【密着レポ】藍井エイル、全国ツアー4本目広島「自然と笑顔になっちゃう」

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■【ライブレポート──広島ナミキジャンクション】
■「また絶対会えることを約束したい」

マイクスタンドを中心に、その背後にドラムセット。下手にベースとギター、上手にキーボードとギターと両翼が広がるステージ上は機材が配置されたのみで、至ってシンプル。開場からわずか数分後に埋め尽くされたフロアの熱気があまりにも凄まじく息苦しいほど。室内音が開場前より数度上昇していることが肌で感じ取れる。水蒸気が白いケムリとなって立ち上る開演前の場内は、期待に膨らむライブハウスならではの光景だ。

下手側の客席フロアには“女性エリア”も用意されているが、あえて真正面に陣取る女性客も見受けられて、思い思いのスタイルで藍井エイルのステージを楽しもうとしていることが伝わる。そして19時00分、場内が暗転した。

静まり返った会場が、藍井エイルの歌声に吸い込まれた。するとバンドの爆音が静寂を打ち破るように身体を震わす。なんというラウドさ。キックのアタック感と重低音の迫力、それに絡むベースのふくよかで軽く歪んだ音色。ダブルのぶ厚いギターに、鮮やかなシンセサウンド。ドラマー:タクヤのインタビュー通り、そのメタリックなサウンドの上を軽々と藍井エイルの歌声が突き抜ける。客席はのっけから“Oiコール”だ。

「ようこそラピスへ! 広島!! みんなで最後まで楽しもうね」という藍井エイルのMC第一声に、ビルの4階に位置するナミキジャンクションが揺れた。

セットリストはこれまでリリースされた数々のシングル曲をはじめ、盛り上がらずにはいられないナンバーの揃い踏み。藍井エイルの歌声は、どこまでもクリアだ。真っ直ぐに伸びるハイトーンはもとより、圧倒的なパワーで押しまくる中低域から宙を舞うファルセットまでレンジは広い。その美声を武器に、正確なリズムとピッチを持って次々とタイプの異なるナンバーが繰り出されるのだから、フロアは圧倒されながらも熱狂度を増していく。とりわけ「サテライト」では、流麗なギターソロと藍井エイルのフェイクが溶け合って、あまりにも美しいハーモニーが描き出された。

「広島でのワンマンライブは初になります。前回、広島に来たのは<ひろしまフラワーフェスティバル>のとき。遂にワンマンをやる!という夢が叶いました。どうもありがとう!」──藍井エイル

ジャケット写真やアーティスト写真で見るクールなイメージとは異なり、ステージ上の藍井エイルはとても笑顔が多い。また、飾りのないステージだからこそ、大きく両手を広げたり、拳を突き上げたり、時にはモニターに足をかけて大きくジャンプしたりと、彩り豊かなパフォーマンスも映えるというものだろう。中盤のMCでは広島ならではの話題も。

「昨日広島に入って、夜はお好み焼きを食べにいったんですけど。今日のお昼も、流川通りをずっとうろうろしてたんです。ただ、あそこは歓楽街じゃないですか、どこもお店が開いてなくてね(笑)。ソフトクリームを食べ歩きながら広島を満喫してました」──藍井エイル

また、バンマスの重永は以前広島に住んでいたことがあるという事実が発覚するなど、軽快なトークもステージと客席の距離をますますゼロにした。ライブ後半には、間もなくリリースされるニューアルバム『D'AZUR』より、全国ツアー<Eir Aoi LIVE TOUR 2015 -BEYOND THE LAPIS->のために超先行配信された「Bright Future」を披露。イントロが鳴っただけで大歓声に包まれた同曲は、“WOW WOW WOW WOW~”のシンガロングが場内に轟くアンセムソングとして、早くもファンの心を捕らえて放さない。

「エイエイルー」のアンコールを含めて約2時間半のステージは終盤へ向かえば向かうほど尻上がりに声量が増していくという、安定感を通り越した驚愕の歌声を轟かせた。楽曲が終わるたびに拍手と声援も増していき、ファンも最後まで藍井エイルとの“0距離”を実践してみせてくれた。親しみやすく可愛らしいキャラクター。卓越した演奏力を持つミュージシャンたちによるド迫力のバンドサウンドにも負けないパワフルで美しい歌声。その天性の魅力は会場を笑顔で包み込むに十分な光を放っていて輝かしい。また、藍井エイル自身が強靱なバンドサウンドを思いっきり楽しんでいるという図式は、観ていて清々しさすら感じられた。

ステージの最後に藍井エイルは「ありがとうございました! 次、また絶対会えることを約束します」と叫んでステージを後にした。ちなみに、ライブ終了後にはファンとのハイタッチ会も。「広島にまた来てください!」「武道館に絶対行きます」「今年最高の思い出です」など、ファンから掛けられるひと言ひと言が藍井エイルをまた強く大きくしていくような気がして、ハイタッチ会終了直後に「あー、終わってしまったぁ!」と残念そうに漏らした藍井エイルの言葉が、とても眩しかった。

広島初ワンマンを大成功に収めた藍井エイルとエイルバンドの面々は、リハーサルでの“楽しい打ち上げになりますように”という掛け声通り、その後に行われた晩餐で最高のひとときを楽しんでいた。ライブレポートに続いては、その打ち上げ会場で行なったミニインタビューをお届けしたい。

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