありまして。それでわかりやすい日本語詞で、自分の経験を散らばらせてみたという。

──英語詞の時はそういった自分の思いや考えを発するという気持ちは?

寿々喜:なかったですね。バンドも、ただギターをかき鳴らして叫んで暴れ回って、疲れた後に飲むビールっていうのがまた旨いという(笑)。それだけのためにやってた感じ。まあ今もそうですけどね。それでも、ちょっと違いが出てきましたね、日本語詞にすることによって。自分の生き方に忠実に責任を取れる範囲の言葉で綴ってみました。

──逃れられないですしね、言葉の持つ重みからは。メロディに言葉を綴る上での壁は?

寿々喜:それが案外なくてですね。ボーナストラックの3曲を除いて10曲のアレンジが完成した時点で、“歌を作ろう”って決めて。メロディと歌詞はオケが完全に決まってから乗せたんですよ。ただ、歌を作る期間が2ヵ月くらいしかなかった。メロディは考えて作ろうとするとあまりいいものは出てこないので、浮かんでくるまで待って。歌詞はすんなり出てきましたね。作りはじめたら、一気に7曲分すらすらすらと出てきて。“お、才能あるんだな”と勘違いした時もありましたけど(笑)。

──書きたいという欲求もあったのかもしれませんね。

寿々喜:どうでしょうねえ。欲求はなかったですけど、文才はあるのかなって勝手に思っていたんですが、それも勘違いです。

照井:はははは!

──こんなにも熱い歌を書いたのにですか(笑)。実際のレコーディングでは、ここからバンドが動き出すという気持ちからモチベーションも上がったりしたと思うんですが、レコーディング方法は一発で録っているんですか?

植野:ここ何作かは最初にテンポを決めて。クリックを聴きながらドラムを仮ギターと同時に録って。あとはバラバラで録ってますね。

──一発録り的なバンド感や勢いがありますよね。

寿々喜:勢いはやっぱり、ここ(※腕を指す)かな(笑)。ま、クリック聴きながらやってもズレちゃうんですよね(笑)。そのズレがまたいいふうに聞こえるんではないかと思います。ずっと走ってたもんね?

植野:そこも含めてグルーヴのポイントなんでしょうね。

照井:まあ、安定の走りですね(笑)。自分でレコーディングしてるのに、後で叩いてみると“速えなこれ”って。それくらい興奮するんですよね、このバンドは。ほんと楽しんです。“寿々喜さんとやってる、泰治さんとやってる、俺すげえ”みたいなのもあるし(笑)。バンドって結構、組んでしばらくするとそういうのがなくなってきたり、ちょっとナメちゃったりする場合が多々あるんですけど、このバンドに関してはそれがない。“あの人だったらすげえの作るんだろう”って考えてるし、それ以上のものがくる。この3人じゃないとできないものがあるっということは、やっていて実感したので。すげえバンドに入っちゃったなと。スタジオに入っていても、惚れる瞬間があるんですよ(笑)。

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