デビュー30周年イヤーのクライマックスとして、オリジナル・アルバム『PROGRESS』をリリースするSHOW-YA。この1年で既にカバー・アルバムを2枚リリースしただけでなく、リリース・ツアー、主催イベント<NAONのYAON>を4月と8月に開催、さらに目黒鹿鳴館でのメモリアル・ライヴ2Daysと、まさに限界を越えるべく走り続ける彼女たち。オリジナル・メンバーで30周年を迎えたハードロック・ガールズ・バンドとして世界的にも稀有な存在であるSHOW-YAの歴史と現在が凝縮されていると共に、さらに進化したこのアルバムについてヴォーカルの寺田恵子に話を訊いた。

◆SHOW-YA~画像~

■今のSHOW-YAにできることだけじゃなく進化したいという思いもあった
■30周年で1年間に3枚のアルバムを作ったわけだから。1年で3枚ってありえないから(笑)


──『PROGRESS』は30周年という歴史を感じさせながらも、すごく攻めているアルバムですね。

寺田:ありがとうございます。攻めていますよ(笑)。

──完成した今のお気持ちを訊かせてください。

寺田:大変だった。2012年の『GENUINE DIAMOND』も22年ぶりのオリジナル・アルバムということで、みんながすごい期待をしてくれていたと思うのね。そのときもすごい大変だなと思ったんだけど、今回は30周年という部分とか、ここ何年か「今でも私たちは進化してるよ、チャレンジャーだ! なめんなよ」とか言い続けていて、その分期待値はだいぶ上がっていると思うんだよね。だから今のSHOW-YAにできることだけじゃなく進化したいという思いもあって、そこら辺をどう織り交ぜて行くかということを考えたり。あとは本当に時間がない中で作っていて。30周年で1年間に3枚のアルバムを作ったわけだから。1年で3枚ってありえないから(笑)。

──そうですよね(笑)。ましてカバー・アルバムにしてもSHOW-YAなりのアレンジを施した作品でしたから、実質オリジナル・アルバムを3枚作っているようなものじゃないですか?

寺田:そうですね。その間にアルバム制作だけじゃなくて自分たちのライヴをやり、<NAONのYAON>も4月と8月にやったからその準備もあって。色んなものがある中でオリジナルを作るというのは、頭の切り替えも含めて大変だったかな。詞の世界とかも含めてね。


──具体的にはいつ頃から曲が決まって行ったのでしょうか。

寺田:今回のアルバム用にというよりは、思い立ったときや作りたいときに曲を作っているので、そういう意味ではこのアルバム用にということで作ってはいないんです。ただ、アルバムに入れる楽曲というのは、今のSHOW-YAを表すのにどの曲が良いかなとか、ミーティングをしながら決めました。やっぱりSHOW-YAだと速い曲だよねとか、速いだけじゃなくて、ヘヴィメタル・バンドというよりはハードロック・バンドとして知って欲しいなという部分もあるから、バランスを考えて。ただ、「Always On Your Side」は今回のアルバムに入れたいと思って作っていた曲です。

──「Always On Your Side」の作詞は寺田さんとEARTHSHAKERのマーシーさん(西田昌史)の共作となっていますが、どのような形で作られたんですか?

寺田:まず、私は歌詞を書かない人なんですよ。『Outerlimits』くらいまでは書いてるんですけど、自分の言葉で書いてしまうと、ちょっと嘘をついてしまったり良く見せたりしてしまうので、詞を書くのをやめて。25歳くらいからは日記とか曲に対する想いを走り書きにしたものを作詞家の人に渡して書いてもらったりしていたんです。今回マーシーにお願いしようと思ったのは、同じ時代を一緒に生きてきたというのもあって。ダンス・ミュージックが流行った頃というのは、ハードロックはすごく生きにくい業界だったりしたんですけど、それでも諦めずに続けていたりとか。それとこの曲に関して言えば、今震災や自然災害もあってみんながうちひしがれている状況が多い。その中で夢を追いかけ続ける大変さを自分たちもよく知っているし。でも前を向いて生きるためには、1人でどうにか頑張ろうと思っても誰かがそばにいてくれたり、心に支えがないと頑張り切れないと思うんだよね。そういう意味で私は誰かの支えになりたいという想いを書きたかった。やっぱりライヴをやっていても「SHOW-YAのライヴに来ると元気になる」と言われると、自分の歌がほんの少しでも支えになっているんだと思うし、「私はいつでもあなたの味方でいるから、どうぞ自由に羽ばたいて」という想いを込めて書かせてもらいました。私は歌詞の名義はマーシーでも良いと思ったんですけど、マーシーが「いや、これはおまえのメモで作っているからおまえだよ」って言ってきたので、じゃあ連名にしましょう、ということで共作になりました。

──新録の「限界LOVERS 2015」が1曲目ですが、代表曲を改めて録るのは勇気がいるのではないですか?

寺田:そう、勇気がいるよね。もとの「限界LOVERS」(1989年)もパワーもスピード感もあって良いんだけど、今のSHOW-YAはもっとヘヴィになっているし、昔と今のSHOW-YAは全然違うものだから、今のSHOW-YAを残したいというのもあったんです。そのままやっても良かったんだけど、どうせ入れるならアレンジしようということになって、3パターンくらいアレンジを(プロデューサー・編曲の笹路正徳に)し直してもらって。色んなパターンをやって良いとこ取りした感じですね。

──ライヴでやっているアレンジとも違うわけですか。

寺田:違います、まったく新たに。だから頭がコンフューズ(混乱)しています(笑)。

──スペシャルトラックとして安室奈美恵さんとのコラボでも「限界LOVERS」が収録されています。意外な組み合わせに思えますが、なぜ安室さんだったのでしょうか。

寺田:25年位前に某テレビ番組で安室ちゃんの好きな曲として「限界LOVERS」を選んでくれて、私がご本人登場で歌いに行ったことがあるんですよ。そういうこともあって、今回はアレンジしたバージョンはSHOW-YAだけで、昔と同じバージョンでも残したいなと思って。じゃあせっかくだからコラボしたいねという話になって。ダメもとで安室ちゃんにオファーしてみたんです。そうしたら彼女もその当時のことを覚えてくれていて、ツアー中で忙しい中「ぜひやらせてください」って言ってくれたんです。「何回も歌ってるんでどんな状況でも歌えますよ」って。


──見事に歌いこなしている印象で、堂に入ってますよね。

寺田:普段彼女がやっている音楽とは全然違うサウンドで歌い方も違うから、どういう風に歌ってくれるんだろうって思ったんですけど、やっぱり昔いっぱい歌ってくれてたんだなって思うくらいで。私が(カルメン・)マキさんの曲を歌うときに当時の歌い方がどうしても出て来るのと同じように、安室ちゃんも今回「限界LOVERS」を歌ってた頃の安室ちゃんになってたのかなって。すごく嬉しかったです。私はジャンル違いでも己に常にチャレンジしていて戦い続けている人が好きなんですけど、安室ちゃんも色んな人生があって、その中で常に凛としている彼女の強さというのが好きだったのでオファーしたというのもあります。

──「限界LOVERS」の“限界まで諦めない”という歌詞はバンドの姿勢そのものだと思うのですが、寺田さんがこの曲を歌う時はどんな気持ちを込めて歌っているのでしょうか?

寺田:昔は本当に、“限界まで諦めない”という気持ちで歌っていたんだけど、今は限界を越えても諦めないっていう思いで歌ってる(笑)。この曲は限界を越えたところでやらないとファンも納得しないだろうし。自分たちも正直しんどいんだけど(笑)。首を振ったりとか身体だってダメージがあるし。でもこの曲のおかげで今の私たちがあるわけだし、今のSHOW-YAの強さというのは何ごとにもチャレンジして真っ向からぶつかって戦う姿勢がファンの子が支持してくれているところだと思うんです。だから“あのときの自分”にまだ戦いを挑んでいる気持ちで歌ってます。「26歳の寺田恵子!?ふざけんじゃねえよ小娘!」って気持ちで歌っているから(笑)。

──「Rock Love」は28年振りに秋元康さんが作詞していますが、どんな経緯で実現したのでしょうか。

寺田:もともとこの曲は30歳代くらいのときに書いた曲で、詞もあったんです。SHOW-YAではない別のユニットで歌っていた曲なんだけど、良い曲だからって今回<NAONのYAON>のテーマ曲にしようとみんなが選んでくれたときに、自分で書いた詞はやめて秋元さんに詞を書いてほしいと思って。どうして秋元さんかというと、28年前に秋元さんに詞を書いてもらったときに、最初に書いてもらった「その後で殺したい」があまりにも衝撃的な詞で。その頃はまだ自分で詞を書いていたので、そういう発想というのは詞の中になかったし、女性の部分をなるべく隠して詞を書いていたんだけど、だから「その後で殺したい」の詞が来たときに拒絶反応があって、1回「こういう詞は歌えないです」って返したことがあるんですよ(笑)。それで話し合いをして、「食わず嫌い的なことを言わずに1回で良いから歌ってみてよ」ということになって歌ったら、意外とそれが良くてハマったんです。そういういきさつもあって「Rock Love」に関しては秋元さんとやりたいなと思ってオファーをしたら引き受けて頂いて。はじめは先入観なしで曲を聴いた印象で書いてもらったんだけど、それが私個人の詞の内容だったので、「この曲は女の子の夢とパワーとエネルギーを感じるような詞にしてほしい」って書きなおしてもらったんです。

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