【インタビュー】葉加瀬太郎、「<情熱大陸フェス>はピクニックであると同時にお祭りである」

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葉加瀬太郎がイベントアドバイザーを務める夏フェス<情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA'15>が、8月1日(土)に万博記念公園もみじ川芝生広場で大阪公演を、8月22日(土)に夢の島公園陸上競技場で東京公演を開催する。“大阪の御堂筋と東京の表参道をぶち抜いて、一週間続けられる音楽祭を作ろう”をテーマにスタートした同フェスは2002年より毎年開催を続け、今年で第14回目を迎える。

◆情熱大陸フェス 画像

TBS/毎日放送系TV番組『情熱大陸』テーマソングを手がける葉加瀬による“大人のための夏フェス”は、そのコンセプトに賛同したアーティストを招いて行われるものだ。ジャンルは問わない。しかし音楽に人生を懸けたアーティストによるクオリティの高い音楽、これが同フェスの根底にある。加えて、代表曲の披露が約束されたステージや、ハウスバンド形式のアクト、各アーティストと葉加瀬太郎の共演の数々や葉加瀬のコスプレなど、このフェスに流れる空気には、ある種の突き抜けた幸福感が漂って笑顔が尽きない。同フェスの2015年について訊いたインタビューは、祭り好きの幼少時代にまで遡る深く熱い話となった。

   ◆   ◆   ◆

■音楽と人生って、関係性は2つしかないんですよ
■音楽に人生を懸ける人と、音楽を人生に使う人。それしかいない

──2015年は葉加瀬さんにとって、デビュー25周年であり、クライズラー&カンパニーの再結成など、いろんなことが重り、そしてつながっていく、名実ともに大事な節目となる1年ですね。

葉加瀬:そうですね。<live image 15-quinze->も今年15年目で、僕にとってすごく大きな想い出と貴重な体験を積むことができたライブでした。その大きな公演を終えた翌々日からクライズラー&カンパニーのツアーが始まって、それが終わると夏の<情熱大陸 Special Live>、そして秋からは自分のツアーと、もう息をつく暇がないんですけど(笑)。それぞれすべてのイベントをもう一度、リスタートというより確認する時期なんじゃないかなって思っています。

──その中でも、葉加瀬さんがイベントアドバイザーを務める<情熱大陸 Special Live>は、夏フェスとしてすっかり定着した存在だと思います。今年の<情熱大陸 Special Live>を迎えるにあたって、スタート当初と何か気持のうえで変化はありますか? それとも、首尾一貫して、同じ気持ちで続けているという感覚なのでしょうか?

葉加瀬:最初に大阪と東京で始めた時、おそらく20年から30年はかかるだろうけど、最終的には大阪の御堂筋と東京では表参道をぶち抜く一週間くらいの音楽祭にしたかったんですよ。そのイメージは今でもはっきりと持っていて。東京だったら、東京の街自体が音楽を世界に向けて広げることで、世界中からそれを見に来るといった……例えるならリオのカーニバルみたいな形。リオのカーニバルだって、実は元々10人のパレードから始まったものですからね。音楽とか、お祭りというものを世界中からお客さんが観に来る国とか街ってカッコいいじゃないですか。物を売るためじゃなくてね。そういうことは音楽家が言い出したほうがいいなと思ったことが、このフェスを始めたきっかけなんです。実際にその夢が叶うかどうかは別にして、そういう志は持ち続けていたいんです。

──大きなお祭でありながら、文化として発展させていこうと。

葉加瀬:文化というよりも、音楽と人生って、関係性は2つしかないんですよ。音楽に人生を懸ける人と、音楽を人生に使う人。それしかいないんだなって思う。そして前者のような人が作った音楽は、時代や流行を超えることが出来るんです。だから信用して付き合える。でも、邪悪な気持ちを持って、音楽を人生に使おうという気持ちで作られた音楽というのは、実は世の中には氾濫していて。そういった音楽を信じるか信じないかは皆さんの自由だけど、音楽家としては、それを信じちゃった場合にあまりよくないことがいっぱいあると思っているんです。だから音楽家には、そのジャッジと提供、これが大切な義務だと思っていて。ちゃんとした気持ちで作られた音楽を広く紹介したいんです。噛み砕いて言えば、いい音楽だけを伝えたい。僕自身が、音楽が大好きなだけにね。

──その想いが根本にあるからこそ、<情熱大陸 Special Live>はいわゆる“ジャンル”の括りもない、幅広いアーティストのラインナップが大きな魅力ですよね。

葉加瀬:そこがポップスの強さなんですよ。何年か前にマーチン(鈴木雅之)さんと飲みながら話していたんだけど、「それぞれのミュージシャンに自分の聖域、もしくは故郷と言うべき愛する音楽が必ずあって。でも、そこから一歩外に出て誰かと話をしようっていう空間がポップスだ」って言うわけです。マーチンさんにはソウルがあり、僕にはクラシックがある。そんな2人がこうやって一緒になって音楽の話ができるのは、故郷から大通りに出ているからじゃないか、って。そんな会話ができる“テーブル”があったら素敵じゃないですか。それぞれにみんながルーツミュージックを持っていて、信じている音楽性がありつつ。でも一緒に会話ができるということが、いい音楽、ポピュラー・ミュージックとしてクオリティが高い音楽だからこそだと僕は思うんです。じゃあ、“クオリティの高い音楽って何か?”と考えると、それは小手先だけで作り上げた音楽、真心が入ってない音楽、あとは聴き手をバカにしたような音楽ではないもの。ただ、子供の時ってそれが分からないから、“本物だと思って食べ続けていたら味覚がおかしくなった”ということにも成り得るわけです。子供たちがそうならないようにすることは、音楽の作り手側の責任だと僕は思っているんです。

──音楽に限らず、"本物"に触れる機会や体験がないことには、"本物"を知れませんよね。

葉加瀬:そうなんですよ。僕の娘は今15歳で、アリアナ・グランデの大ファンなんです。もちろんYouTubeでもアリアナを見ているんだけれども、アリアナの作品は、iTunesでも、CDでも、コンサートのチケットも、全部買うわけ。それこそ「6月9日に(クライズラー&カンパニーで)日本武道館でやるから、来ない?」って聞いたら、「ロンドンでアリアナのツアー中だから無理」って言われて。「ああ、そうですか。パパのほうも結構でっかいコンサートなんだけどなぁ」って(笑)。まあ、そのくらい本当に音楽が好きな人はそこまでいくから、“窓”が大きく開かれていることはいいことなんだけど、ネットっていうのはそれが全てだと思ってしまいがち。YouTubeで“見た”と思ってしまう。でもあれは見たことにならないですから。そこを信用するのではなく、ネットを“窓”として、そこからより深く入っていくことが本当の面白さなわけです。だから子供たちにとっては、これだけ“窓”が開かれていることは幸せでもあり、反対の側面もあると僕は考えています。僕だって子供の頃に今のような環境だったら、これほどの“クラシックおたく”にはなれなかったと思いますよ。いろんな物が目に飛び込んできますからね。

──確かに、ひとつの事柄を突き詰めるのが難しい時代かもしれませんね。

葉加瀬:僕は小学4年生から『音楽の友』と『レコード芸術』を毎月購読していて、一番好きなテレビ番組が「N響アワー」でした。でもネットがあると、そういう凝り固まったことにはなかなかなれませんよね。僕の小学生時代は周りも、ひたすらTVの歌番組『ザ・ベストテン』を見てアイドルを追っかけているやつ、ビートルズばかりを聴いているやつ、怪獣やスーパーカーばかりを集めているやつ、野球ばっかりやってるやつ、そして僕がクラシックと、そんな突き詰めているやつがたくさんいて。しかも突き詰めるところがみんな違ったんです。そういうのって今は逆に難しいだろうなと思います。

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