【インタビュー】植田真梨恵、夏シングルに「“気持ち悪い!”っていう瞬間が気持ちいい」

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■着地点がないことこそ私は曲にしたいなと常々思っているので
■必然的にポカッと生まれたりする曲のほうがいいなって

──歌詞については、曲を書いている時にご友人の猫が行方不明になって。一緒に探したり、ご友人を励ましたりしたこともきっかけになったそうですね。もともと書きたいなと思っていたことと、日常の出来事がリンクしたという感じだったんでしょうか?

植田:そうですね。例えば、“わからないこともある”とか、“わからないけど好きだ”とか、もともと思っていることではあったんです。初期に書いた「コンセントカー」の歌詞でも“解らないんだ 伝わらないんだ”とか“解らないくせに 伝わらないくせに”という歌詞を書いているんですけど。でも、それだけじゃなくて。

──なるほど。

植田:この時私、ホントに困っちゃったんですよ。友だちに何を言っていいのかわからなかったし、何ができるのかもわからない。私だったらどうだろう?って考えたんですけど、それもわからなくて。でもどんなことからも繋がることはきっとあるから、いてもたってもいられなくて、制作真っただ中だったんですけど猫を探しに行って。

──悶々とした日々を送ったんですね(笑)。

植田:そうそう(笑)。で、「曲ができたら帰ってくるよ」ってその子に言って、本当に1コーラスできた時に猫が帰って来たんですよ。ホントびっくりしちゃったんですけど。

──“わかんないのはいやだ わかったふりもいやだ”、“わからないけれど わからなくて問題ない そばにいるよ 話してよ”という歌詞は、心の動きがとても出ていると思います。もやもやと考えていたことが言葉になったことで、何か心にストンと落ちたものがある?

植田:私は思ったことをパッと言うし、モヤッとしたことがすごくイヤな性格ではあるんです。でも、モヤッとしていても問題ないと思えるものもあるし、別にわかんなくていいよなっていうことも、最近になって思えるようになったんです。もっと言ったら私自身、人に対して簡単に「わかるわかる」って言ってないかな?とも思ったんですね。本当の意味でわからなくても、好きな気持ちであったり、力になりたいと思ってることに変わりない。そういうことが大事なんじゃないかなって。この曲は特に着地点はないんですけど、着地点がないことこそ私は曲にしたいなと常々思っているので。こういう形になってよかったし、こういうふうに必然的にポカッと生まれたりする曲のほうが、私はいいなって思っちゃうんですよね。

──歌詞としては夏の感じではないですね(笑)。

植田:そうなんです(笑)。夏に向けたシングル曲ですけど、それっぽいことばかり歌いたくなかったというか。私の生きている日常の中で必然的に生まれた曲であって、でも、何年か経った時に、みなさんの中に「あの夏によく聴いたなあ」というふうに、夏の思い出として刷り込まれたらって感じはしていますね。

──カップリング曲の「クリア」は、タイトル通りとてもキラキラとした輝きのある曲ですね。こちらはオルビス化粧品「CLEAR」のイメージソングに抜擢されたナンバーですが、お題ありきで書いた曲だとか?

植田:やっぱり好きだなと思いましたね、お題をもらって曲を書くことが。例えばタイアップ曲は、商品に対して絶対的なイメージを持っている人がいるわけじゃないですか。その人の話を一生懸命聞いて、そのイメージを曲としてカタチにするっていうのが、めちゃくちゃ楽しかったですね。

──例えば、こういうイメージでという具体的な話はあったんですか。

植田:一番最初に出てきた話が、周期ニキビだったんです。お話が進むなかで凛とした女性像が浮かんで。強さがありながらも、たまに揺らいでしまったり。そういう弱さも持った強い女性をテーマに曲を書いていきました。だから、応援している曲というか。今、一生懸命に仕事を頑張って忙しくしているけれど、自分のこともなるべく頑張っている。負けたくない女の子っていうことを想像しながら作りました。

──それって自分とも近いと思いますか?

植田:近いと言えば近いのかな。生活サイクルで言えば、もしかしたら全然違うのかもしれないですけど、誰かに認めてほしくて頑張っている女性っていうのはなんとなく頭にあったので。一生懸命何かに向かって頑張っているというところは近いですよね。

──CMだと尺やピックアップされる部分が決まっていたりもしますよね? そこでこう聴かせたいみたいなことも考えたんですか。

植田:まず曲の雰囲気として、「ザクロの実」のように、ギターよりもピアノで、ふんわりしたイメージで始まって、突然開ける感じの曲というオーダーはあったんです。でも、その時点ではサビだけなのかサビの前からなのか、曲のどの部分が使われるのかわからなかったんです。ただ、切り替わりを大事にしたいとおっしゃっていたので、そういう部分がくるんだろうなとは思ってて。どこを使ってもらっても問題ないようにと考えながら作りました。

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