【インタビュー】INORAN「LUNA SEAのツアーで受け取ったエナジーやかけがえのない瞬間を音に落とし込みたかった」

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INORANが10thフルアルバム『BEAUTIFUL NOW』を8月26日にリリースした。ツアーで受け取ったエネルギーや感謝の気持ち、かけがえのない素晴らしい瞬間を音にしたかったという本作は大地の力強さと風が吹き抜けていくような爽快感、躍動感を感じさせてくれる。ソロのアジアツアーで演奏していたhideの「ピンク スパイダー」のカヴァーや、K-POPアーティスト、BTOBをフィーチャリングしたナンバーも収録。INORANの尽きることのない好奇心と冒険心、さまざまな人たちとの出会い、混じり気のない音楽への深い愛情が“金字塔”と呼ぶのにふさわしいロックアルバムを完成させたのだと思う。

◆INORAN~画像~

■風や光を肌で感じて曲を作りたかった
■素晴らしい瞬間は儚くも美しい


──ソロ通算10枚目となるアルバム『BEAUTIFUL NOW』はINORANさんの充実した“今”が反映されている。いい波動が伝わってくる作品になりましたね。空や大地、風が感じられる作品でもあり、グルーヴがデカいというか。

INORAN:そうですね。「充実してる?」と問われたら答えはたぶん“YES”だと思います。というのも、10ヶ月にわたったLUNA SEAの25周年のツアーで、ものすごくたくさんの人にパワーをもらったんですよ。もちろん消耗することもあるけれど、それ以上のエナジーを受け取った分、力がみなぎっていて‥‥。そういうことを日々、音楽活動をしている中で感じているので、このアルバムは今、感じていることを音に落としこめたらいいなと思って作り始めたんですよね。


▲『BEAUTIFUL NOW』

──ソロも含め、長い期間、ライヴ活動をしてきた中でも今回のLUNA SEAのツアーは大きかったというか、いつも以上のパワーを得た感じなんでしょうか?

INORAN:ですね。14年ぶりの全国ツアーだったので、13年ぶりとか14年ぶりに行った場所もあったんだけど、今でもお客さんが待っていてくれた喜び、感謝は何度も感じたし、ソロでのアジアツアーではLUNA SEAで1度だけ訪れたバンコクにお客さんが集まってくれて、一緒に曲を歌ってくれたりとか、そういう経験はかけがえのないものでしたね。例えばLUNA SEAだったら5人が1人も欠けることなく存在していてステージに立てるから、今があるんだって感じる瞬間が何度もあったし‥‥真ちゃん(真矢)がドラムを叩いているのを横目で見ながら、誰かがいなかったらこの光景も時間もないんだなと思った。ふだんは当たり前だと思っていることに何度も喜びを感じたから、そういう感覚をアルバムのタイトルや音に落としこめたらいいなとは思っていました。

──だから、『BEAUTIFUL NOW』なんですね。ということはLUNA SEAのツアー中にアルバムのイメージが浮かんだ?

INORAN:漠然と、ですけどね。今みたいに語れるほど考えてはいなかったけれど、曲を作り始めたときにそういうことを感じたのは確か。

──それだけ気持ちも動いたというか、いい意味での揺れがあったんでしょうね。

INORAN:どうなんだろう。ただ、素晴らしい瞬間だったり、今この瞬間って意識していないと、こぼれ落ちていくものだと思うんですよ。すごく儚いものなんだけど、同時にそこには美しさがある。経験を積んで年を重ねていく中で、そういうことをもう1回、意識しながら進んでいくことの大切さをこの数年の活動の中でライヴや出会った人、すれ違った人に教えてもらったんだろうと思います。

──なるほど。ところで、このアルバムの曲作りをするためにアメリカに行ったということですが。

INORAN:作る環境によって、できる音って変わってくると思うんですよ。

──環境は大事だということですね。

INORAN:ですね。肌で感じるものってすごく大事だと思っていて、ライヴの熱もそうですけど、今、書きたいものに近い環境に行きたかったんですよね。さっき言ってくれた風だったり光であったり、匂いを感じたかったというか、そういうことに改めて目を向けて創りたかったんです。別に東京がイヤというわけではないんですけどね。

──タイトル曲の「BEAUTIFUL NOW」からして高揚感とスケール感が感じられる曲ですが「Awaking in myself」はメロディックで全てを包みこむような名曲だなって。今回のアルバムは広大な場所で音を鳴らしてみんなが歌っている光景が浮かぶ曲が多いですよね。ダイナミックだし、L.Aでレコーディングしているようなドライ気味の音に感じました。

INORAN:ちょっと理屈っぽい話に聞こえるかもしれないけど、作ってみて思ったのは、東京ってディレイというかエコー感がないんですよね。(手を叩いて)吸音されてしまうというか。でも、(海外に)行くと木霊というか、ポンポーンって響く感じがあるんですよ。ここは風は吹いてるけど、空気が流れていない感じがする。

──空気が止まっている感じですかね。

INORAN:うん。だから、例えばU2が東京で曲を作ったら、ああいうサウンド効果は出ないと思うんですよ。だからと言ってそれが悪いわけではなく、今回ははねかえしてくれるものが欲しかったんですよ。それが風であったり、太陽であったり、山であったりしたのかな。そういうものに自分自身を映したかったんですよね。

◆インタビュー(2)へ
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