【インタビュー】ヴィヴィアン・キャンベル「最高の状態で日本公演に臨む」

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デフ・レパードのニュー・アルバム『デフ・レパード』がいよいよ30日にリリースされる。

新作の発売と来日を直前にしてインタビューに応じてくれたのは、ギタリストであるヴィヴィアン・キャンベルだ。フィル・コリンと共に鉄壁のギター・コンビを組む彼だが、近年リンパ腫を患い、治療を受けながら活動を続けている。11月9日からの日本公演を目前にしたヴィヴィアンに語ってもらった。



──体調はいかがですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:すごく元気だよ。数ヶ月前にリンパ腫が再発して、治療を受けているけど、自覚症状はまったくないんだ。自分が病気だなんて思えないほどだ。だから危険なんだけどね。みんな自分が元気だと思っても、健康診断を受けてみるべきだよ。俺は今、免疫治療を受けているんだ。新しいガン治療で、肺ガンなどには効果があることが判っているけど、リンパ腫の治療で使うのはまだ前例があまりない。ワールド・ツアー中、4週間ごとにロサンゼルスに戻って点滴を受けなければならないのが大変だけど、今のところステージでプレイするのにはまったく支障がないよ。もちろん日本公演にも最高のコンディションで臨むことになる。

──日本公演前のアメリカ・ツアーの反響はどんなものでしたか?

ヴィヴィアン・キャンベル:最高の盛り上がりだった。幾つもの公演がソールドアウトになって、バンドもファンも熱気に満ちていたよ。Tシャツのセールスも良好で、若いお客さんがたくさんいたのが興味深かった。親に連れられてきた訳でもなく、着実に十代のファンが増えているんだよ。若い音楽リスナーにとって1980年代の音楽が新鮮に聞こえるのかも知れないし、今のチャートに入っている音楽にない魅力があるのかも知れない。それに1980年代に活躍したロック・バンドの多くは解散したり、オリジナル・メンバーが数人しか残っていなかったりする。デフ・レパードの場合、一度も解散せずにコンスタントに活動してきたし、顔ぶれもほとんど同じだ。新加入メンバーの俺でさえ、もう23年いるんだからね!

──『デフ・レパード』からの新曲は、アメリカ・ツアーでプレイしましたか?日本公演ではどうなるでしょうか?

ヴィヴィアン・キャンベル:北米ツアーはアルバムの発売前だったから、新曲はツアー後半の2週間だけ「レッツ・ゴー」1曲のみをプレイした。ジャパン・ツアーは演奏曲目を全面的に見直して、あと数曲、新しい曲を増やすつもりだ。新作を気に入ってライヴ会場に来たお客さんも、きっと楽しめるショーになるよ。もちろんバンドのグレイテスト・ヒッツはプレイする。「フォトグラフ」「ロック・オブ・エイジズ」「シュガー・オン・ミー」…贅沢な悩みだけど、ライヴ用の曲を選ぶのが大変なんだ。デフ・レパードはヒット曲が多いし、4時間ぐらいプレイしても「何であの曲をやらなかったの?」と訊かれるだろう(苦笑)。

──『デフ・レパード』について、ジョー・エリオットは「シングルをレコーディングするつもりでスタジオに入ったら、12曲を書いてしまった」と語っていますが、実際のソングライティングとレコーディングの作業はどんなものでしたか?

ヴィヴィアン・キャンベル:バンドが集まったとき、アルバムを作るかどうか決めていなかったんだ。現代の音楽業界において、アルバムを作ることが正しい選択か判らない状態だったからね。でもとにかくスタジオに入っていようということになった。デフ・レパードにしては珍しく、かなり早い段階で曲のアイディアが幾つも集まったんだ。実は俺自身はフル・アルバムを作ることに乗り気ではなかったけど、ジョーは「俺たちのファン層の大きな割合を占めるのは、アルバム単位で音楽を聴いていた世代だ」と主張して、結局それが多数決となった。結果的に『デフ・レパード』はすごく良いアルバムになったから、俺は喜んで自分が間違っていたことを認めるよ(笑)。しかも『デフ・レパード』は全14曲(注:日本盤はボーナス・トラックを含め全15曲)という、普段より曲数の多いアルバムになった。『ソングス・フロム・ザ・スパークル・ラウンジ』(2006)から7年もファンを待たせてしまったから、そのぶんビッグな復活アルバムにしたかったんだ。

──アルバム・タイトルを『デフ・レパード』としたのは?

ヴィヴィアン・キャンベル:このアルバムがデフ・レパードそのものだからさ。ハードなロックから洗練されたポップ、俺たちが影響されてきたバンドへの敬意も込めている。さらに今までやったことのない、バンドの新しい側面も表現しているんだ。

──1980年代のデフ・レパードに通じるサウンドが蘇っていますね。

ヴィヴィアン・キャンベル:その通りだ。「レッツ・ゴー」は「シュガー・オン・ミー2.0」だし(笑)、「デンジャラス」のコーラスは「フォトグラフ」を思い出すだろ? ただ、ちょっとばかり過去の曲に似ているからといって、最高にクールな曲を世に出せなくなるのは、損失だと思うんだ。俺たちはデフ・レパードの創り出した音楽スタイルを誇りにしているし、『デフ・レパード』は俺がバンドに加入して以来の最高傑作だと思う。

──『デフ・レパード』はバンドの音楽性の集大成であるのと同時に、古き良き王道ブリティッシュ・ロックを現代に蘇らせたアルバムだと思います。たとえば「マン・イナフ」のファンキーなベースラインがクイーンの「地獄へ道づれ」を思わせたり…。

ヴィヴィアン・キャンベル:うん、確かに「地獄へ道づれ」に似ていることは認めるよ。オリジナリティでは、満点は取れないかも知れない。でも、この曲が最高に輝くのは、このアレンジのおかげなんだ。他の曲に似ているからといってアレンジを変えて、マジックを失ってしまうのはもったいないよ。

──さらに「バトル・オブ・マイ・オウン」はレッド・ツェッペリンの『III』を連想させるアコースティックから始まりますね。

ヴィヴィアン・キャンベル:この曲が書かれたのは2度目のスタジオ・セッションで、俺はその場にいなかった。だからレッド・ツェッペリンをどれぐらい意識していたかは判らないよ。まあ確かに、似たタイプの曲ではあるけどね。

──自分たちが王道ブリティッシュ・ロックの継承者だという意識はありますか?

ヴィヴィアン・キャンベル:そこまで大袈裟には考えていないよ(苦笑)。全員が1970年代前半のイギリスのロックを聴いて育って、それに独自の解釈を加えているんだ。みんなそれぞれ異なるアーティストから影響を受けていて、それでいて趣味が重なっていたりするから面白いんだよ。ジョーと俺はマーク・ボランから多大な影響を受けている。俺が初めて好きになったポップ・ミュージックはTレックスだったんだ。それからジョーはデヴィッド・ボウイの大ファンになったし、フィルもボウイのファンなんだ。彼らがボウイにハマっていた頃、俺はもっとオーガニックなギター・ロック、シン・リジィやロリー・ギャラガーに傾倒していたんだ。それからサヴはクイーン命だよ。俺たちはみんなクイーン好きだけど、サヴはとてつもなくマニアックなんだ。

──1970年代前半のイギリスというと、プログレッシヴ・ロックも通過しましたか?

ヴィヴィアン・キャンベル:正直プログレッシヴ・ロックにハマったことは一度もないな。もっとシンプルなロックが好きだった。今年アメリカをスティクスと一緒にツアーして、すぐに打ち解けて友達になったけど、必ずしも彼らの音楽のファンというわけではなかった。

──あなたの古巣であるディオのメンバー達とラスト・イン・ラインを結成して、2013年の『ラウド・パーク』フェスで来日もしましたが、それはどんな経験でしたか?

ヴィヴィアン・キャンベル:最高に楽しかった。ラスト・イン・ラインの始まりは2011年、俺がシン・リジィでプレイしたことに遡る。ブライアン・ダウニーやスコット・ゴーハムと「エメラルド」「ブラック・ローズ」をプレイしたことで、16歳だった頃の熱い気持ちを取り戻したんだ。もっとギターを弾きたくなって、彼らとのツアーが終わって最初にしたのは、(ディオのメンバーだった)ヴィニー・アピスとジミー・ベインに連絡することだった。バンドとして活動するならシンガーが要るんで、ヴィニーの紹介でアンドリュー・フリーマンを招いたんだ。アンドリューはロニー・ジェイムズ・ディオとはまったく異なっているけどパワフルで情熱的なシンガーだ。ラスト・イン・ラインとしてツアーを行って、レスポールで怒りの弾きまくりをやったことは、俺にとって精神的なセラピーにもなった。でなかったら病気を気に病んでしまっていたかも知れない。

──今後ラスト・イン・ラインでの活動は?

ヴィヴィアン・キャンベル:ラスト・イン・ラインとしてのアルバムを完成させたところなんだ。すべて新曲で、2016年2月にリリースする。元ドッケンのジェフ・ピルソンがプロデュースしていて、ハッキリ言うけど超最高だ。“21世紀の『ホーリー・ダイヴァー』”といえる内容だよ。2016年の3月から5月ぐらいにデフ・レパードがひと休みするから、そのときラスト・イン・ラインとしてのツアーをやろうと考えている。

──デフ・レパードの今後について教えて下さい。これからもアルバムを作り続けるのでしょうか?

ヴィヴィアン・キャンベル:まだ『デフ・レパード』を完成させたばかりだし、今後のことは判らないよ。おそらく2016年いっぱいはワールド・ツアーを続けて、2017年はオフを取ることになる。次のアルバムを作るとしても2018年で、リリースは2019年になる。すごい先の未来だよ。もしかしたら、その頃には“アルバム”なんてものは存在しないかも知れない。ただ何歳になっても、何らかの形で音楽に関わり続けたいと考えている。音楽は俺に翼を与えてくれた。それを奪うことは、誰にもできないよ。

写真:Ross Halfin
インタビュアー:山崎智之


<デフ・レパード・35周年ジャパンツアー>

11月9日(月)日本武道館
11月10日(火)オリックス劇場(大阪)
11月12日(木)ZEPP NAGOYA
11月13日(金)仙台サンプラザホール
ウドー音楽事務所 udo.jp/

デフ・レパード『デフ・レパード』


10月30日世界同時リリース
メンバー全員直筆サイン フォトカード付き通販限定スーパー・プレミアム・ボックス・サイト
1.レッツ・ゴー
2.デンジャラス
3.マン・イナフ
4.ウィ・ビロング
5.インヴィンシブル
6.シー・オブ・ラヴ
7.エネジャイズド
8.オール・タイム・ハイ
9.バトル・オブ・マイ・オウン
10.ブロークン・ブロークンハーテッド
11.フォーエヴァー・ヤング
12.ラスト・ダンス
13.ウィングス・オブ・アン・エンジェル
14.ブラインド・フェイス
15.ラスト・ダンス(デモ)※日本盤限定ボーナストラック

◆『デフ・レパード』オフィシャルサイト
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