【インタビュー】TSUTCHIE、TVアニメ『GANGSTA.』のOST『SIGNS』で表現した色、匂い、体温と音楽の関わり

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▲TVアニメ『GANGSTA.』オリジナルサウンドトラック『SIGNS』

■自分の中でまずErgastulum(エルガストルム)という街をイメージした音を作りたくて
■この曲「Ergastulum」から始まって他の曲が出来上がっていった感じでした


──作品ありきでイメージに合わせた曲を作らないといけないのは大変そうですね。

TSUTCHIE:そうですね。「このシーンにこういう感じの曲を」というリストをいただくんです。他の作品はわからないですけど、『GANGSTA.』の劇伴に関して言うと、ステム(ドラム、ベース等のパートごとのトラック)の状態で渡してくださいと言われていたので。だから劇中で流れているものが必ずしも全部が鳴っているものではないんですよ。作品の中でもシーンに対して使う部分とかは多少エディットされているので、ガッチリ全部聴けるのはこのサントラになりますね。

──「Marauder」等で聴けるドラムは生ドラムの音なんですか?

TSUTCHIE:生ドラムのサンプルを組み直したものですね。基本は素材をすべて僕の方で組み直しています。どうしてもHIP HOPのトラックを作るとなると、もう少し一音一音がタイトな方に行くんですが、考えて少し生の要素も入れたいなと思いましたね。

──1曲目の「Ergastulum」はこのサントラのメインテーマ的な曲と考えて良いでしょうか?

TSUTCHIE:映画音楽とかだとテーマがあってそれを何バージョンも作るという広げ方もあります。実際そういう案もあったんです。メインテーマと違うバージョンとかを作るという。そういうお話をしているときに、自分の中でまずErgastulum(エルガストルム)という街をイメージした音をとにかく作りたくて。この世界がどういう世界なのかという、街の世界観を1つ出したいなと思ったんです。だからこの曲(「Ergastulum」)始まりで他の曲が出来上がっていった感じでした。メインテーマというわけでもないんですけど、僕の中でErgastulumという街の世界観を表す音として作った曲が「Ergastulum」ですね。


▲(C)コースケ/新潮社・GANGSTA.製作委員会

──サントラの一貫したテーマとして、マフィアや売春婦、便利屋等の人間たちが蠢いている街の姿がちりばめられているわけですね。

TSUTCHIE:そうですね。街の色はどうなんだろうとか街の匂いはどうなんだろうとか。そういったものを何かしら音とリンクできないかな、ということはずっと思って作っていました。

──タイトルの『SIGNS』にはどういう意味が込められているのでしょうか。

TSUTCHIE:この作品の中のキャラクターが手話を使うということもあって、普通に「サインランゲージ(手話)」という言葉が浮かんでいたんですけど、やっぱりサインという言葉自体が、手話に限らず何かしらを示すものだし、このサントラに入っているすべてが作品を示すものなので、『SIGNS』というタイトルが良いんじゃないかなって。

──TSUTCHIEさんご自身が思い入れのあるシーンや曲があれば教えてもらえますか?

TSUTCHIE:Disc2の1曲目「Rain」というピアノの曲なんですけど、僕はピアノの曲が好きなので何かそういう曲を作りたいなと思っていたんですよ。これが雨の中で使われているシーンがあって、それを観たときには僕の中でもグッと来るものがありましたね。

──「It's No Use」もピアノソロの曲ですけど、ピアノを使うときには女性をイメージした曲の場合が多いんですか?

TSUTCHIE:いや、必ずしもそうではないです。基本的に僕は、ギターもそうなんですけど、その楽器単体で演奏している音が好きで。それぞれの楽器にはそれぞれの良さがあると思うんですけど、響きでグッとくる要素が自分の中で大きいというか。自分は楽器はほぼ弾けないんですが、楽器に対しての憧れというか。ピアノに関してもプレイヤーの方に弾いてもらっていますし、自分が弾けないですから憧れまくりですよ(笑)。もし自分が弾けるんだったら、みたいな部分でこういうのを作りたいというのがあるんです。

──アニメのキャラクターについてはお気に入りはいますか?

TSUTCHIE:原作と違ってアニメの最終話がどうやって終わるのかが今の時点ではわからないんです。現状はコミックで出ている7巻の最後も物凄いことになって終わっているんです。1巻から読み直して7巻の最後まで読み終わった最後のシーンでバーッと体温が上がったような感じで「ヤバいぞこの漫画!」っていうのがあって。だからお気に入りというよりは、(作者の)コースケ先生がものすごくそれぞれのキャラクターに対して熱の入り方が均一というか、それぞれの人に物語があって、何かしらの過去とか想いがあるというか。それがあの街の中で繰り広げられているという部分を見ると、みんな愛すべきキャラなんですよね。シーンごとに思うことがあるというか。ただ第1話からという部分ではやっぱり一番気になるのはあの2人(主人公の便利屋、ウォリック・アルカンジェロとニコラス・ブラウン)ですし。今後どうなるかが気になってしょうがないですね。

──オープニングテーマ「Renegade」とエンディングテーマ「夜の国」のリミックスも収録されていますね。

TSUTCHIE:どちらの曲も、アニメに対しての浸透の仕方が素晴らしいというか、オープニングはあの流れから本編に入って、本編が終わってエンディング曲が流れるという、放送分の流れがすごいしっかりしているなと思って。だからちょっとリミックスをやってみたいなと思いまして。基本的にリミックスをやる場合、原曲のイメージはなるべく崩したくないなと思っているので、ボーカルに対してどうアレンジを変えて行くかというのが俺のリミックスのやり方なんです。そこに対して俺が思う「Renegade」と「夜の国」になっています。自分の中では良い感じにまとまったと思っています。ぜひ、聴き比べて楽しんでみてください。

──『GANGSTA.』サントラリリース後にイベント等にTSUTCHIEさんが出演する予定は何かありますか?

TSUTCHIE:誘っていただけるなら全然出ますけど。むしろ良いんですか俺なんかでみたいな(笑)。そういえばこの間大阪のDJイベントに行ってきたんですけど、そこにアニメが好きなDJの子がいて、やっぱり『GANGSTA.』の話になりましたね。今は知り合いにアニソンDJもいますしね。

──今後のTSUTCHIEさんの活動としてそういうアニメ関連のイベント出演もあり得るという?

TSUTCHIE:自分のやれることしかできないですけどね。そういうところに出演するのでも良いんですけど、とにかく『GANGSTA.』を観てくれた人の感想を聞きに行きたいんですよね。「褒めて!」みたいな(笑)。原作を読んでからアニメを観る人もいるだろうし、その逆もいるだろうし。でもきっかけが違っても、この音楽自体がどういう役割を果たしているかとか、感想を聞きに行きたいです。

──じゃあこの記事をご覧のみなさんもこのアルバムを聴いてネット上に感想を書けばTSUTCHIEさんの目にとまるかもしれませんね。

TSUTCHIE:そうですね。もうガンガン、エゴサーチするので(笑)。よろしくお願いします。

取材・文●岡本貴之

『GANGSTA.』
「月刊コミック@バンチ」連載
2015年7月より、ABC朝日放送・TOKYO MX・テレビ愛知・BS11にてTVアニメ放送中

TVアニメ『GANGSTA.』オリジナルサウンドトラック『SIGNS』

LACA-9418~9419 (2Disks) 税抜価格:\3,500
Disc1【INDEX】
01. Ergastulum
02. Shadow
03. The Offer
04. Sword and Bullet
05. Bonds
06. The Past
07. Not Serious
08. Celebrer
09. Intimidation
10. Strage
11. A / 0
12. It's No Use
13. Handy Man
14. Normal
15. Twilights
16. Renegade / STEREO DIVE FOUNDATION - TSUTCHIE Remix

Disc2【INDEX】
01. Rain
02. TAGS
03. Investigation
04. Pang
05. Marauder
06. Clear
07. I stand
08. Disquieting
09. The Ghost
10. Overdose
11. Confidential Talk
12. Bad Memories
13. with You
14. Daily
15. Times
16. 夜の国 / Annabel - TSUTCHIE Remix


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