【ライブレポート】ホワイトスネイク、千秋楽に相応しい盛り上がり

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ホワイトスネイクの<ザ・パープル・ツアー2015>日本公演が、11月2日(月)東京国際フォーラム・ホールAでフィナーレを迎えた。

◆ホワイトスネイク画像

約2週間をかけて大阪から名古屋、札幌、広島、横浜とサーキットしてきたこのツアー。オフ日を挟んだスケジュールでベストな体調をキープして、ラストを飾る東京公演は、千秋楽に相応しい盛り上がりを見せた。

デヴィッド・カヴァーデイルが1973年から1976年にかけて在籍した第3期・第4期ディープ・パープルの名曲の数々を再訪した『ザ・パープル・アルバム』を引っ提げての今回のツアー。それにホワイトスネイクの数々のヒット曲が加わったショーは、さながらデヴィッドのヒストリー・ベスト構成となった。


「紫の炎」のイントロから、会場は一瞬にして沸点に達する。デヴィッドがエッジの効いたシャウトを聴かせるこの曲は『ザ・パープル・アルバム』ヴァージョンのツイン・ギター・アレンジで披露された。レブ・ビーチはオリジナルのクラシカルなスケールのソロを倍速にしたテクニカル・リードを聴かせ、新加入のジョエル・ホークストラは必殺8フィンガーのフレーズを決める。彼らのプレイはハード・ロックの歴史に冠たるこの名曲に、新しい生命を吹き込んでいる。

これまでヴィジョン・ディヴァイン、シークレット・スフィアというメロディアス/パワー・メタル・バンドで活動してきたイタリア出身のミケーレ・ルッピは、そのキーボードとバック・ヴォーカルで、バンドのサウンドに厚みをもたらしている。特に「紫の炎」の、オリジナルではグレン・ヒューズが歌っていたハイトーンのパートは、彼を得たことでよりパワフルなものとなった。

日本ツアーのそれまでの公演では2曲目に「フール・フォー・ユア・ラヴィング」が演奏されていたが、東京では「嵐の使者」がプレイされる。「紫の炎」~「嵐の使者」の連打といえば2006年の来日公演を思い出させるが、今回はメドレー形式でなく、「嵐の使者」のフル・パフォーマンスが大きな声援を呼ぶ。この曲に限っていえば、ディープ・パープル・ヴァージョンのイアン・ペイスによるスウィング感があるドラムスよりも、トミー・アルドリッジの大地を揺るがすハードな打撃が向いているのではないだろうか。ホワイトスネイクに初めて加入してからもうすぐ30年となるトミーだが、そのドラムスのパワーは衰えることを知らない。


ホワイトスネイクの「ラヴ・エイント・ノー・ストレンジャー」は前回のツアーでジョン・ロード、コージー・パウエル、メル・ギャレイという、去ってしまったデヴィッドの友人たちに捧げられた曲だ。今回は彼らの名前を挙げることはなかったが、デヴィッドのヴォーカルには、かつての戦友たちへの想いが今もなお込められていた。

『ザ・パープル・アルバム』では通常のベスト盤には収録されないパープル・クラシックスも聴くことができたが、「ジプシー」はそんな“隠れた名曲”のひとつだ。オリジナル以上に腰の入ったグルーヴは、ベーシストのマイケル・デヴィンの貢献も大きい。ケニー・ウェイン・シェパードとの活動経験もあり、デヴィッドとブルース談義をすることも少なくないというマイケルだが、ここではグッとソウルフルな低音で魅せている。

ホワイトスネイクの大ヒット曲「ギヴ・ミー・オール・ユア・ラヴ」でパッと会場が明るくなった後は、ムーディーな「ユー・キープ・オン・ムーヴィング」でじっくり聴かせる。ディープ・パープル時代デヴィッドのヴォーカルの相棒だったグレン・ヒューズがライヴ・レパートリーにしているこの曲だが、同様に人生の悲喜交々を経てきたデヴィッドによるヴァージョンもまた、説得力を持っている(なお6月、ホワイトスネイクの北米ツアー中にグレンが飛び入り、この曲をデヴィッドとデュエットする一幕もあった)。


そして翳りのあるムードは、「エイント・ノー・ラブ・イン・ザ・ハート・オブ・ザ・シティ」へと繋がっていく。北米ツアーでは演奏されなかったが、ホワイトスネイクとしての初来日である1980年からずっと日本では愛されてきた曲であり、観衆はバンドと共に歌うのを待っていた。やや歳をとったファンも大勢いたものの、彼らはこの日ばかりは“40代・50代のティーンエイジャー”らしい輝く表情を見せていた。

レブ、そしてジョエルがスーパー・テクニックを披露するギター・ソロ・タイムを挟んで、再びディープ・パープル時代の「ミストゥリーテッド」で観衆を酔わせる。ライヴの時間内にあまりに多くの名曲を詰め込まねばならないせいか、ややあっさりしたショート・ヴァージョンとなっていたものの、その瞬間ごとに込められたエモーションは、1970年代と遜色ないものだった。

日本のハード・ロック・ファンは、これまで何度トミーのドラム・ソロを体感してきただろうか。1982年のオジー・オズボーン初来日からイングヴェイ・マルムスティーンなどと、何度となく日本でプレイしてきた彼だが、30年以上のあいだ、常に我々を驚嘆させてきた。「ユー・フール・ノー・ワン」に続いてフィーチュアされたソロはドラム・キットを破壊する勢いのもので、彼の得意技(?)である素手のソロ乱打もド迫力だ。ちなみに彼は65歳だそうだが、全身から発散するエネルギーは(昔からフケ顔だったこともあり)まったく年齢を感じさせない。

「幸運な兵士」は長年ホワイトスネイクのライヴにおける重要なレパートリーのひとつだったが、多くの場合、キーボードだけを従えた短縮ヴァージョンだった。今回はバンド全員によるフル・ヴァージョンで、ドラマチックに盛り上げる。長年旅をして傷ついてきた兵士の哀感は、むしろ現在のデヴィッドの声質に向いているもので、人気曲であるにも関わらず、会場が静まりかえってしまう瞬間すらあった。


だが、愁嘆場はここまでだ。「トーキョー、ひとつ質問があるんだ。…イズ・ディス・ラヴ?」というお約束のクエスチョンに続いて、「イズ・ディス・ラヴ」に会場が一体となって歌う。「フール・フォー・ユア・ラヴィング」も大いにファンを沸かせ、「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」の大合唱でバンドはいったんステージを下りた。

アンコールを求める拍手と声援が続く中、彼らは再び姿を現す。ステージ前方のファンから花束とプレゼントが手渡されるが、そのひとつひとつを笑顔を浮かべながら受け取るデヴィッドのスマイルを見ると、彼がデビューから40年以上のあいだ女性ファンのハートをとろかし続けてきたのも納得してしまう。そして演奏された「スティル・オブ・ザ・ナイト」は、圧倒的なリフの攻撃で押しまくる。チューニングを下げていたことがプラスに働き、ズンとお腹に来る重低音が曲のダイナミズムをさらに強調していた。

1987年の『白蛇の紋章』以来、不動の代表曲としてラストに演奏されてきた「スティル・オブ・ザ・ナイト」でショーは終わり…と思いきや、このツアーを締めくくるサプライズとして突如飛び出したのは「バッド・ボーイズ」だった。ほとんどその場のノリで演奏されたこの曲だが、北米ツアーではレギュラー入りしていたため、安定したパフォーマンスを聴かせてくれる。デヴィッドはステージを下りて握手やハイタッチに応じるサービスぶりで、見事なクライマックスを演出してくれた。

バンドはステージから去り、場内には「ウィ・ウィッシュ・ユー・ウェル」のテープが流れる。<ザ・パープル・ツアー2015>日本編を締めくくるショーを経て、ホワイトスネイクの旅路は続く。彼ら遠くない未来、また日本をロックしに戻ってくるだろう。ライヴ会場に集ったファン達は、ふたたび相まみえんことを。

撮影:有賀幹夫
ライヴレポート:山崎智之

<ザ・パープル・ツアー2015>

2015年11月2日
@東京国際フォーラムホールA
1.Burn
2.Stormbringer
3.Love Ain't No Stranger
4.The Gypsy
5.Give Me All Your Love
6.You Keep on Moving
7.Ain't No Love in the Heart of the City
8.Guitar Solo
9.(Reb Beach & Joel Hoekstra)
10.Mistreated
11.You Fool No One
12.Drum Solo 
13.(Tommy Aldridge)
14.Soldier of Fortune
15.Is This Love
16.Fool for Your Loving
17.Here I Go Again
18.Still of the Night
19.Bad Boys

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