比類なき屈強さを身に付けたMERRYの“今”を体感せよ
昨年末にリリースされた最新オリジナル・アルバム『NOnsenSe MARkeT』にちなみ、まさにその不条理百貨店のエレベーターを上がるかのように、さまざまな形態でのライヴを重ねてきたMERRY。去る2月に“B1F”と銘打ちながら行なわれたライヴハウス・ツアーで地下から抜け出すと、5月から7月にかけての“1F”と9月に組まれた“2F”のシリーズでは、奇想天外な顔ぶれとの対バン形式ライヴを連夜敢行。そうしたライヴ漬けの日程の狭間にもさまざまなイベント出演を果たし、さらに去る10月19日と20日には、各日を“レディースフロア”“メンズフロア”と設定しながらの女性限定/男性限定ライヴまでも実践してきた。
◆MERRY画像
ここに掲載されているライヴ写真は、その“メンズフロア”公演の際のものだが、とにかくこの夜のMERRYのライヴは抜群に切れ味が良く、尋常ではないほどのテンションと熱を感じさせると同時に、単なる暴走型ライヴとは違う彼らなりの成熟を感じさせるものとして成立していた。誤解して欲しくないのだが、それはフロアに集結していたのが男性客のみだったから、というわけではかならずしもない。もちろんそうした普段とは異なった空気がプラスの作用をもたらしたことは間違いないはずだが、僕には観覧することが叶わなかった“レディースフロア”公演の際にも、きっと同じような現象が起きていたに違いないのだ。
さらに言えば、多種多様な対バン公演や、イベント出演時についてもそれは同様であるはず。筆者は10月4日には川崎CLUB CITTAで開催された<大冠祭2015>での彼らのパフォーマンスも目撃しているが、THE 冠やSEX MACHINEGUNSをはじめとする“メタル縛り”の出演ラインナップのなかにあっても、MERRYというバンドの屈強さは存分に発揮されていた。ホームかアウェイかと問われれば完全に後者のほうではあったはずだが、彼らのライヴ・パフォーマンスがジャンル感を超えた魅力と説得力を持ち合わせるものであることは、彼らの演奏中にフロアを去ろうとする観客が極端なまでに少なかった事実にも裏付けられていたといえる。
少しばかり大袈裟な言い方をすれば、MERRYにはそもそも、ロック・バンドとしてオールマイティなところがある。ヴィジュアル系とも、パンクとも、メタル色の濃いバンドとも、いわゆる“歌モノ”で勝負するタイプのバンドや、ステージングの面白さが特徴的なバンドとも、この生まれながらにして雑食体質なバンドは、ポジティヴな化学変化を起こし得るのだ。が、その化学変化というやつが、環境や相手に寄り添いながら生じるものではなく、まっすぐにガチンコでぶつかりあった時にだけ生まれ得るものに変わってきつつあるのではないかという気がする。彼らは元々、対バン相手の傾向によってカメレオンのように自分たちの色を変えてしまえるほど器用なバンドではない。かといって逆に、不器用さや無骨さを売りものにするようなタイプでもなかったはずだ。が、結成から14年という流れのなかでさまざまな経験を重ね、さまざまなステージを体験してきた彼らは、いまや「存分に自分たちの色を発揮することで、同時に対バン相手の良さをも引き出せるバンド」に成長を遂げているように、僕には思えてならない。
確かにベーシストのテツが長期療養中ということで、彼を欠いた4人でステージに立たざるを得ない状況も続いてはいる。が、そうした現実すらもハンディキャップと感じさせない現在のMERRYは、まさにライヴ・バンドとして死角のない状態にあると言っていいのではないだろうか。
そして彼らはこの11月、いよいよこのツアーのクライマックスともいえる自己初の主宰フェス<ラムフェス>を開催することになる。年間を通じて重ねられてきたツアーのなかにあっては、これが“3F”にあたるもの。11月5日(木)には東京・品川ステラボール、同7日(土)には京都・KBSホールにて、お互いを知り尽くしているかのような盟友から、初遭遇の後輩世代バンドに至るまで、MERRYとの関わりや距離感がさまざまに異なる出演者たちと彼らはステージをともにする。フェスとはいえ、巨大スタジアムで行なわれるわけではないし、昨今世に溢れているさまざまなフェスとは少しばかり性質の異なるものとして目に映るかもしれない。が、当然ながらMERRYは、他の誰かと同じことをやろうとしているわけではないし、東京と京都、ふたつの場所に、彼らにしか創造することのできない空間を作りあげてくれるはずなのだ。
そしてこの<ラムフェス>で“3F”のフロアを通過したのち、大晦日には<NOnsenSe MARkeT 4F -眠れない羊->と銘打たれた東京・新宿LOFTでのカウントダウン・ライヴが、そして2016年2月7日には、こうした一連の流れを締め括るべく、東京・六本木EX THEATERにて<NOnsenSe MARkeT FINAL -最終階->と題されたツアー最終公演が行なわれることが決まっている。
これから先、いずれも見逃すことのできないライヴばかりが続くが、まずはこの11月上旬に迫っている東京と京都での<ラムフェス>での彼らのたたずまいを目撃して欲しい。そこできっと、“すべてと繋がっていながら、同時に確固たる独自のものを持っているMERRY”というものを感じ取ることができるはずだから。
増田勇一
ライブ・イベント情報
11月5日(木) 品川ステラボール
[出演] MERRY / 黒猫チェルシー / LIPHLICH / lynch. / MUCC / 四星球 / 千代田線デモクラシーファミリー
11月7日(土) 京都KBSホール
[出演] MERRY / メリー / バックドロップシンデレラ / 八十八ヶ所巡礼 / HERO / vistlip / 仮面女子
[総合問合せ] NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
COUNTDOWN 2015-16<NOnsenSe MARkeT 4F -眠れない羊->
12月31日(木) 新宿LOFT
・MERRY MEMBERS’ CLUB CORE先行
[受付期間] 10月19日(月)21:30~10月31日(土)23:59
※10月1日時点有効会員様がお申込み対象となります。
・MERRY ONLINE先行
[受付期間] 11月5日(木)12:00~11月15日(日)23:59
※受付期間中にご入会いただいた方も対象となります。
[一般発売] 12月5日(土)
[問合せ] NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
<NOnsenSe MARkeT FINAL -最終階->
2016年2月7日(日) EX THEATER ROPPONGI
・MERRY MEMBERS’ CLUB CORE先行
[受付期間] 10月19日(月)21:30~10月31日(土)23:59
※10月1日時点有効会員様がお申込み対象となります。
・MERRY ONLINE先行
[受付期間] 11月5日(木)12:00~11月15日(日)23:59
※受付期間中にご入会いただいた方も対象となります。
[一般発売] 12月12日(土)
[問合せ] NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
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