浜端ヨウヘイが6月10日、1stアルバム『BIG MUSIC』をリリースする。2014年11月のデビューシングルより約半年、オフィスオーガスタの大型新人は着実なライブ活動と確実な音源リリースを重ね、全12曲収録のアルバムを完成させた。2曲の既発シングルに加え、200曲以上のレパートリーから厳選した楽曲は、さらに新曲書下ろしを含む、ある意味では現在の集大成といえるもの。そのコンセプトは“大きな男の大きな音楽”だ。

◆「MUSIC!!」ミュージックビデオ

ベーシックレコーディングは2014年12月、デビューライブを共にしたバンドメンバーでスタート。宮古島のライブハウス「ズビズバー」でセッションを楽しみながら録った「BELONG-BELONG」や「スーパーマン」、弾き語りを基調とした「ラブソングみたいに」「鴨川」など、サウンドバリエーションは幅広い。また、山崎まさよしやBLACK BOTTOM BRASS BAND、金原千恵子といったゲスト陣も豪華だ。そのひとつひとつについてじっくりと訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■これまでは命というような大きなテーマについて
■歌うことを躊躇していたところがあったんです

──ついに1stアルバム『BIG MUSIC』が完成しました。

浜端:ありがとうございます。“やっとアルバムが作れたな”という感覚が強いです。ライブでずっと歌ってきた曲からアルバムに向けて書き下ろした曲まで、作った時期もすごく幅広くて。新旧が1つに集まった作品なので、自分の歴史を振り返りつつも“ここから始まるぞ”というか、到達点というよりは出発点という気持ちもある。1stアルバムなんですが、自分の時間軸のなかではちょうど真ん中になるような不思議な感じがしていますね。どの曲もすごく強いので、ずっと丼物が出て来るみたいながっつり感があるんじゃないかなって(笑)。

──たっぷり満喫できるってことで。ジャケット写真ですが、浜端さんにしかできないユニークなデザインかなと。ただ、本人的には顔が写ってないのはどうですか?

浜端:気になってくれましたか(笑)。ずっとやってみたかったことで。ここでようやく実現できました(笑)。ただ、写真を顔のどの辺りで切るか、皆で結構悩みましたね。裏に返すと顔だけが写ってるので、そのギャップも楽しんでほしいです。

──ギブソンのJ-200がこんなに小さく見えるアーティストもそうそういません。

浜端:そうなんですよね(笑)。そういうところからも、僕のサイズ感が伝わるかなと。今度は逆にウクレレとかミニギターを持って、三輪車にでも乗ってみようかな(笑)。

──アルバムはこれまでの浜端ヨウヘイをぎゅっと詰め込んだだけに、収録曲を決めるときは悩みましたか?

浜端:それが意外にすんなりで。今の僕にとっては、アルバムを作ってツアーに出るというよりは、ライブがあってその先に作品があるという感じだから、ライブありきで考えると「この選曲しかないんじゃないか」って、すっと決まっちゃったんですよ。曲順は少し悩みましたけど、悩んだときは、ライブではどう並べるかを考えました。それに、1曲目「Starting over」とラストの「MUSIC!!」は最初から決めていた。「MUSIC!!」はアンコールでみんなと一緒に歌う、というイメージがありましたから。

──「Starting over」はどんなきっかけで生まれた楽曲ですか?

浜端:この曲は環境保全プロジェクト『サラヤ/ボルネオ』のタイアップソング。“サラヤ”さんは環境保全活動の一環で、ボルネオの自然について考えたり、伝えたりするエコ活動を続けているんです。音楽で関わった僕にも、「ボルネオがどんなところで、どんな現状なのかを見てもらい、それをレポートしませんか」というお話をいただいたんですね。それで3月にボルネオ島に行き、その滞在中に作った曲です。リゾートでのんびりする旅ではなくて、何日間も朝からジャングルを歩くという行程だったので、皆大変でした(笑)。

──熱帯のジャングルからどんな刺激を受けましたか?

浜端:一日中ジャングルを歩き続けた後に、僕が感じたことをレポートしたりもしたんですが、それらが全て終わった後に曲作りをはじめて、3日間くらいで作り上げました。僕からすればすごく自然が豊かで濃い場所という印象でしたが、それでも開発などで自然が減少して、いきものたちは生息域を追われているという現実もあったりするんです。そういう、どちらかというと重厚なテーマを扱うとなると、僕としては少し身構えてしまうというか、“命とは”と大上段から歌うのは違うのかなって思ったんです。実際にボルネオの夜明けの原生林を歩いていると、朝日を浴びて、空の色や樹々が刻一刻と色を変えていきます。それは文句なしに素晴らしいし、これだって紛れもない事実。そうして夜になって1日が終わっていきます。はじまりと終わりを繰り返していくんだと思ったし、それをそのまま歌えばいいんじゃないかと。結局はごくシンプルな歌になりました。実は、これまでは命というような大きなテーマについて歌うことを躊躇していたところがあったんです。大きなテーマはまだ早いかなと、逃げてたというか。

──シンガーソングライターとして、自分の手で触り、目で見える確かなものを歌いたい気持ちが強かったのでしょうね?

浜端:ええ。「お腹すいたな」とかね(笑)。命が大事ってことは誰もが知ってるけど、それを聴いた人が「ああ、そうだよな」ってすごくリアルに感じるのって難しいと思うんですよ。だからこそためらっていたのかもしれない。けど、「Starting over」は目で見たり感じたことをそのまま歌ってるので、「どうしろ」「こうしよう」とは言ってない。それが今の僕らしいのかなと。

──この曲では12弦ギターが生命力のあるサウンドを響かせてますね。

浜端:ちょっとした飛び道具として使ってます。イントロで、日本ではないアジアのどこかを思わせる雰囲気を出したいなと思ったんですよ。スタジオにはシタールもあったんですが、それを使うとエキゾチックになり過ぎてしまう。だから12弦ギターの独特の響きでそれを表現することにしました。

──「ノラリクラリ」は以前からあった楽曲ですか?

浜端:2ndシングル「無責任」と同時期に作りました。サラリーマンを辞めて音楽一本で生きてくと決めたときだったので、ひたすら曲を書いていましたね。環境が変わると思うこともたくさんあるし、自分を奮い立たせる歌でもあったりして。「限りなく空」は不安もすごく大きかったから、その気持ちをまっすぐに書いた曲なんですね。ある意味「ノラリクラリ」はそれと対照的で、“春は来るはずだよ”って前向きな気持ちを書いてます。春というのは季節ばかりじゃなく、いろんなことが報われる時。そんな時が来るよって言いたくて。

──すごく温かいことを歌っているのに、タイトルがそれと直接結びつきにくいのも面白い。曲名も考え抜かれているなと。

浜端:いや。よく、タイトルでダメ出しされるんですよ。ただ、ひねりを利かせたいという気持ちは結構ありますね。

◆インタビュー(2)へ