【インタビュー】賛否を呼ぶあいみょん、濃厚でオイシイ1stミニALに「これで巻き返したいと思います(笑)」

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BARKSでは、ラストラムからデビューすることが発表された当時から応援している「あいみょん」である。3月にタワレコ限定でリリースしたデビューシングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」が、(お察しいただけるだろうが)過激な歌詞によってラジオオンエアNGという洗礼を浴びながらも、昭和歌謡のようにマスに刺さる凡庸性に優れたその歌は、じわじわと話題になっている。ライブの動員も増加中。だけど、正直まだまだシーンの反応は物足りない。そんな状況下だが、5月20日にリリースされる1stミニアルバム『tamago』を聴いてもらえれば、あいみょんのポテンシャルの高さをきっと感じてもらえると思う。曲調がバラエティに富んでいるだけでなく、成長も恋愛も友情も世相も、彼女なりに一刀両断しながら、どこまでも生々しくリアルに描き切っているのだ。あいみょんの音楽って、みんなの前では困惑のリアクションを一応とってしまったとしても、ひとりヘッドフォンで聴けば、いつまでも心に引っかかるような説得力と求心力がある。現在20歳のシンガーソングライターは、きっと「あなた」の事だって歌っているはずだ。

取材・文=RYOKO SAKAI

◆あいみょん画像&MV映像


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■今の私ってミュージシャンとしては、お米といでるくらいの段階だと思うんです。
■ケーキ作りで言うと小麦粉計ってるくらい。

──3月にシングル「貴方解剖純愛歌(~死ね~)」を出してから、デビューした実感は湧いてきていますか?

あいみょん:リリースの3日前くらいにジワジワ来たくらいですね。でも自分の環境は何も変わってないんで、お米とか炊いたり姪っ子のオムツ変えたりしてると、「あれ、デビューしたっけ?」って思ってます(笑)。でも実際、今の私ってミュージシャンとしては、お米といでるくらいの段階だと思うんです。ケーキ作りで言うと小麦粉計ってるくらい。自分の中でデビューした実感がわいてないのもその理由だけど、ミュージシャンとしてまだまだやと思っていて。私は岡本太郎さんが好きなので、太陽の塔の下でライブやれるくらいになりたいんです。でも今月は、勝手にお休み期間に入ってるので、ほとんど曲は作ってないんですけど(笑)。

──マイペースですね。

あいみょん:最近よくそう言われるんですよ! でも、ハイペースな時もあって1ヶ月で10曲できる時もあるんですけどね。



──それも含めてのマイペースだと思いますけどね(笑)。では、今回のアルバムについて教えてください。どうして『tamago』なんでしょう、っていうところから聞いてもいいですか?

あいみょん:純粋にカワいくないですか? マネージャーさん達と、たまたまお寿司屋さんにご飯を食べに行ってたんですよ。で、お皿に乗ったお寿司の玉子を横にしてみたら、「あれ、カワイイ……」と思いまして。

──なにそれ(笑)。

あいみょん:(笑)。でもそこから、アルバムのジャケットによくないですかってなったんです。それに、お寿司のネタって小さい頃にまず玉子から食べるし、ファースト感も出せるかなっていうのもありました。

──これから成長していきますっていう意思表明ですね。ちゃんとした意味もあってよかった(笑)。アルバム自体は、いろんなタイプの曲が楽しめる作品になりましたね。

あいみょん:そうですね。「貴方解剖~」でデビューしただけあって、こういう感じの、なんか凄い曲しか書かない人って思われるんじゃないかと思ったんですよね。だから、「ナウなヤング(にバカウケするのは当たり前だのクラッ歌)」みたいな一見チャラい雰囲気の曲だったり、「分かってくれよ」みたいなロウテンポの曲も入れて。よく言われる表現ですけど、名刺代わりの作品にしたかったんです。

──だからバンドサウンドも多いんですね。私、弾き語りのあいみょんも大好きで。ギターもいいし歌声も強い。でも、このアルバムは音がカラフルで、リスナーにとって間口が一気に広がると思いました。親友に向けて書いた「○○ちゃん」も、整形とかを歌った過激な歌詞だけど、仕上がりはポップ。ライブで歌ってる時にご自分が泣いてしまったって聞きましたけど、それくらい作り手の思い入れが強い曲って、どうしてもリスナーは入っていきづらくなっちゃうものだけど。



あいみょん:そうですね。「○○ちゃん」は、弾き語りばかりでやってたんですけど、元々の曲調からガラッと雰囲気が変わって、伝わりやすいようになったと思います。これは1年位前に書いた曲なんです。その頃、いろんな人に曲を書いてって言われていたんですけど、他のみんなは大したことないから書かへんって断ってたんです(笑)。でもこの親友は、面白い人生を歩んでたので。

──デフォルメしてるんじゃなくて、本当に親友はこういう感じの子なの?

あいみょん:はい。というか、ちょっと美化してるくらいなんです。まわりの子達の中でも私くらいしかその子にダメって言える人が言えなくて。でも、めっちゃいい子なんですよ。人の心を傷つけるような非道なことはしない子で。

──うーん……人間っぽい感じの人なのかな。

あいみょん:めっちゃそういう感じです。悲しかったらすぐ泣くし。私は、人間らしさがある人が好きなので、曲に書きました。

──でも、私がもし親友に曲を書くなら、もうちょっと救いを与えたいと思うはずで。ありのままの姿を書くっていうことが、あいみょんなりの誠意だったんですか?

あいみょん:というか、幸せな曲はまったく浮かばなかったんです。「ちょっとゲスくなるかも」って、予め言ってあったし。

──あいみょんは、人の幸せや明るい側面ではなく、割と影のほうを描きますよね。

あいみょん:そうなんですよ、不思議と……感情移入がしやすいんですよね。シンデレラみたいな悲しい女の子のほうが共感できる。昔から自分のことをシンデレラに置き換えて想像したりすることもあったし、不幸せな人のほうがなんか好きなんですよね。小説とかも、心苦しいくらい重いほうが好きです。ツラくなるのに、それがイヤじゃないっていうか。いろいろ考えさせられて好きなんだと思います。

──退廃的だったり堕落していくようなものが好き?

あいみょん:好きですね。映画もミステリーものが好きなんですけど、人の感情が渦巻いてて「怖っ!」ってなるのが好きで。自分も音楽で強烈なものを表現したいっていう気持ちはあるし。変な絵描いて、人の反応を見るのも好きです(笑)。

──(笑)。「幸せになりたい」も、タイトル通り、もれなく幸せじゃない曲ですしね。

あいみょん:そうですね。暴力受けてる女の人の歌ですからね。レコーディングしてる時、「まさかと思うけど、あいみょんの実話じゃないよね?」って聞かれちゃいましたし。これまでの全曲、そう聞かれてるんですよ。ほぼ妄想なんですけどね……。

──私もこうやってお話する前は、かなりブッとんでる人だと思ってましたから(笑)。

あいみょん:いやいや、全然です。暴力受ける関係なんて、私は絶対イヤですよ(笑)。


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