【インタビュー】滴草由実、アルバム『BLUE』に「感情の色と見上げた空の色」

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滴草由実が7月22日、通算6枚目のオリジナルアルバム『BLUE』をリリースする。前オリジナルアルバム『A woman’s heart』から約1年7ヶ月ぶり、リミックス音源に新曲を加えた自身初のアナログ盤リミックスEP『Limited Remixes』発売直後の作品となる『BLUE』には、先鋭的ながら普遍的な世界基準サウンドが渦を巻いている。

◆「All my life」ミュージックビデオ

『BLUE』には、先のリミックスEP『Limited Remixes』から、レーベルSOULECTION所属のstarRoプロデュース曲「Everytime」やJazztronikがリミックスした「D」のオリジナルバーション、グラミー受賞クリエイターJason “J-Vibe” Farmerが提供した「LOVE ME」など、全10曲を収録した。コンセプトはタイトルが象徴する『BLUE』だ。本人曰く、「現代社会で生きる忙しない毎日の中、マイナスの感情(BLUE)を抱えながら見上げる空は、どんなに奇麗な青空でも悲しく見える時がある。このアルバムを聴き終えた時、聴き手の心の中にある曇りをそっと取り除き、澄み渡る青空(BLUE)に出来るような作品」に仕上がったとのこと。

さらに、アートワークはすべて滴草由実の指揮により制作されており、全32ページに及ぶ「”BLUE” Concept Art Book」が外付けされるなど、視覚と聴覚を刺激するアルバムとして届けられる。世界屈指のクリエイターによるリミックス集、ファッションブランドとのコラボによる「All my life」ミュージックビデオ制作をはじめ、洗練されたサウンドとスタイルで高い注目を集める滴草由実に、最新作について訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■制作し始めた時点から
■“ブルー”っていう色が頭にあった

──ニューアルバム『BLUE』の前に、2015年6月に発表されたアナログレコード限定のリミックス集『Limited Remixes』についてのお話から。ご自身のブログで、「マンハッタンレコードのランキングチャートtop50で1位になった!」とその喜びを書かれていましたが、このリミックス盤は、どういう経緯でリリースされたものなのでしょうか?

滴草:ベストアルバム『#10 story ~Best of Yumi Shizukusa~』(2014年6月)リリース直後から、新作の制作モードに入ったんですけど、それと同時に、“オリジナル楽曲をいろんな人にリミックスしてもらうのも面白いかも”となって。SoundCloudで活躍している世界中のクリエイターに、ダメ元でリミックスのオファーをしたんです。そうしたら、クリエイターの方がリミックスしたものをSoundCloudにもアップしてくれたりして、ちょっと話題となったんですね。“リミックス曲が集まっているのであれば、アナログで出してみませんか?”という提案がスタッフからあってリリースとなったカタチです。

──アナログ限定リリースというところも特徴のひとつですが、滴草さんとアナログレコードとの出会いは?

滴草:17歳の時です。レコードプレイヤーは持っていなかったんですけれど、絵を描くことが好きなので、ジャケ買いという感じでしょうかね。

──デザイン的に惹かれたレコードがあったという?

滴草:本格的に音楽活動をスタートした17歳の頃に、鹿児島から大阪へ移って一人暮らしを始めたんですね。当時の部屋が殺風景で“何か欲しいな”と思っていて。レトロな色使いやデザインのレコードに凄い興味があったので、音は分からずに気に入ったものを近くのタワーレコードで2~3枚買って部屋に飾ったのが、アナログレコードとの最初の出会いでした。

──実際にアナログレコードの音を聴くようになったのは?

滴草:スタジオで、ディアンジェロやローリン・ヒルなどを聴いて、贅沢な音だなと思っていました。こういう時代にもかかわらず、アナログを出せるというのは素晴らしいなと。

──では、アナログ盤『Limited Remixes』でこだわったところは?

滴草:まず、CDよりも大きい面積のジャケットに、自分のデザインを描けるということが嬉しくて。なので、リミックス集のジャケットは時間を取ってじっくりと描きました。

──ニューアルバム『BLUE』のジャケットも凝っていますね。こちらも、ご自身でイメージを描かれたのでしょうか?

滴草:ざっくりですけどね。バックは青で、影っぽいシルエットがあって……というような私のイメージを打ち合わせの段階でデザイナーの方とかに伝えました。出来あがってみたら想像以上にスタイリッシュになったので、ベスト・アルバム(『#10 story~Best of Yumi Shizukusa~』)の後の一枚に相応しいものになったと思っています。

──アルバムタイトルを象徴するようなデザインでもあります。

滴草:制作し始めた時点から、“ブルー”っていう色が頭にあったんです。住み慣れた場所から離れて、自分の夢や目標に向かって街の中でひとり頑張っている主人公がいて。その人が見上げた時の空が、ずっとインスピレーションとしてあったんですね。人の感情の中にあるブルーと、見上げた時の空のブルーとがリンクするというか。

──だからタイトルもずばり『BLUE』なんですね。

滴草:そのブルーも感情によっても変わるので、色ひとつひとつが一曲一曲になっていくといいんじゃないかなと。たとえば、リスナーの感情は悲しいブルーなんだけど、私の曲を聴くことによって、雲のない澄んだ青空のようにポジティブなブルーに変わればいいなという思いがあって。やっぱりブルーしかないなと。あとは、夏にリリースというのもあったので、空のイメージと前向きな部分を前回よりも強く意識して制作しました。

──リード曲の「All my life」は、まさに突き抜けたナンバーとなっています。

滴草:過去の作品のイメージから私の曲は、ミディアムやバラードのイメージが強いんじゃないかなと思っているんですね。それとは違う驚きを提供するのにはどうすれば良いかなと考えた時に、先ほどのリミックスワークスのJazztronikさんの仕事に触発されまして。そこで、トライバルハウスの要素を入れて、前作の「Rainy」でも試みたトラップの要素も加え、R&Bのニュアンスを出したトラックをプロデューサーが作ってくれたんです。

──なるほど。

滴草:トラックをもらった時に、“あ、これだ!”って歌詞もメロディもすぐに出来たんですよ。その瞬間に、これはアルバムのリード曲になるだろうなと感じました。私は考えるよりも感覚系なので、曲によっては何ヶ月もかかってしまうものもあるんですけど、これはサッと出来た曲。ベストアルバムを経て、新たな自分を分かってもらえる作品になったと思っています。

◆インタビュー(2)へ
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