【インタビュー】Ken Yokoyama、アルバム完成「パンクロックが大人になったときに何を歌うべきか」

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■ロックを背負って立つ男とただのエロジジイが同居してるわけですよ
■ただ真面目なだけじゃないんです。あはははは(笑)!

──音楽的に新たな挑戦がありつつ、今作に関する活動でもいろいろ新しいことに挑戦していますよね。例えばCDが売れずストリーミングサービスがどんどん増えて、音楽の聴かれ方が変わってきている今のタイミングに、8年ぶりのシングル「I Won't Turn Off My Radio」をリリースしたというのも1つの挑戦です。そして『ミュージックステーション』という地上波の音楽番組に出演するという新たな試みもありました。これまでの健さんの活動の中でもかなり攻めてる印象が強いんですが、そういうことにトライしようというきっかけが何かあったんでしょうか?

横山:シングルに関してはコラムに書いたことと重複してしまって恐縮なんですが、「そういえば最近(シングルを)作ってないよね?」って話になって、「なんで作ってない? それはもうロックバンドにとって意味のないものだから」というところに着地したんですよ。でも「意味ないんだったらやってみようよ、面白いじゃんか!」と。確かにそこもチャレンジなんですよね。で、アルバムが完成して、どういう気持ちを持ってこのアルバムを広げていこうかと考えたときに、なんていうか……そういやここ何年もロックがちっちゃくなってるなと。例えばオリコンチャートを見ても、大半がアニメソング、女性アイドルで、ジャニーズで占められている。それに対して嘆かわしいって言うのは簡単だけど、俺はその土俵に上がろうとしたことないよなって、ちょっと思ったんですね。勝ち目がないから悪態ついてるだけじゃんかって。言うのは簡単だけど、まずはやってみようと、この段階で思ったんです。

──なるほど。ちょっと面白かったのが、健さんが「I Won't Turn Off My Radio」をリリースした前後って、BRAHMANの「其限」やMONOEYESの「My Instant Song E.P.」がそれぞれトップ10入りを果たしたタイミングだったんですよ。

横山:なんとなくみんな、同じことを考えていたのかもしれないですよね。

──偶然タイミングが重なったと。では『Mステ』についてはどうですか?

横山:まず、自分から出たいと思ったんです。日本って狭いようですごく広くて、いろんな環境の人がいるんですね。パソコンで全部検索する人もいれば、パソコンを持ってなくてテレビでしか情報を得られない人もたくさんいる。皮肉なことに、インターネットが普及すればするほど、テレビや雑誌っていうのは選ばれた人のメディアになっていってるんですよ。ネットってみんな、自分から発信できるじゃないですか。そこが手軽になったぶん、逆にテレビ、ラジオ、雑誌に出演するハードルが上がってると思うんです。だからそこをしっかり意識して、気持ちを持ってやればきっと新しい人に届くんじゃないかと思ったんですね。で、出させてもらうんだったら、日本の音楽番組でNo.1の『Mステ』だと。日本の、一番ウケてる人たちが出ているわけですから、そこに出させてもらわないと意味がないだろうと。そこでたまたま一緒になったのが三代目 J Soul BrothersやNMB48という、今をときめく人たちだった。じゃあその中で自分にロックを代表するつもりがないと、自分のセールスのためだけに出るわけじゃなくそこを背負わないと意味ないなと。 そう思ってやりました……「そう思ってやりました」って言うと、ちょっと万引きしたみたいですけどね(笑)。

──まるで自供してるみたいじゃないですか(笑)。

横山:はははは。ちょっと憮然とした表情で「そう思ってやりました」って(笑)。

──でも実際、本当にバズりましたよね。

横山:そうなんです。こういう気持ちを持って、こういうふうな出方をするよってことはメンバー内でもよく話したし、JunちゃんもTwitterで発信してくれたし。若手から「やらかしてくださいよ」って言われたけど、「やらかせるわけねえじゃねえか! お前らのためにやるんだから、後につなげるためにやるんだから!」ってJunちゃんなりに発信してくれたんです。で、出演してみて、観てくれた人がそういったストーリーを意外と汲んでくれたんだなって気がしました。自分でも録画したのを観てたんですよ。パフォーマンスの出来は決して褒められたものではなかったですけど、観た人たちは僕の表情だったり、どういう気持ちを持ってあそこに出たのかをちゃんと汲んでくれて、それがバズを引き起こしたというか。だからうれしかったですね。ただ、あまりにも善玉になりすぎちゃって、居心地が悪い自分もいましたけど(笑)。

──実際ネットでも『Mステ』出演の一連の流れがまとめられていたし、それを観て健さんのことを改めて知った人もいるわけで、大きな爪痕を残せたんじゃないでしょうか。この出演をきっかけに新しいつながりもできたと思いますし。先日もNMB48の山本彩さんと雑誌で対談したんですよね?

横山:そうなんです(笑)。あれについては……僕、正直言いまして、NMB48のメンバーを2人ぐらいしか知らなくて、その中で知ってるのが山本彩ちゃんだったんです。で、『Mステ』のときに、「ドリアン少年」でセンターで歌ってる須藤凛々花ちゃんって子が先頭になって楽屋まで挨拶に来てくれて、「うちのリーダー(=山本彩)が実はすごくギターを弾いていて」って言っていて。僕、その情報を知らなかったんで、“へーっ、そうなんだ”と思って、どの程度のものなんだろうと「山本彩 ギター」でweb検索してみたんですね。そうしたら結構な情報が出てきて、“この人、ガチでロックが好きなんだな”と初めて知ったんです。そこで、本当に一瞬だけできたご縁だけど、あの人をギター雑誌に出したら絶対に面白いと思ってオファーしたら、それを快諾してくれて。うれしかったですね。うれしかったし、可愛かったです(笑)。

──ははは。

横山:もう、ロックを背負って立つ男とただのエロジジイが同居してるわけですよ(笑)。ただ真面目なだけじゃないんです。あはははは(笑)。

──その言葉を聞いて、なんだかホッとしました(笑)。

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