【インタビュー】KAMIJO「ファンの24時間を自分の音楽で染めたい」
■僕、ドMなんですよ(笑)。だけど「HEEL」は、
■ドSを求めるファンのご期待に応えようというM心を発動させた
KAMIJO:自分のメロディーさえあれば、どれだけ変わってもKAMIJOなんだということは提示できたと思いますね。「HEEL」に関して言うと……僕、ドMなんですよ(笑)。でも、ステージではドSを求めるファンの方々も多いので、そのご期待に応えようというM心を発動させて作ったドSな曲です。
── なんと(笑)。また、「この世で一番美しい薔薇よ」と「Royal Blood」は20周年のアニバーサリー曲として作られたもので、こちらも大作。
KAMIJO:この2曲は、もう、ホントに大変でした! 今まではあらかじめ設定したストーリーに添って曲を作ることばかりしていたので、そのストーリーがない中で曲を作るというのは、ものすごく苦労しましたね。それでも「この世で一番美しい薔薇よ」は、ファンの方々に向けての“20年間ありがとう”という想いを形にしたいというテーマが最初からあったので、まだ(完成までの時間が)早かったんです。やっぱり僕にとって、聴き手の人生の一部に自分の音楽があるっていうのは、すごく嬉しいことなんですよ。例えば通学や通勤の時間に、毎日自分の曲を聴いてもらえるとか。でも、曲を書いて歌っている身としては、ファンの方々に曲が届いて、それぞれの人生であったり過去とリンクしたときに、初めて曲のメロディが動き出すと感じているから……できることなら24時間自分の音楽で染めたい。要するに、聴いてくださる方の全部が欲しいんです。それってホントは出しちゃいけない、でも、アーティストならきっと皆が持っている欲だと思っていて、この曲ではそんな想いをストレートに書きました。
── ある意味エゴかもしれないけれど、それくらいの心意気がなければ、リスナーの心を動かす作品も作り出せませんからね。そんなメッセージが核となっている曲だから、あえてバックの音もシンプルなバラードに?
── なんと言ってもアルバムの表題曲ですから、込められた想いは大きいですよね。
KAMIJO:はい。「Royal Blood」は直訳すると“王の血”になりますけど、僕は昔から“美しい旋律は血の代わりとなる”と言ってきてて。音楽というのは人間の身体に流れている血と同じように、それだけ人を元気にする力があると思うんですよね。要するに「Royal Blood」とは“人々のためのメロディ”という意味で、そうでありたいという想いを込めてアルバムに名づけたんです。
■夢の中に、今の仕事仲間と中学の友達が一緒に出てくるような
■それが僕の中での“時の破壊”
── そのアルバム1枚を通してのテーマは“時の破壊”ということですが、20周年と来れば普通は“時の積み重ね”を押し出すところ、あえて真逆の観念を持ってきたのは何故?
KAMIJO:そもそもツアーやリリース全てを含めた今年全体のコンセプトが“時を破壊する”ということなんです。これまで一貫して“永遠”というものを歌ってきたわけですが、やっぱり人間は常に永遠を求めているじゃないですか。例えば“ずっと好きでいたい”とか、バンドに対しても“ずっと同じメンバーで解散しないでほしい”とか。ただ、僕は続いていくこと、時間を積み重ねていくことが“永遠”ではなく、むしろ時間というものがなくなって、全てが一列に並んだときに初めて永遠って存在するんじゃないかと思うんです。そこから“時を破壊する”というコンセプトに行き着いたんですよ。
── なるほど。続くからには始まりと同時に必ず“終わり”があるわけで、となると永遠は時間の概念がないところにしか存在しない。
KAMIJO:それを僕の中で結びつけることができたのが、前作『Heart』(アルバム/2014年9月発売)なんですよ。ここでは時間というものは自分の中に流れているもので、それは心臓の鼓動、つまりハートビートであると歌っているんです。心臓が止まって訪れる“死”というものは永遠じゃないですか? でもそれは別に“時を破壊する=死”ということではなく、自分自身が時間であれば、そこに何か答えがあるんじゃないかと……というのは、今回の『Royal Blood〜』にも共通のテーマとして持たせたものですね。
── そもそもLAREINE、NEW SODMY、Versaillesと各時代の過去楽曲を、今、新たに録り直し、新曲と一緒に並べること自体、時の破壊を象徴する行為ですしね。
KAMIJO:例えば夢の中に、今の仕事仲間と中学生のときの友達が一緒に出てきたりすることってあるじゃないですか? それが僕の中での“時の破壊”であり、このアルバムもそういう感覚ですね。実際、ライブではアルバム以上に時を破壊したセットリストになっていますし、リリースをして聴いていただいてから、新たに生まれ変わった過去の曲たちをライブで披露したとき、どんな反応が返ってくるのか楽しみです。
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