【ライブレポート】< HighApps TOURS 2015 >ファイナル公演、全8バンドの熱演で大団円

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HIP LAND MUSICプロデュースのライブイベント<HighApps TOURS 2015>のファイナルが、8月6日(木)に東京・LIQUIDROOMで開催された。7月7日の高松・DIMEを皮切りに全9公演が行われ、この日は各会場を沸かせてきた全8バンドが集結。長時間にわたって大きな盛り上がりを見せた。

◆<HighApps TOURS 2015>東京公演 画像


トップバッターを務めたのはユナイテッドモンモンサン。「一番目から盛り上がる準備はできてますかー?」という松岡恭子(Vo&G/Key)の呼びかけから、パワフルなリズムとポップな男女ツインボーカルで会場を盛り上げる。見た目はキュートな松岡だが、MCでは男前なキャラを発揮して、オーディエンスにコール&レスポンスを求め、全体でライブを作って行く。「広い会場でやりたいという願いが叶った」という「星に願いを」から、最後はとびきりキャッチーな「君だけのキス」。キーボードを離れ、ステージの中央で歌い踊った松岡は、最後にバスドラからジャンプを決め、短い時間で鮮烈なインパクトを残した。


三原健司(Vo&G)の「はじめます」を合図に「オワラセナイト」から始まったフレデリックは、ファンキーな演奏ですぐにオーディエンスの心を掴む。怪しげな雰囲気が魅力の「ふしだらフラミンゴ」では、健司が「あなたが立ってるその場所は、あなただけのダンスフロアなんじゃないですか?」と話し、それに呼応するように会場中でジャンプが起こった。「いろんな娯楽がある中、音楽を選んでくれてありがとう。普通夏はプールとかに涼みに行くのに、わざわざ熱くなりに来るなんて最高や」という三原康司(B)のMCから、短いセッションを挟んで「ディスコプール」へと続き、最後はアンセミックなダンスナンバーの「オドループ」。会場中がダンスフロアと化し、早くもこの日最初のピークを迎えた。


ステージ上が電飾に彩られたHomecomingsのライブは「I WANT YOU BACK」からスタート。ノスタルジックな甘いメロディと清廉なコーラスが、会場に涼しい風を運んでくる。畳野彩加(Vo&G)は「こんな大きいところでやるのは初めてなので、緊張してます」と初々しい顔を覗かせたが、「IN BETWEEN SUMMER」では骨太な演奏も聴かせる。マイペースな畳野の一方、ムードメーカー的な存在の福富優樹(G)が「遂に踊れる時間が来ました! 踊ってください!」と盛り上げて「GREAT ESCAPE」を披露すると、ラストは最新シングルの「HURTS」。それまで大人しく見ていたオーディエンスからも、自然と手拍子が起こっていたのが印象的だった。


Kidori Kidoriは攻撃的なガレージナンバーの「NUKE?」、緊張感のある変拍子を含む「Come Together」と最初から畳み掛けるように曲を演奏していく。MCではマッシュ(Vo&G)が「今日はいろんなバンドがいてお祭りみたいな感じだけど、うちらはHIP LANDにお世話になってるんで、ホームパーティみたいな感じです」と言って、「ホームパーティ」を披露。さらには、3拍子と4つ打ちの組み合わせで独自のグルーヴを生み出す「なんだかもう」と、3ピースという最少編成ながら様々なアンサンブルを聴かせてくれる。そして、ここでこれまでサポートだった汐碇真也(B)の正式加入を発表。「2人でやって来れたのは、みなさんのおかげです」と改めてオーディエンスに感謝すると、最後は「テキーラと熱帯夜」。バンドの新たな門出を祝して、会場中で乾杯をするかのような暖かな雰囲気に包まれた。


SEの時点でフロアからクラップが起こったgo!go!vanillasは、牧達弥(Vo&G)の「今日一番騒ぐ時間が来たぜ!」という言葉を合図に、「アクロス ザ ユニバーシティ」から見事なロックンロールショウを展開。長谷川プリティ敬祐(B)はいつものようにステージを縦横無尽に動き回り、「エマ」では早くも会場中が一体になってジャンプが起きる。彼らは先日メンバーチェンジがあって、7月のワンマンで新メンバーの柳沢進太郎(G)がお披露目されたばかりだが、柳沢もクールかつ熱いプレイでバンドにしっかり溶け込んでいる。「ツアーファイナルにとっておきの打ち上げ花火を用意して来ました!」とニューシングルの「カウンターアクション」を演奏し、最後は牧が「フレデリックの健ちゃんのピックを使って、踊る力を注入させます」と言って、「マジック」で大団円を迎えた。


イベントもいよいよ後半戦。6番手はこの日最も大編成のHello Sleepwalkersが登場。シュンタロウ(Vo&G)の「かかってこいよ!リキッド!」という言葉と共に、ライブは「猿は木から何処へ落ちる」でスタート。複雑なアレンジのモダンなミクスチャー・サウンドから一転、サビではポップに突き抜けるナルミ(Vo&G)のボーカルが印象的だ。変拍子を織り交ぜて予測不能の曲展開を見せる「円盤飛来」から、「お前らの一番でかい声出してみろ!」という煽りに応えてオイコールが起こると、ボーカルの2人がギターを置いて2MC状態となり、エレクトロニックな「Worker Ant」でさらにテンションが高まって行く。そして、ラストはドラマチックかつエモーショナルな「Ray of Sunlight」。ほとんどMCらしいMCもなく、楽曲の力のみで押し切った潔さが実に痛快だった。


中原健仁(B)の「最高のライブにしよう!」という挨拶から「林檎の理」で始まったLAMP IN TERREN。とても3ピースとは思えないスケールの大きな楽曲が魅力的なバンドだ。それはリズム隊が生み出す重心の低いグルーヴもさることながら、やはり松本大(Vo/G)の訴求力のあるボーカルの存在が大きい。「ボイド」でその力強さはさらに増し、疾走感のある初期曲「Sleep Heroism」を挟んで、「メイ」ではここがライブハウスではなくホールであるかのような錯覚を感じるほどに、彼らの世界観が大きく広がっていた。MCではKidori Kidori、Hello Sleepwalkersと共にツアーの全9公演に参加し、そのどれもがまったく違う一日だったと語ると、「一番大きな会場で、一番の盛り上がりを作ろう」と会場に呼びかけて、ラストに「ワンダーランド」を披露。最後まで引き込まれるライブだった。


ツアーファイナルの大トリを務めるのは、THE ORAL CIGARETTES。「HighAppsのトリはオーラルがいただきます」という山中拓也(Vo&G)の言葉を合図に、一曲目の「mist…」からアグレッシヴな演奏で攻めまくり、「STARGET」のサビではフロア後方でサークルモッシュが起こる。「大阪と名古屋ではトリができなかったけど、ファイナルの東京でできて嬉しいです」という感謝の言葉に続いては、7月から会場限定で発売されているシングルの「カンタンナコト」へ。山中がハンドマイクで歌うファンキーな曲でさらに場内の温度を上げると、そのまま「Mr.ファントム」を畳み掛け、最後は「起死回生STORY」のサビを大合唱して本編が終了。アンコールでは「この日一日だけじゃなく、毎日を心の中に留めてください」と語りかけ、「エイミー」でツアーのラストを感動的に締め括ってみせた。

Text by 金子厚武Photo by 山川 哲矢/Viola Kam [V'z Twinkle Photography]



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