【ライブレポート】→Pia-no-jaC←、アイコンタクトによる圧巻のケミストリー

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→Pia-no-jaC←のスペシャルイベント<ONE NIGHT STRINGS>が、2015年9月19日、東京/豊洲PITにて開催された。この日は男性8人からなるストリングスチームとのセッション公演だ。ロック、ジャズ、フュージョン、クラシックなどあらゆる音楽を飲み込みオリジナリティー溢れる表現を続ける→Pia-no-jaC←にとって、全編通してストリングスが参加するという初のスタイルで、贅沢すぎる音楽を存分に味わう一夜となった。

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ストリングスの壮大なイントロダクションと満員のオーディエンスのハンドクラップに迎えられ、→Pia-no-jaC←のふたりが奏で始めたオープニングナンバーは「交響曲第9番ニ短調作品125『合唱』第4楽章」。お馴染みのメロディーがポップにアレンジされた→Pia-no-jaC←版“第9”にストリングスの重厚さが加わり、音の迫力に早くも観客からは大きな歓声が上がる。大きくなるクラップに応えるように始まった2曲目は「美しく青きドナウ」。心地よいスウィングジャズ風のアレンジで、観客たちの身体も揺れだす。



「テンション上がってすみません!“ONE NIGHT STRINGS”と聞いて、大人しいノリを想像していませんか?こんなノリで最後までやっていきますんで!」というHIRO(カホン)の言葉に客席からは大きな歓声が上がる。始まった時から感じていたが、今日のオーディエンスはいつもよりもさらに熱い。→Pia-no-jaC←とストリングスのセッションというこの特別な日を、観客たちも待ちわびていたのだ。「普段2人でしょ?オレもすごい楽しい!最高に楽しんでいってください!」と、HAYATO(ピアノ)からも笑顔がこぼれる。

ステージが青く照らされ、ストリングスの地を這うような重低音がキックして代表曲「台風」へ。圧巻のセッションから一転し、HAYATOのピアノが作り出す静謐な世界へ、そしてまたヴァイオリンが音の洪水に導いていくという、音楽がカラフルに変わっていくステージに魅せられる。その後の「熊蜂の飛行」では、ストリングスチームが蜂の飛ぶ音をイメージして弦を震わせるという遊びで耳を奪う。



ライブ中盤ではHAYATOの繊細なピアノが美しい「夜桜~yozakura~」で春の夜にオーディエンスをトリップさせ、チェロのソロから始まる「花音-カノン-」では打って変わって、花の蕾が開くような暖かいメロディーで会場を包んでいく。ステージに情景を描くような壮大なストリングスのセッションは、胸を打つものがあった。


さらにHIROと吉田翔平(1stヴァイオリン)のセッション「眞」、HAYATOとロビン・デュプイ(チェロ)のセッション「Destruction's a moll Op.1,NO.38」、→Pia-no-jaC←と吉田のセッション「アイネクライネ」と、単なるストリングスセッションのメソッドに乗っ取らない音楽の実験を次々体験し、会場はボルテージが上がっていく。もちろん→Pia-no-jaC←らしい遊び心も忘れていない。HIROがホイッスルで再びステージに呼び込んだのは、全員うさぎの耳をつけたストリングスチームだった。披露されたのはもちろん「うさぎDASH」だが、演奏中もメンバー全員がいっせいに顔の向きを変えたり、身体を倒したりと、コミカルな演出でオーディエンスを楽しませる。




そしてライブは怒濤の終盤へ。この日一番の圧巻は畳み掛けるようなイントロで会場の温度を一気に上げた「METOROPOLIS」だった。ストリングスが近未来的なクールさを引き立たせ、大きな音の波がオーディエンスを飲み込んでいく。ラストナンバーの「JACK」ではHIROが切れ味鋭いソロプレイを見せ、HAYATOの3Dピアノも登場。ストリングスメンバーも本当に楽しそうに身体を揺らしながら大熱演し、13曲の本編が終了した。




鳴り止まないアンコールに応え→Pia-no-jaC←の2人が再びステージに登場。ニューアルバム『BLOOD』のリリースと、リリースツアーの開催決定が2人からアナウンスされると、会場からは割れんばかりの大歓声が沸き起こった。新曲を期待するオーディエンスからの声に応え、ニューアルバム収録の新曲「TASOGARE」が披露された。幻想的でドラマティックな中にケルト音楽の要素を取り込んだ大作だった。その後、HIROがこの日のストリングスメンバーを紹介した。

メンバー
1stヴァイオリン
吉田翔平
日高隼人
2ndヴァイオリン
ビルマン聡平
白須今
ヴィオラ
館泉礼一
櫻井雅彦
チェロ
ロビン・デュプイ
村中俊之



「もう少し、僕たちここで音楽をやっていてもいいですか?」というHIROの声に続き、披露されたのは「ジムノペディ 第1番」。生ストリングスが入ったらさぞ美しくなるだろうと期待していた一曲だが、そのマジックは想像以上だった。鳥肌が立つような緊張感の中、荘厳なストリングスに背中を押されるように、熱を帯びていく→Pia-no-jaC←2人のパフォーマンス。轟音が空高く伸びていくような、特別な時間だった。

「今日は本当にありがとう!楽しかった!」と、最後に披露されたのは「PEACE」。ステージの誰もが自由に音楽を楽しんでいる様は、見ているこちらが自然に笑顔になってしまうほどだ。幸福感に満ちたオーディエンスからタイトル通りピースの花が咲き、スペシャルな夜は幕を閉じた。




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ライブ終了後、まだ興奮覚めやらぬ様子の→Pia-no-jaC←に、この日の感想を聞いてみた。

──今日は初のフルセッションということで、大きなチャレンジだったと思います。今日のステージはいかがでしたか?

HIRO:大きなチャレンジではあったんですけど、それを感じさせないくらいすっと馴染むチームでした。何が良かったって、ストリングスのメンバーがみんな男子だったことですね。まるで男子校のように楽しんでセッションできたことが一番楽しくて。

HAYATO:すぐ仲良くなれて、みんなで“ここはどうする?”って相談しながら作れたんです。普段は2人だけでアイコンタクトしながらやってるんですけど、今日はこの人数でお互いの音を聞き合う作業をかなり集中してできたし、セッションの楽しさがたくさんありました。またピアノの鍵盤へこませちゃったけど(笑)、弾く力が強過ぎて。ちらってみんなを見たら、みんな苦笑いしてましたね(笑)。

HIRO・なんかそういう時も頼もしかったよね。普段だったらそういう時もオレ一人でカバーするんだけど、今日はみんながいて、いろいろ支えてもらって嬉しかったです。

HAYATO:息合わせというか、お互いのテンポ感をどう合わせていったらいいのかというのは、最後までリハーサルでも苦労したところではあったんですけど、本番ではもうバッチリ…というか、一番いい出来(笑)。

HIRO:本番が最高でしたね!

──これから12月の新作リリース、さらに来年のツアーに向けてはいかがですか?

HIRO:ライブがたくさん決まっているんですけど、今日新しい発見がたくさんあったので、それを2人でのライブに活かしていきたいですね。来年のツアーも楽しく、熱いものにしていきたいなと思います!

HAYATO:国内、国外でたくさんライブがあるので、そこで出来たばかりの新曲たちを育てて、ツアーでまたその育った新曲たちを届けられたらなあと思っています・

さらにこの日のストリングスチームのリーダー、吉田翔平(1stヴァイオリン)にも話を聞くことができた。

──本日のライブを終えられて、率直なお気持ちを聞かせてください。

吉田翔平:初めて→Pia-no-jaC←を観たのが渋谷公会堂の公演だったんですけど、どう入っていけばいいのか…ちょっと不安だったんです。→Pia-no-jaC←はとても自由なところに魅力があるんですが、ストリングスというのはその正反対にあって。でもリハーサルに入ったらその心配もどこ吹く風というか、わりとすんなり行けて。今はすごくほっとしてます(笑)。

──→Pia-no-jaC←のメンバーは、まるで男子校のようだったと言っていました。

吉田翔平:そう!(笑)。弦メンバーは全て男性で行きたいというお話をいただいて、最高のメンバーが揃ったので。弦楽器は女性がわりと多いんで、男だけって珍しいんですけど、すごく楽しかったんです。

──逆に難しかったところは、どのようなところでしょうか?

吉田翔平:ストリングスのアレンジしていく中で、→Pia-no-jaC←の2人のことを縛りたくなかったんです。いつもやっているように、解放された上でやってほしかったので。決まっていない尺やコード感の中で弦がどう入っていくか、っていう。そうするとアイコンタクトをしてもらって、雰囲気を読んでいく中で作業をする、という形になって。でも大変でもあり、それが一番面白い部分でもありました。彼らの演奏で伝えたいことっていうのが僕らにもバシバシ伝わってきて、やりがいがありましたね。

──彼らのメッセージを受けつつ、それをまた打ち返してという。

吉田翔平:そうそう、本当にそんな感じ。そういう意味でもセッションしていましたね。彼らとまた是非、新しいことを一緒にやりたいです。

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総勢10人でのケミストリーで、インストゥルメンタルミュージックの新しい魅力を存分に見せてくれたこの日の→Pia-no-jaC←<ONE NIGHT STRINGS>。遊び心溢れた音楽の実験はオーディエンスだけではなく、→Pia-no-jaC←の2人にも大きな刺激となったようだ。新作、そしてリリースツアーと、→Pia-no-jaC←の音楽の可能性を広げる旅は続いていく。

取材・文:岡野里衣子
撮影:中島たくみ

→Pia-no-jaC←13th ALBUM『BLOOD』

2015年12月9日(水)発売
【通常盤】 XQIJ-1011 / 1944円(税抜) ※CD only
【初回限定盤】 XQIJ-91010 / 2407円(税抜) ※CD+DVD
DVD:PV「TASOGARE」+PVメイキング映像
ボーナストラック:台風 Extreme Session in Santhia
【ヴィレッジヴァンガード限定盤】XQIJ-91011 / 2407円(税抜) ※CD+DVD
DVD:Close Up →PJ←「TASOGARE」
「TASOGARE」譜面ダウンロードシリアルナンバー付き
1.TASOGARE
2.FILMS
3.Binary Star
4.Nostalgia
5.Tears
6.BLUE BLOOD BOOGIE
7.Sicilia di mare aperto

<→Pia-no-jaC← "BLOOD" TOUR 2016>

1/11(月祝)神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館ホール
1/15(金)三重・Live Music M'AXA
1/16(土)静岡・Live House 浜松窓枠
1/17(日)岐阜・岐阜club-G
1/23(土)富山・富山MAIRO
1/24(日)福井・福井響のホール
1/29(金)静岡・富士市文化会館ロゼシアター 中ホール
1/30(土)京都・京都磔磔
1/31(金)兵庫・THE LIVE HOUSE CHICKEN GEORGE
2/6(土)千葉・浦安市文化会館 小ホール
2/7(日)埼玉・三郷市文化会館 小ホール
2/11(木祝)石川・金沢EIGHT HALL
2/13(土)愛媛・松山サロンキティ
2/14(日)香川・高松オリーブホール
2/20(土)宮城・仙台Rensa
2/21(日)新潟・新潟LOTS
2/24(水)岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2/26(金)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2/27(土)大分・大分DRUM Be-0
2/28(日)福岡・Zepp Fukuoka
3/5(土)北海道・Zepp Sapporo
3/12(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
3/13(日)大阪・なんばHatch
3/19(土)群馬・桐生市立中央公民館 市民ホール
3/21(月祝)東京・中野サンプラザ
→Pia-no-jaC← FC先行受付:2015年9月19日(土)~9月27日(日) までCNプレイガイドにて(抽選)
チケット一般発売:2015年11月7日(土)~

◆→Pia-no-jaC←オフィシャルサイト
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