【インタビュー】Charisma.com、“OLコンセプト”の最新作は最高&最強にして「おまけにこれが最後です。」

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Charisma.comの3枚目のアルバムにしてメジャーデビュー作、『OLest』(オレスト)を聴いて、やはり痛快な気分になっている。リリックに関してOL目線というくくりで語られることが多いものの(MCいつかとDJゴンチはそれぞれ会社員としての顔も持つ)、常にシニカルな傍観者たるその視点が実に面白いのだ。物事は往々にして額面通りではなく、現実と真実にはいつもズレがある。そんなことをユーモラスに、カッコよく、そして逞しく、よりレンジを広げたエレクトロラップという手法で表現している彼女たちの本質は、今作でひとつの結実を見たと言っていい。聴いてスカッとする人が増えてくれることを願うばかりだ。

取材・文=斉藤 ユカ

◆Charisma.com 画像

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■正直、四つ打ちにちょっと飽きちゃったんです(笑)。
■Charisma.com=四つ打ちバキバキのイメージも、もう結構ですって



──まだ会社員を続けていたんですね。ライヴやらキャンペーンやらでいつも忙しそうだから、そろそろ二足のわらじを履くのはきついだろうなと思っていたんですが。

MCいつか:ギリギリのところなんですけどね。ま、そのうちクビになると思います(笑)。

──にしても今作、OL視点の曲が多いじゃないですか。前作『DIStopping』(2014年6月リリース)を発表したとき、これまでディスってきた上司の気持ちもわかるようになってきて、迷いが出てきたと話していたけれど、そこから抜け出せたのかな。

DJゴンチ:前回はちょっと葛藤してる感じでしたもんね。

いつか:1枚目(『アイアイシンドローム』/2013年7月リリース)を何も考えないで作ったから、2枚目で考えなきゃいけなくなったときにゴニョゴニョしちゃったんですよね。今回は「別にいいか」と思って。とりあえず今やりたいことをやらせてもらおうと思って作ったから、開き直りだし、無理してないし。最初に何曲か作ったときにOL臭が強いものができて、それをコンセプトにしちゃったんです。で、ワーナーミュージックさんコレどうですか?って聞いたら、大丈夫ですって言われたんで、こうなりました。

──要は、ブレてるんじゃないかとか考える前に、自分の素直な気持ちを吐露した、と。

いつか:そうです、そうです。このアルバムを聴いて、リスナーの人が「わかる、イライラするよね、わかる!」って終わるんじゃなくて、「わかる、イライラするよね。でもウケるよね、それって」みたいに、ちょっと違うベクトルを持たせられるようにしたかったんです。自分自身もそういう考え方をしたかったし、みんながそうであってほしいと思って書きました。

──でも「お局ロック」あたりは、さすがに当事者にバレるんじゃないの?

いつか:少なくとも周囲にはバレますよ。実際、昔の会社の後輩に「あの曲ってあの人の…」って言われましたもん。ただ、そのお局さんの方って昔勤めていた会社でもうだいぶ前に退社されているので、まぁ、よくはないですけど、まいっかと(笑)。でもどうかな、本人は聴いても気づかないかもしれない。

──あ、そもそも自分のこととは思わないのか、お局たるものは。

いつか:そうなんですよ、まさか自分が厄介なお局だとは思っていないはずだから。

──という意味では二重の皮肉が込められている、と(笑)。

いつか:あはははは、ひどいな私(笑)。

──ま、テクニック?

いつか:テクニックです、あはは(笑)。でもね、今回がいちばん手応えみたいなものを感じたんですよ、歌詞の内容に関してですけど。曲の統一感みたいなのは前作のほうがあったかな?

──どういう意味で?

いつか:サウンドのまとまりという意味では前作がまとまっていたんですが今回メジャーレーベルに移籍ということで環境が変わって、ちょっと手探りの部分もあったので、試行錯誤してる感が出たかなと思うんですよね。トラックの気に入り具合と、コンセプトとかに関しては充実してたし、手応えはありましたけど。

──それは聴き手にしてみれば、楽曲がバラエティに富んでいると感じられるところなんですけどね。今まで以上にカラフルだなと思う。

いつか:なるほど。それならよかった。正直、四つ打ちにちょっと飽きちゃったんです(笑)。Charisma.com=四つ打ちバキバキっていうイメージも、もう結構ですって感じだったので、もっとゆっくりなやつもやりたい~って思ってたんですよね。

──レコーディング環境も変わったんですか?

いつか:トラックメーカーさんがずっと立ち合ってくれて、アドバイスをくれました。ココとココで韻を踏んでるけど、次(のライン)も同じようにしてみたら?みたいな具体的な意見を言ってくださる方もいたし、コーラスで参加してくださる方もいたし。今までひとりで作ってた感があったから新鮮だったし、今回は自分では思い浮かばないような提案をいただいたりもしたので、すごく充実してましたね。楽しかったです。

──全体的に歌パートというか、メロディの分量が増えましたよね?

いつか:ホントはラップのサビを作りたいと思ってたんですけど、今回はなんかメロディが先に浮かんじゃったんですよね。

──ああ、なるほど、歌心が。

いつか:ええ、ついに歌心が(笑)。曲作るときが鼻歌はじまりなので、どうしてもそうなっちゃうんですよね。

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