【ライブレポート】フレンチ・キスがさいたまスーパーアリーナで解散ライブ。「後悔はないかな」

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柏木由紀、高城亜樹、倉持明日香からなるAKB48の派生ユニット フレンチ・キスが、11月5日、解散ライブ<French Kiss Live ~LAST KISS~>をさいたまスーパーアリーナにて開催した。会場には、ユニットのラストの瞬間をともに迎えようと1万人のファンが駆けつけた。

開演直前。幻想的なBGMが流れる中で、集まったオーディエンスによる3人の名前を呼ぶ声が飛び交う。会場の半分をぐるりと取り囲むように作られたステージには、(“フレンチ”・キスというところからグループのイメージカラーでもある)トリコロールをイメージしながらも、ハート型のゲートや、フレンチ・キスの「F」「K」のオブジェなどが散りばめられている。なお、ライブ中盤に降りてくるrunwayテラスを含めて会場全体を使ったステージというのは、彼女たちにとってはもちろん、さいたまスーパーアリーナとしても初めての規模感。まさにフレンチ・キスとして最後にふさわしいステージが用意されていた。

最終章の始まりの時を告げる鐘の音が鳴り響く。荘厳なオーケストラの調べに乗せて、フレンチ・キスのラスト・キスが、今、さいたまスーパーアリーナにて幕開けとなる。白ベースのきらきら光るふんわりとした膝までのスカート衣装で、ステージ中央から飛び出してきた3人が最初に歌った曲は「If」。最後のステージということで、1万人のコールも冒頭から熱を帯びる。


「みなさんこんばんはー! フレンチ・キスです。みなさん、フレンチ・キスのラストライブ、盛り上がっていきましょう。」と柏木が叫べば、いきなりの銀テープが舞って大歓声を勢いへと変化させる「ある秋の日のこと」。そして3人でのお披露目は初となる「口移しのチョコレート」へ。ちなみにこの曲は、倉持いわく「5年前にレコーディングしてから、一回も歌ってない。」とのこと。また、ラストライブに向けて、薬指にハートのネイルをしてきた柏木。高城は、初期のイメージに近いメイクをしてきたという。

フレンチ・キスのシングルを振り返る映像を挟んで、黒ベースのタイトな衣装にチェンジしたのち、会場後方、天井から降下して地上3メートルの高さに宙吊りされるrunwayテラス上に3人は姿を現す。「カッコ悪い I love you!」では、3人がひとりずつ別れて、トラスを3方向に歩いて行く。ちなみに直前のMCにて、トラスの通行できるスペースが狭いことから、「すれ違う際にはじゃんけんで優先権を決めよう」と話していた3人。柏木と倉持がすれ違う際には、さっそくそのじゃんけんが行なわれ、倉持が勝利。柏木は、倉持の邪魔にならないように、トラスのサイドにある手すり部分に体を押し付けて道を譲っていた。

「フレンチ・キスは結成当初に目標を立ててたんですよ。ひとつめが“単独コンサートをやりたい”。もうひとつが、“アルバムを出したい”。」


ふたつの夢が叶っていることを語り始めた柏木に大きな歓声が起こる。ところが、倉持発信だった3つめの目標「シャンプーのCMに出たい。」が達成できないことを明かす。最後まで叶わなかったこの夢……というわけで、ステージ上で、なぜか倉持のシャンプーCMを撮影するという“撮影ごっこ”が行なわれることに(しかも打ち合わせなしのノープランで)。「暑くて髪をあげちゃったし、これ罰ゲームにしか思えない。」と、(CMでありがちな)カメラを意識しながら歩いてみたものの恥ずかしくなった倉持。これに高城は「これ、ゆきりんもやってくれるから。」と、柏木へとまさかのムチャぶり。今度は柏木が、「ドラゴンフルーツの食べ頃」をBGMのイメージで、ポニーテールをポップに揺らして恥ずかしがりながら歩いてみる。そして最後に「やる?」と言われた高城だったが、「傷んだ髪もすぐ直る!」と、シャンプーのCMっぽい台詞とともに抜群の笑顔を見せて、ひとり観客からの喝采を浴びていた。

ライブには、3人のソロコーナーも用意された。柏木由紀は純白のドレスに身を包んで「あなたと私」を、感謝の気持ちと大好きの気持ちを込めて歌いあげる。一方、ブルーのチューブトップドレスで大人モードな高城亜樹が、切なさを滲ませて「二人だけの記憶」を歌えば、会場のペンライトは青一色に染まる。一方、深紅のドレスでステージに姿を見せた倉持明日香は、会場からの大きなコールに笑顔の花を咲かせながら「向日葵」を歌唱。両手を振ってファンの声に応えた。

本編ラストを飾ったのはフレンチ・キスのデビュー曲だった「ずっと前から」。柏木は最後、オフマイクで「ありがとう」と口にして、ステージから消えていった。

アンコール前、フレンチ・キスとしての活動の思い出を訊ねた映像が会場に流される。高城はデビュータイミングで実施された「渋谷109のシリンダー広告」を、倉持は賛否両論あると思うとしながらも「バッティング会」を挙げる。そして柏木は「初めてオリコン1位を獲った『最初のメール』」のことを懐かしそうに、そして嬉しそうに口にした。

3人で作詞して、プライベートでも聴いているという、自分たちも大好き過ぎる「あまのじゃく」を伸びやかに歌いあげたアンコール。「楽しい時間はあっという間で、私、このコンサートって解散コンサートって忘れてたの。3人で『あまのじゃく』歌った瞬間、思い出した。」と、柏木。「私たちにとっては今日からまた、新たなスタート。そして今、頑張っているすべての人に送ります。」と、すべてのフレキスファンの背中を押す「前を向いてる君」を披露した。

フレンチ・キスのラストソングとなったのは、「サヨナラをあと何回…」。3人は潤んだ瞳で、3色のペンライトの光が入り混じって煌めく客席を仰ぎ見るように、心を込めて丁寧に歌いあげる。歌い終えると、大歓声に包まれる中で、今まで手にしていたマイクをステージ上に設置された台の上にそっと置く。

そして、ステージ上のハート型のゲートを通り、「ありがとうござました。」と叫んで3人は、集まってくれた1万人に大きく手を振り、そのままスモークの向こう側に消えていった。

約2時間半の公演で、歌唱楽曲は全18曲。3人がいなくなったステージに向けて、ファンからは「フレキス」コールがいつまでも続いていた。


なお、解散後の3人だが、柏木と高城はAKB48のメンバーとして活動を継続。AKB48を卒業した倉持明日香は、スポーツキャスターや女優として活動を行っていく。これに関連して、本ライブ中には、2016年1月から上演となる舞台『Honganji』への倉持の出演決定が発表された。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

倉持明日香からのラストMC

フレンチ・キス、5年間活動してきて、本当に語り尽くせないくらい、たくさんの時間を私たち3人、そしてファンのみなさんと一緒に過ごしてきて、一歩一歩、ここまで進んできたな…(涙)…本当に、みなさんとここまでこれたことが、本当に宝物になりました。こうしてまた、このステージに立って、歌って、踊って、可愛い衣装を着れることが、本当にファンのみなさんのおかげで。またこのステージに帰ってくることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。泣く予定じゃなかったので…(会場から「明日香!」コール)……ありがとうございます。

なんか、こうしてファンのみなさんに、自分の名前を大きな声で呼ばれることが、すごくありがたいことなんだなって、今日、あらためて感じました。

ここまでフレンチ・キス、5年間活動してこれたのは、ここにいるファンのみなさん、来れなかったけど、フレンチ・キスを支えてくださったファンひとりひとりのおかげだと思っています。5年間本当にありがとうございました。

高城亜樹のラストMC

フレンチ・キス。5年前に、この3人が集められて「3人でユニット組みます」って言われた時に、本当のこと言うと……本当に、私、歌もダンスもなんにもできないから…(涙)…。この先輩のふたりと、歌の上手なふたりと、ダンスをちゃんとできるふたりに囲まれて。できるかずっごく不安だったんですよ。でもね、今日きてくださっているファンのみなさんもそうだけど、本当にいろんな人が、すごい広い心を持って、私のできないところを、ちょっとずつ大目にみてくれているところもあって。でもその中で、ゆきりんがステージの見せ方を教えてくれたり、明日香ちゃんが歌のおねえさんをやってくれたり。振り付け全然覚えられない私に、ずっとつきっきりで、自分のパートでもないのに覚えて教えてくれたり。本当に、支えてもらいながら、こうして成長して、今、さいたまスーパーアリーナのステージに立ててるんだなって、今日、あらためて実感しました。みなさん、ありがとうございます。

ただ、解散って実感わかないんですよ。こうして今、楽しい時間過ごしてるし。3人とも歌って踊って。でもこの解散は、寂しい解散ではないと思っています。みんながそれぞれの道に進むための解散だと思っているので。私は、このフレンチ・キスがあったことは一生忘れません。だからみなさんも、フレンチ・キスは解散してしまっても、みなさんの心の1ページにフレンチ・キスというグループがあったこと、私たち3人がいたことを、胸に書き留めておいていただければなって思います。5年間、幸せでした。

柏木由紀のラストMC

私は、ユニットを組むっていうのが、ひとつの夢だったんですよ。なので、このフレンチ・キスは、ひとつ夢を叶えてくれたユニットでした。最初、ユニットを組むとなって、集まった3人は、その時点ではあまり共通点もなく、お互い探り探りだった3人だったのかなって思うんですけど。初めは、どうしても先輩ということで気負っている部分もあって、どうしてもふたりに甘えたりとか、頼ったりということができなくて、そんな自分が嫌だなって思った部分もあったんですけど、もっちーのみんなをやさしくまとめてくれる、あきちゃは……あきちゃはリハーサルからずっと泣いてたんですよ。それだけフレンチ・キスを愛していて、場を和ませながらも役割を果たしてくれるあきちゃと。そんなふたりの魅力に気づいて、気がついたら、私はふたりに頼りっぱなしだったなって思います。

そして、フレンチ・キスはファンのみなさんにも支えていただいたユニットでした。5年間の中で、シングルを出させていただいたり、2年ぐらいシングル出さなかった時も、「フレンチ・キス待ってるよ」って言ってくださる方がたくさんいらっしゃったりとか。ほんとに、家族みたいなみなさんだからこそ、フレキスファミリーという言葉も生まれたのかなって思います。今回の解散という形になって、そんなやさしいみなさんだから、解散してほしくないですとか、寂しいですとか、すごくたくさんの方に言っていただきました。私たちも寂しい気持ちもあるし、もう一回ライブをやりたいくらい、辞めたくないなって気持ちもあるんですけど、でも、あらためてこの5年間と、今日のライブを振り返ってみて、後悔はないかな、と思いました。

この5年間で、みなさんがフレンチ・キスにかけてくださった声だっり、声援だったり。たくさんの愛情を私たちは忘れずに、ここからまた、新たな旅立ちができそうな気がします。

今日、私たちはそれぞれ、フレンチ・キスを旅立って、新たなスタートを迎えますが、これからもこのフレンチ・キスというユニットをみなさん愛し続けていただけたら嬉しいなと思います。みなさん、本当にありがとうございました。

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◆BARKS Kawaii
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