【インタビュー】スモールプールズ「無料で聴いて、ファンになってくれればいい」

ツイート

LAを拠点とするエレクトロ・ポップ・ロック・バンドの新鋭、スモールプールズが、デビュー・アルバム『LOVETAP!』のリリースに続き、<Summer Sonic 2015>で初来日を果たした。

◆スモールプールズ画像

ツアーに忙しく、デビュー・アルバムの発表まで時間がかかったが、2013年にリリースしたEP以来、そのキャッチーでアップビートなポップ・アンセムとダイナミックなパフォーマンスにより注目され続けてきた彼ら。<Summer Sonic>では、トップバッターだったにも関わらず、会場は満杯だったという。そして、12月には単独公演での再来日も決まった。

ショーン・スキャロン(Vo/Key)、マイケル・カマーマン(G)、ジョー・インティル(B)、ボー・クーサー(Dr)の4人が、日本での初パフォーマンスやデビュー・アルバム、ストリーミング・サービスとの関係について語ってくれた。



――<Summer Sonic>でのパフォーマンス、いかがでしたか?日本でプレイするのは初めてでしたよね?

ショーン:最初は緊張したよ。いくつか日本語のフレーズを習ったんだ。それ、間違えないようにしなきゃって思って(笑)。

ジョー:すごく真剣に覚えてたよ(笑)。

――どんな言葉を?

ショーン:正しいといいんだけど……。

マイク:“ミンナ、ゲンキ”

ショーン:騒ごうよって言いたくて、“オコエヲダシテ”? あってる? “ミンナ、ゲンキ”とか“ミンナ、サイコー”とか。

マイク:“ミンナ、ジャンプ”(笑)

ショーン:オーディエンスは最高だったよ。僕ら、トップバッターだったんだけど、大勢の人たちが来てくれて、嬉しかった。

――会場はいっぱいだったと聞いています。

ジョー:そうなんだ、みんなナイスだったよ。

マイク:暖かく迎えられて、本当に嬉しかった。

ショーン:日本のオーディエンスは礼儀正しかった。曲が終わると、僕の話をちゃんと聞こうとしてくれた。たいしたこと言うわけじゃなかったんだけど(笑)。

――4人の出会いとバンドを結成した経緯を教えてください。

ショーン:僕とマイクは2007年に知り合った。それぞれ別のバンドにいたんだけど、一緒にツアーやったんだ。でも、どっちのバンドも上手く行かなくなっちゃって、2人で曲を書き始めた。近くに住んでたんだよ。東海岸だった。で、4年前にLAに引っ越して、僕の従兄を通じジョーと知り合い、ジョーがボーを紹介してくれたんだ。彼らは同じ州に住んでたんだ。それがLAに引っ越して1年半くらい経ったときかな。

マイク:全員揃ったのが2012年だ。

――東海岸に留まり音楽を作り続けるのではなく、LAへ移ったのはなぜですか?

マイク:大きな変化が必要だったんだ。あのとき、ショーンは代行の教師やってて、僕はレストランで働いていた。彼は父親と一緒、僕は両親と暮らしていた。NYに移ることもできたけど、変化をもたらすには近すぎたね。

ショーン:それに寒すぎる(笑)。

マイク:そうそう(笑)。だから、反対側へ行って、新しいインスピレーションや新しい友人を得たいって思ったんだ。

――西海岸と東海岸では雰囲気がまるっきり違うと思いますが、もしLAに移っていなかったら、作る音楽は違っていたと思いますか?

ショーン:その通りだね。だって、東海岸にいたときも音楽作っていたけど、良くなかったもん(笑)。だから、向こうで生活を一新したかったんだ。

――スモールプールズ結成前、4人とも別のバンドでプレイしていて、音楽の好みも違ったのではないかと思いますが、それを1つにするのは難しくなかったですか?

ジョー:そんなことなかった。確かに好みは違ったけど、4人で初めてプレイしたときに、これだって、これが僕らの音楽だってすぐにわかったよ。

――それぞれのお気に入りのアーティスト、アルバムは?

ショーン:LAに引っ越すんでマイクと車でアメリカを横断していたとき、数日かかったんだけど、ニュー・ラディカルズをよく聴いていたよ。中部や砂漠の中を走りながら聴くのはクールでインスピレーションに溢れていた。

ジョー:僕はジョン・メイヤーの大ファンなんだ。1番好きなソング・ライターだよ。彼の『Continuum』と『Born And Raised』の2枚が僕のベストだ。

マイク:僕は1980年代の音楽が大好きなんだ。子供のときラジオでかかってたのがね。フィル・コリンズ、イーグルス、ドン・ヘンリー…、ニュージャージーに住んでたから、ブルース・スプリングスティーンで育ったようなものだね。それにポリスとカーズかな。

ボー:僕もマイクと同じだよ。ポリスの大ファンなんだ。彼らは当時、最高のトリオだったと思う。レゲエやパンク・ロック、ストレートなロックンロール、違うジャンルをひとつにしてユニークな音楽を作ったとこ、リスペクトしている。

――デビュー・アルバム『LOVETAP!』がリリースされたとき、“やっと!”って感じでした。

全員:ハハハ、そうだね(笑)。

――EP(2013年7月)を発表してからずい分と開きましたが、それはツアーに忙しかったから?

ショーン:そう、ツアーのオファーが舞い込んで断れなかったんだ。ファン・ベースを築く助けになるし、ツアーに誘ってくれた素晴らしいバンドたちから学び成長できるチャンスだったからね。アルバムはもうちょっと遅らせよう、もうちょっと、もうちょっとって…(笑)。

――でも、待った甲斐がありました。

全員:ありがとう。

――ツアー中、曲を作るのって大変じゃないですか?

ショーン:ツアー中に作っていたわけじゃないんだ。ツアー中は忙しいからね。次の会場へ移動、サウンド・チェック、準備って感じで、めまぐるしい。曲作りはLAに戻ったときやっていた。ツアーが始まるとひと月、曲作りはお預けって感じで、ツアー、曲作り、ツアー、曲作りの繰り返しだった。ひとつずつだ。複数のこと同時にできる人たちもいるけど、僕らはムリ(笑)。

――曲作りの過程を教えてください。

ショーン:いろんな場合があるけど、たいていはそれぞれが思いついたちょっとしたアイディアやコードを持ち寄って、リハーサル・ルームに入り、ジャムし始めるんだ。いいグルーヴが見つかるまでずっとプレイし続ける。ひとつのアイディアで1日中プレイしている。コードを加えたりして、曲の骨組みを作り、それに合わせて僕が歌詞を書く。

――アルバムの制作をスタートしたのはいつ?

マイク:2013年かな。最初に曲を作り始めたのは2013年7月だったと思う。レコーディングが終わったのが2014年10月。ツアーに出てることも多かったから、1年半くらいかかったね。

ショーン:思ったより短かったな。もっとかかったかと思っていた。

ジョー:最初の曲を作り始めたのは2012年7月だよ。だから、やっぱり長い時間かかっている(笑)。

――制作を始めたとき、どんなアルバムにしたいとか、テーマはありましたか?

ショーン:なかった。でも、作り終わったとき、どれもアップビートだとは思った。バラード作るの忘れたなって。1曲1曲にテーマがあり、アルバム全体ではなくそれぞれの曲を1つの世界って考えている。

――レコーディング中、なにか面白いできごとはありましたか?

ジョー:僕らよくレーザー・タグで遊んでたよ。

ショーン:だから、時間かかったんだ(笑)。

ボー:レーザー・タグとインド料理(笑)。

ショーン:やる気なくなると、スクリレックス聴きながら、レーザー・タグで遊んでいた。

ボー:で、冗談ばかり言っていた。

マイク:そう、ジェームス・ボンドの映画、1日中見てたこともあった(笑)。それに、食べてばっかり。だから、時間かかったんだ(笑)。

――もし、あなた達がレコード会社で働いていて『LOVETAP!』のキャッチコピーを考えるとしたら?

ショーン:うーん…

マイク:Get Ready For Your Ride Of Your Life!

ボー:ノンストップ・アクション!

ショーン:それじゃあ、映画だよ(笑)。

マイク:Make Love tap, Not War tap

――共感を覚えるアーティストは?

ジョー:この前、話していたんだけど、コールドプレイだね。彼ら、もうどれくらいやってるんだろ。永遠にいるように感じるけど、ずっと素晴らしい音楽を作り続けている。それってスゴイなって思う。

ボー:それに、ブランドン・フラワーズ。ザ・キラーズだね。

――ストリーミング・サービスについてどう考えてますか? 無料プランも多く、それってミュージシャン、とくにスタートしたばかりのミュージシャンには良くないと思うのですが…。

ショーン:僕は、僕らの音楽を聴いてもらう…、僕らのことを知ってもらうきっかけになるからいいと思う。よりたくさんの人に僕らの音楽が聴いてもらえる。

ボー:お金を稼ぐ方法は、レコード売るだけじゃないからね。

マイク:僕らの世代は、高校生のときNapsterなんかが出始めて、そのシステムに慣れてるっていうか……、ストリーミングがなくなることはないんだから、アーティストはそのテクノロジーを受け入れ、利用しなきゃいけないと思うんだ。日本に来て面白いなって思ったのは、ここにはまだタワー・レコードとかレコード・ショップがあるよね。いいなって思ったよ。アメリカにはもうないからね。CDはいずれなくなるんだと思うよ。

ショーン:僕ら10月にアメリカでツアーをやるんだけど、できるだけたくさんの人たちに来てもらいたいって思っているんだ。もし、僕らの音楽に高い値段をつけたら、買ってもらえないだろうし、僕らが存在することも知ってもらえないかもしれない。そしたら、コンサートにも来ない。最終的には、僕らの音楽に金を払ってもらいたいよ(笑)。一生懸命やってるんだから。でも、無料で聴いてもらい、ファンになってくれるほうがいい。そして、僕らのコンサートに来て、Tシャツを買ってくれるかもしれない。友達に僕らの音楽を紹介するかもしれない。

ボー:何度もコンサートに来てくれるかもしれないよ。5回とか6回とか…。

ショーン:そう、16回来た少年がいたよ。僕らがストリーミング・サービスから撤退してたら、彼は僕らのことを知る機会がなかったかもしれない。だから、僕らはいまのところ、ストリーミング・サービスには問題ないよ。

――この先の予定は?

ショーン:10月に北米でツアーをやって、12月に日本に戻ってくる。

マイク:新曲を作る。

――じゃあ、次はあまり待たなくてもいいんですね?

ショーン:そう、2年ってことはないよ、多分ね(笑)。

ジョー:そう願っている(笑)。

Ako Suzuki

<スモールプールズ来日公演>
2015年12月1日(火)
@渋谷duo musicexchange
OPEN 18:00/ START 19:00
TICKET/1F スタンディング¥5,500(税込)別途 1 ドリンク ※未就学児入場不可
一般プレイガイド発売日:9/5(土)
[問]クリエイティブマン 03-3499-6669
企画・制作・招聘:クリエイティブマン 協力:ソニーミュージックジャパン・インターナショナル

スモールプールズ『LOVETAP! ラヴタップ!』
1.American Love アメリカン・ラヴ
2.Killer Whales キラー・ホエールズ
3.Dreaming ドリーミング
4.Karaoke カラオケ
5.Street Fight ストリート・ファイト
6.Mason Jar メイソン・ジャー
7.Over & Over オーヴァー・アンド・オーヴァー
8.Lovetap! ラヴタップ!
9.What's That A Picture Of? ホワッツ・ザット・ア・ピクチャー・オブ?
10.Dyin' to Live ダイイン・トゥ・リヴ
11.Admission To Your Party アドミッション・トゥ・ユア・パーティー
12.9 to 5 ナイン・トゥ・ファイヴ
13.No Story Time ノー・ストーリー・タイム
14.(Submarine)(サブマリン)
15.ドリーミング(ザ・チェインスモーカーズ・リミックス)※ボーナス・トラック
16.ドリーミング(ライヴ・アコースティック)※ボーナス・トラック
17.カラオケ(カラオケ・ヴァージョン)※ボーナス・トラック
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス