【ライヴレポート】<COMMUNE>大阪開幕、MUCCやD'ERLANGER等5組の饗宴に「発狂しろよ!!」
1981年のスタート以降、44MAGNUMを筆頭にD'ERLANGERやL’Arc~en~Cielなど数多くのロックバンドを輩出してきた“ロックの殿堂”DANGER CRUEが2015年、大阪と東京で新たなイベント<COMMUNE>を始動させた。その大阪公演が8月29日(土)、なんばHATCHにて行われた。
◆<COMMUNE Vol.1>大阪公演 画像
イベントの指揮を執るのは、MUCCのミヤ。DANGER CRUEの母体であるMAVERCI DC GROUPに約15年所属する彼は、レーベルの“主義 -イズム-”を理解し、先輩バンドたちから受け継いできた“魂”を音やステージに注入、新しい扉を開こうと本イベントを企画した。第一弾となる同イベントの大阪公演にはMUCC、D'ERLANGER、ギルガメッシュ、DEZERT、摩天楼オペラの5組が出演することとなる。
これは、単なるV系イベントではない。単なるレーベルの先輩後輩による仲良しイベントでもない。<COMMUNE>とは“共同体”や”交わる”という意ではなく、“見ちゃいけないもの。入っちゃいけいないもの……でも中に入って見てみたい”と、どこか期待と不安を持たせる意味合いを持っているという。ここから何を始め、何を見せ、何を構築していくのか。伝説的な一夜になるかもしれない、イベント初日の大阪の模様をレポートしたい。
1番手のギルガメッシュのステージから<COMMUNE>はバンド同士の真剣勝負、そしてオーディエンスとの真っ向勝負なのだと痛感させられた。1曲目の「evolution」ではЯyo(Dr)と愁(B)が音圧を活かした重低音をこれでもかと放つ。
「ステージに立てば先輩後輩も関係ない! 今、この瞬間は誰にも邪魔されません! 今、出来ること、真実の音楽を100%叩きつけるのみ!」──左迅
ヴォーカルの左迅がイベントに懸ける思いをこう語った。「Go ahead」は凶暴なだけの音ではなく、しっかりと心に刺さる弐(G)の美しいメロが哀愁ある世界を表現。その後もコアな音楽を正面から臆することなくオーディエンスにぶつけ、ラスト「Break Down」まで一気に駆け進み、全9曲が終了した。
続く摩天楼オペラは、前出のギルガメッシュとは違った王道のV系ロックで会場を揺らしていく。「INDEPENDENT」では苑(Vo)のハイトーンな歌声や彩雨(Key)の艶のあるメロ、そこに悠(Dr)の重厚なリズムが重なり、絶妙なギャップがたまらなく心地よい。「Round & Round」はAnzi(G)が描く荘厳で華のある世界観に、燿(B)のヘヴィなリズムがハマる。全5曲を臆することなく先輩バンドに牙を向き、バンドの持つ多彩な楽曲センスで魅せてくれた。
DEZERTはイベントのテーマである“発狂”をそのままステージに持ってきたかのようなインパクト抜群のステージを見せてくれた。1曲目「『嘔吐』」から轟音ひしめくステージに千秋(Vo)の狂声が響き渡る。その後も鬱蒼とした歌詞の世界観や悲壮感漂う楽曲陣で攻め込んでいく。千秋の破天荒な狂気をキラ(G)、SaZ(B)、SORA(Dr)の3人が確かな音で後押しし、“ただの狂気”を“確かな狂気”へと変えていった。全7曲、一瞬も目を離せないステージングでオーディエンスを楽しませた。
D’ERLANGERはその唯一無二の存在感と確固たる演奏力を持って、後輩バンドたちを容赦なく叩き切る圧倒的なステージを見せてくれた。Tetsu(Dr)のハイハットの打音が響く中、「Dance naked,Under the moonlight」から始まったステージは、もはや身震いするほど美しかった。CIPHER(G)のキレのよいメロが印象的な「Singe et Insecte」ではSEELA(B)の軽快なリズムに、初めてD’ERLANGERを観るであろう若いオーディエンスも一緒になって体を揺らしている。
「日本で一番ポップなバンド。まだ知らない気持ちよさを教えてあげます。骨の髄までとろけてもらいましょう」──kyo
と「Skelton Queen」を披露。kyo(Vo)の妖艶な歌声に酔いしれている間にステージはあっという間に終了。次のMUCCのステージへ心地よいプレッシャーを与えていった。
イベント主謀者のミヤ率いるMUCCのステージはいつも以上に緊張感を感じるものだった。「睡蓮」から始まったライヴは初っ端から体にぶつかってくる音が違っていた。足元からビリビリと痺れるようなSATOち(Dr)のドラム、YUKKE(B)の体の中心を射るような力強いベースラインに体を揺さぶられる。あまりの音のデカさに体がもっていかれるようだ。それは、スピーカーから響く音がただデカいからというわけではない。その先にある、弾けるような気持ちよさをひしと感じるのだ。
達瑯(Vo)が叫ぶ「発狂しろよ!!」の言葉のあとに披露された「茫然自失」「遺書」。まさかのラインナップに会場からは悲鳴にも似た歓喜の声が響き渡った。ステージ後半、達瑯が出演者や観客らへ感謝の気持ち、そしてこのイベントにかける思いを語る。そして「蘭鋳」で昂ったテンションを暴発させるように豪快な音を鳴らすと、ラスト「TONIGHT」まで突き進み、全てのステージが終了した。
慣れ合いを嫌い、音楽に真摯に向き合いたいと始まったこのイベント。次は9月5日、東京・新木場Studio Coastでの開催が決定している。火花を飛ばし合い、その先に爆発する何かを求め、ひたすらに音を鳴らし続けることで<COMMUNE>はどんな姿に変わっていくのか。今後の動きにご注目を。
取材・文◎黒田奈保子 撮影◎小坂和義
■<COMMUNE Vol.1>
OPEN 15:30 START 16:30
出演:MUCC、D’ERLANGER、ギルガメッシュ、DEZERT、摩天楼オペラ
e+、ローソンチケット(0570-084-005/L:58779)
チケットぴあ(0570-02-9999/P:270-188)
CNプレイガイド(0570-08-9999)
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
2015年9月5日(土)新木場Studio Coast
OPEN 15:30 START 16:30
出演:MUCC、D’ERLANGER、ギルガメッシュ、DEZERT、NOCTURNAL BLOODLUST
e+、ローソンチケット(0570-084-005/L:77223)
チケットぴあ(0570-02-9999/P:270-228)
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
◆<COMMUNE Vol.1>オフィシャルサイト
◆MUCCオフィシャルサイト
◆D’ERLANGERオフィシャルサイト
◆ギルガメッシュオフィシャルサイト
◆DEZERTオフィシャルサイト
◆摩天楼オペラオフィシャルサイト
◆NOCTURNAL BLOODLUSTオフィシャルサイト
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