SURVIVEのサウンドが、タフ＆ストロングなワケ

日本が誇るべきヘヴィ・メタル・バンド、SURVIVE。彼らの、実に約7年ぶりとなるニュー・アルバム『HUMAN MISERY』がこの9月30日に発売を迎える。NEMO（Vo、G）を中心にこのバンドが結成されたのは、1998年のこと。さまざまな紆余曲折を経ながら、2012年にはイタリアのエージェントと直接契約し、以降はBEHEMOTHやKREATOR、OVERKILLといった強豪バンドたちと共にロシア及び欧州各国のサーキットを重ねるのみならず、現地の大型フェスなどへの出演も果たしてきた。そうした国外での活動に踏み切った理由について改めてNEMOに話を聞くと、彼は「ちょっと答えが長くなりますけど、いいですか？」と前置きをしながら、次のように回答していた。

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「根底に、現状に対する不満と憤りがあったのは間違いありません。俺はずっと、タフでストロングなヘヴィ・メタルに憧れてやってきたんですけど、激しければそれでいいというわけじゃないし、ラウドなロックがもてはやされるなかで、そこに疑問があったんです。メタルなりの様式美とか格式といったものってあるじゃないですか。もちろんそれに縛られるのは好きじゃないけど、俺は歴史や文化も踏まえたうえでやりたいし、受け継ぐべきものは受け継いでいきたいんですね。ただ、欧米のシーンを見渡してみると、古い世代から新しい世代へと脈々と受け継がれているものがあるのに、それこそ日本のメタル・シーンの場合、OUTRAGEやUNITEDの下の世代が途切れてしまってると思うんです。強引な喩えですけど、彼らが日本におけるMETALLICAやSLAYERのような世代だとすれば、それを追うべきMACHINE HEADとかLAMB OF GODにあたるような存在が見当たらない。長く続いているバンドがいたとしても、たまたま幸運にも続けられている、ということが多いと思うんです」

NEMOの言葉は、さらに続く。

「もちろん若くて勢いのあるメタル・バンドが出てきたと聞けば嬉しいけど、実際に観てみると、むしろ突然変異だとしか思えないような感じだったり。もちろん突然変異でもいいんだけど、やっぱりちゃんと系譜というか、文化的な繋がりをそこに感じたい、というのがあって。要するに流行り廃りじゃなくて、メタルが文化として定着することを望んでるというか。だから自分たちだけがどうにかなることを求めてるわけじゃないんです。ひとつのバンドで勝てるんだったら、誰でもそれをやりたいはず。だけどもう何年も前から、ものすごく小さなコミュニティのなかでだけ盛り上がってるというのが、どんなジャンルについても多い気がして。日本がずっとそういう状況にあるのを感じてたから、もう外国行っちゃおうかな、という発想になったわけなんです」

こんな熱っぽい発言が裏付けている通り、SURVIVEの音楽は実にタフ＆ストロングで、しかも正統的なヘヴィ・メタルの歴史を背景に感じられるものだ。この最新作、『HUMAN MISERY』には、それが過去最高といえる説得力を持ちながら凝縮されている。NEMOのヴォーカリストとしての力量にも従来の作品を大幅に凌ぐものがあり、ここ数年の海外活動での収穫の大きさが感じられる。さまざまな嗜好のヘヴィ・メタル・ファンがいるなか、たとえば洋楽しか聴かないリスナー、キャリアの長いバンドには興味が持ちにくいといった人たちもいることだろう。が、是非、この『HUMAN MISERY』に一度、耳を傾けてみて欲しい。

このアルバムは、彼ら自身が新たに設立した自主レーベルREBEL RECORDINGSから発売（販売はDISK UNION）されることになる。また、そのリリースを翌週に控えた9月23日、SURVIVEの主宰による＜REBEL-NATION VOL.10＞と銘打たれたライヴが、東京は新宿のWild Side Tokyoで開催される。彼ら以外にも強力な顔ぶれが登場するこのイベントだが、嬉しいことに公演当日には会場内の物販ブースにて、『HUMAN MISERY』の先行販売が実施されるとのこと。極上の爆音にまみれながら、新作を1週間も早く手に入れられるチャンスだ。もちろんSURVIVEはこの先にも精力的なライヴ活動を続けていくことになるはずだが、まずはこの機会に、彼らの“今”に触れてみて欲しい。

メンバー：左からSHINJILOW（B）、GAKU（G）、NEMO（Vo、G）、SHINTAROU（Dr）

増田勇一




◆SURVIVEオフィシャルサイト