【ライブレポート】吉川友の秋ツアーがスタート。“魔のセットリスト”の全貌が明らかに

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吉川友の全国5大都市ツアー<吉川友 2015秋TOUR ~WILDSTRAWBERRYを召し上がれ~>が、10月24日、札幌MESSE HALL公演で初日を迎え、ついにその全貌が明らかになった。

◆<吉川友 2015秋TOUR ~WILDSTRAWBERRYを召し上がれ~>初日公演 画像

10月18日まで行なわれていた関東圏でのリリースイベント、および公演後の吉川友本人のコメントにおいて、“ノンストップ”とか“すーんと終わる”とか“魔のセットリスト”とか“マラソン大会。800m走、いや1000m走”とか様々な表現がなされていた今回のセットリスト。ひとつひとつの言葉だけで考えるとちょっとよくわからないが、そのすべてのワードを並べて俯瞰的に見ると、なんとなく想像できたという人もいたことだろう。

が、実際に蓋を開けてみると、そんな想像を越えるハードなワークアウトが、友フレ(=吉川友のファン)を待っていたのだった。

「ラム食べて、元気いっぱいだラム。ラムラムしちゃうぞ。」── 吉川友

初日公演の開演前(開場直前タイミング)にもらったきっかからの意気込みは、正直、ちょっとよくわからなかったが、とにもかくにも初日の昼公演、1曲目を飾ったのはライブ初披露となる「アカネディスコ」だった。きっか曰く“吉川ブートキャンプ”なこの曲、すでに振り付け動画も公開されており、ちゃんと予習してこの日に臨んだ友フレの姿も。もっとも、ステージ上でパフォーマンスしながら客席を煽っていたきっかに促されるように、予習しているいないに関わらず誰もが振りコピをして、このワークアウトを楽しんでいた。

「アカネディスコ」が終わっても、アップテンポなナンバーは止まらない。言うなれば、今回の秋ツアーは“序盤から後半戦”。従来のライブで後半に並んだような勢いある楽曲が、最初から立て続けに披露される。初日公演、何も知らずに「アカネディスコ」に全力で取り組んだ友フレにとっては、ステージ上のきっかに負けじとペンライトを振り、クラップを鳴らし、タオルを振って声援を送っても送ってもMCコーナーがやってこないことに軽い目眩を覚えたかもしれない。

もっとも、そんな猛ラッシュは、実は苦しさよりも楽しさ、面白さをもたらしてくれる。アップテンポな曲が並ぶということは、ライブはそれだけ盛り上がり続けるということでもある。まだ終らない、まだ続くという出口の見えないトンネルのような状況で、ただひたすらに声援を送り、振りコピを続け、タオルを回している友フレ。でもその顔は楽しげで、手にした黄色のペンライトの光はまるで照明演出のように会場で一体感を生み出していた。

一方のきっかはというと、これだけのアップチューンを連続して披露するのは初めて。それにも関わらず、途中でバテるような仕草をみせることなく(当たり前といえば当たり前だが、それでも昔の彼女はそんな仕草をみせることがあった)、終始、ステージを動き回り、観客のひとりひとりとアイコンタクトをとるように目を合わせて歌い上げていった。彼女は先日、ツアーに向けて、ジムで毎日走って、さらに腹筋もメニューに追加して体力づくりに励んだと話していたが、その努力の成果が、結果として現れていたのだろう(もっとも、終演後には呼吸を整えながら「まだまだ体力をつけないと」と笑っていたりもしたが)。

「ありがとうございました! 吉川友でした!」

“ノンストップ”パートを一気に駆け抜けた彼女は、清々しい表情で、そのままステージから降りようとする。一方、めくるめくアップテンポの連続によって、得も言われぬ充実感に包まれた友フレは、そんなきっかを温かく送り出そうとする。するときっか、「誰か止めてくださいよ! こんなんで終わるわけないじゃないですか。まだまだ続きます!」と、客席に必死に呼びかける。そんないつもと変わらない調子に起こる笑い。それは、吉川友のライブやリリースイベントでよく目にする、観客との距離の近い、アットホームなやり取り。

もっとも、思わず「ありがとうございました!」と、本人がステージを去ってしまいそうになるほどに、そんなきっかを素直に送り出してしまいそうになるほどに、本人にとっても友フレにとっても満足度、爽快感が溢れたこの序盤の展開。これは間違いなく本ツアーのお楽しみポイントのひとつといえるだろう。確かに初日の昼公演こそ、このノンストップ・セットリストを前にしっかりと準備してきたきっかに友フレが押され気味だったのは否めない(次に何が起こるかわからないため、自然と様子を見ながらの盛り上がりになるのは仕方がないことではある)。だが、この日、セットリストの全貌が明らかになったことで、今後の公演ではまた違った盛り上がりをみせることになるだろう。それぞれがしっかりと対策を練って、人によっては準備もして、ガチンコでぶつかり合った時、今度はどんな光景が広がるのか。負けず嫌いのきっかと、数の上で圧倒的優位を誇る友フレの、体力の限界ギリギリまでの白熱したバトル。想像しただけで、それがちょっと面白そうなことになりそうなのは、なんとなくわかるはずだ。

なお、このノンストップなセットリストは、吉川友本人が、発売されたアルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』収録曲の多くに“疾走感”を覚えたことから「駆け抜けるライブがしたい!」と、提案を出して企画されたという。

最初のMCで、きっかは北海道の友フレたちに「ただいまー!」と挨拶。「前回のツアーの時に、“次のツアーは北海道からスタートしたい”とスタッフさんにワガママなお願いをしまして。今回、秋ツアーでスタッフさんがそのことを実現してくれました。すごいですね。ありがとうございます。」と、スタッフへの感謝の言葉を述べた。そこまではよかったのだが、「言ったら何でも希望が叶っちゃいますね!」と、付け加えて客席から思わず笑いが起きる。なお、吉川友は、自分のやりたいことなどを人前で発言することで友フレを味方につけ、望みを叶えるという処世術を早くに体得済みである。もっとも、暴走する吉川友の抑止力となるのもまた友フレなので、いつもそう簡単に彼女の思い通りにはいかないのだけど……。

また本ツアーでは、各地でゲストミュージシャンも登場する。札幌公演に駆けつけたのは、北海道を中心に活動するシンガーソングライターの城太郎。きっかはギターに興味津々で、「ギターとか弾かないんですか?」と城太郎に訊かれると「ギター、弾けないんです。でも、タンバリンは得意なんです。」と話しつつ「ギターって落花生みたいな形してますね。」と、タンタンターン!とコメントを重ねていく。

さらにここで、きっかから城太郎に突然のリクエストが出される。彼女の最新衣装である“野獣衣装”は、北海道ではこの日が初お披露目。そこで「吉川友のこの衣装を見て、なんか1曲、即興で。」ときっか。「そういうのは世間ではムチャぶりって言うんですよ。」と、困惑する城太郎だったが、きっかと友フレの期待に応えるため、「トラかと思ったら豹だね 豹だと思ったら鳥だね♪」と、そのワイルドな衣装を冷静な目で的確に描写した曲を披露した。

そして城太郎のアコースティックギターをバックに、きっかはロマンティックなラブソング「プラネタリウム」を歌唱する。アルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』に収録されたこの曲は、吉川友とギターの一発録りだったが、まさに今回は、このレコーディング以来の、そして観客の前では初めての、ギターときっかのみという編成での楽曲披露となった。

なお、10月31日の東京公演では、そんな「プラネタリウム」の楽曲提供を行なったシンガーソングライター・石橋光がゲストとして出演決定。“オリジナル”な「プラネタリウム」が、この日、生でオーディエンスのもとに届けられることになる。

ところで、城太郎とのトークの中で、ギターに興味津々だったきっか。というのも、実は、近々に自分のギターを手に入れる予定があるのだという(その準備として、きっかの手は現在、ネイルもやめてプレーンな状態にしている)。事の発端は、彼女が自身のブログで展開している「吉川友ワガママ企画 ツアー&アルバムを皆さんに宣伝してもらおう計画」。最新アルバム『YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~』をほかのアーティストに宣伝してもらおうというこの企画で、きっかは事務所の先輩・中島卓偉の元を訪れた。そして、卓偉にアルバム収録曲の「プラネタリウム」を紹介しながらギターを弾いてみたいと話したところ、それならば、自分が持っているギターの中から、女の子でも弾きやすいショートスケールのギターをプレゼントする、と、卓偉に言われたという。さらにそれだけでなく、ギターを教えてほしいともお願いしたところ、卓偉はこれも快諾。というわけで、なんと吉川友が、中島卓偉直伝のギタープレイをライブで披露する、なんていう日も来る……のかもしれない(きっかは<吉川友 全国弾き語りツアー>を目標として掲げるようである)。
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