【インタビュー】村上“PONTA”秀一が語る、大村憲司と過ごした日々の思い出

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■憲司が死んだ時に一つの流れが止まったというのがある
■今でも何かにつけ俺は憲司を背負ってるんだよ



▲村上“PONTA”秀一

──ドラマみたいな話です(笑)。

村上:それはデュアン・オールマンっていう、オールマン・ブラザーズ・バンドのギターの一周忌の、ハリウッドボウルでのコンサートのリハだったのね。デレク&ザ・ドミノスでも弾いてるから、その関係でクラプトンがいて、そこに俺と憲司もいた。あんまり気持ちいいんで、勉強だとかいって上がっていって、「ステイツボロ・ブルース」とかやったもんな。(CDを見ながら)憲司の顔を見ていると、兄弟以上の兄弟だったから。

──ずっとつるんでいた。

村上:赤い鳥は10か月で、そのあと五輪真弓と組んだ「エントランス」というバンドをやって、それも10か月。そのあと、なぜかわかんないけどバラバラになっちゃうんだ。憲司は実家の跡を継ぐどうのこうのという問題があって、決断を迫られる時期だったのかな。そのうちに俺はスタジオでクソ忙しくなったしね。

──80年代は憲司さんとは、どんなつながりがあったんですか。

村上:80年代にまた、始まるんじゃないかな。エントランスのあと、ちょっと離れて、3~4年は“憲司をそっとしとこう”って。その時、ラリー・カールトンから買った335(ギブソンES-335)のむちゃくちゃいいギターを、燃やして帰ったからね。それだけ、ケリをつけたかったんだと思う。あれだけギターを大事にする奴が、そこまでやるということは、よっぽどのけじめだったんじゃないかな。実家はけっこう大きな会社だったけど、最終的には、いい大番頭さんがいるから、その人に任せるのがいいんじゃないの?っていうひとことが、救いになったみたいだけど。


▲『ケンポン・バンド~ベスト・ライヴ・トラックスVI』

──それでまた、東京の音楽シーンに戻ってきた。

村上:うん。憲司については……言葉では言えないね。特に女性歌手にとっては影響が大きくて。憲司が急死した時は、大貫妙子が、ニューヨークのミュージシャンと、ギターだけ日本人の憲司でツアーをやる予定だったのを全部キャンセルしたから。矢野顕子もすごいショックだったろうし。やっぱりこいつは、俺にとっては兄弟以上のつきあいで、そばにいて普通という感覚だったんだけど、あらためて考えると、こんな奴は他にいなかったよね。これからもいないんじゃないの? ただ憲司も、Charも(渡辺)香津美も、みんな結局はベンチャーズっつうのが笑っちゃうんだけど。一番最後にレコーディングしたアルバムが、ベンチャーズ大会なんだよね。

──ポンタさん、“憲司のギターは世界一”と、事あるごとに言ってますよね。

村上:そう思うね。赤い鳥でロサンゼルスに行ったあと、帰って来て、憲司の曲で「みちくさ」という曲を、六本木の東京スタジオセンターってとこでレコーディングするんだけど。それが俺にとっての初レコーディング。その時の、ちょっと小さめのオールドのフェンダーのアンプと憲司のストラトは、クラプトンがひれ伏したぐらいだから。クラプトンよりも枯れてるし、チョーキング、ヴィブラート、絶品なんじゃない? 俺は普通だと思っちゃったんだけど、ほかのギターを聴いたら、おまえら何だ?みたいな感じだよ。


──もう最初から、すごかった。

村上:チョーキングを三種類操れるのは、世界中にもそんなにいないから。あとは素養だよね。ベンチャーズの話もしたけど、憲司を初めて見た時がラリー・コリエルの曲で、一緒にやりだした時も、B.B.キングの『ライヴ・アット・ザ・リーガル』から始まって、クインシーからコルトレーンからマイルスから、ジミ・ヘンドリクスからレッド・ツェッペリンからキング・クリムゾンから、あらゆるものをひと晩で聴かされて、発狂しそうになったよ。でも俺は受け入れる許容量がすごく大きかったの。そのへんはものすごく似てると思った。しかも憲司は、ああ見えてウェスの鬼だから。ウェス・モンゴメリーの鬼。あとはケニー・バレルとか、ジャズのオーソドックスなものもよく知っていた。面白かったのは、こいつの、それ風の匂いはあるんだけど、自分なりに料理してしまうというのが、すごい才能だなと思ったよね。


▲写真左より:『男が女を愛する時~ベスト・ライヴ・トラックスIII』『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)~ベスト・ライヴ・トラックスIV』『25周年ライヴ~ベスト・ライヴ・トラックスV』

──歌うような、語るような。すごいギターだと思います。音も太いし。

村上:音色は世界一でしょう。あと、ギター本体もそうだけど、アンプからコードから、ここまで神経質だった奴はこいつ以外見たことない。まあ、今さら人には言っちゃいけない部分もむちゃくちゃよく知ってるけど、対外的に言ったらすごいナーバスで、ガラスみたいな奴だったからね。ただ喜劇人でもあって、笑い話の天才でさ。(近藤)房之助とよく飲んでた頃に、録っておけばよかったという話がいっぱいあるのよ。「ゴルゴ十三(じゅうそう)シリーズ」とか、最高よ。

──よくわからないですけど(笑)。

村上:スナイパー(笑)。最高よ。そこらへんの落語より全然おもろい。

──そういう面もあったんですね。

村上:そう。そういう面が大きいのよ、憲司って。よしもと的な関西のお笑いじゃない、お笑いなんだよね。もうちょっと落語が入ったような、粋な笑い話をよくやったよね。酔っ払うと。……俺は本当に、周りの奴がバコバコ死んでいくけど、憲司が死んだ時には、母親が死んだ時の100倍泣いたな。あんまり泣かない人間なんだけど。そのあともいっぱい死んでいったけど、憲司が死んだあとはもう、屁みたいなもんだね。“はい、いってらっしゃい”って。俺にとっては、憲司が死んだ時に、一つの流れがここで止まったというのがあるよね。ほかのこともいろいろやってたから助かったけど、こいつとべったりだったら、そこでポシャッてしまった自分がいたかもしれない。憲司以上はいなかったかもしれないけど、憲司と同じぐらい興味を持っているアーティストは実際いるし、音楽の形態もそうだし、そういうものがあったから助かった。憲司と俺と通じた仲間たちがいたから、また発展していくことができたんじゃないかな。ただ、いつも憲司を背負ってるというのは、紛れもない事実だよね。今でもそう。何かにつけ、俺はこいつを背負ってるんだよ。

取材・文●宮本英夫

なお、このインタビューの一部の模様を撮影した動画がネット上で近日公開される(12月初旬)予定。こちらもお楽しみに。

リリース情報

『ケンポン・バンド~ベスト・ライヴ・トラックスVI』
STPR004/¥4,400プラス税(2枚組)
11月18日発売
〈収録曲〉
(DISC1)
M1:Mercy Mercy Mercy :3/2 六本木ピットイン
(Music:Joe Zawinul)
M2:I Saw Her Standing There :3/4チキンジョージ
(Words&Music:Lennon=McCartney)
M3:Everyday I Have the Blues :3/2 六本木ピットイン
( Words&Music: Peter Chatman)
M4:Georgia on My Mind :3/3 チキンジョージ
( Music: Hoagy Carmichael)
M5:Hound Dog :3/3 チキンジョージ
(Words&Music: Jerry Leiber/Mike Stroller )
M6:I Ain‘t Got Nothing but the Blues :3/3 チキンジョージ
(Music:Duke Eliington)
M7:Knockin‘ on Heaven’s Door :3/4チキンジョージ
( Words&Music: Bob Dylan)
M8:Dear Mr.Fantasy : 3/2 六本木ピットイン
(Words&Music: Steve Winwood/JamesCapaldi/Chris Wood)
M9:Better Make It Through Today :3/2 六本木ピットイン
(Word&Music:Eric Clapton)

(DISC2)
M10:Greedy Woman : 3/2 六本木ピットイン
(Music:大村憲司)
M11:Ticket to Ride(涙の乗車券) : 3/3 チキンジョージ
(Words&Music:Lennon=McCartney)
M12:Ain‘t Nobody’s Business : 3/4チキンジョージ
(Words&Music: Jimmy Witherspoon )
M13:Get Back : 3/2 六本木ピットイン
(Words&Music:Lennon=McCartney)
M14:Honest I Do : 3/3 チキンジョージ
(Words&Music: Ewart Abner/Jimmy Reed)
M15:Ramblin’ on My Mind : 3/3 チキンジョージ
(Words &Music:Robert Johnson)
M16:Leaving Home :3/2 六本木ピットイン
(Music:大村憲司)

『男が女を愛する時~ベスト・ライヴ・トラックスIII』
STPR001/¥2,400プラス税
4月22日発売
M1:男が女を愛する時_When a Man Loves a Woman(1989.12.29/チキンジョージ)
M2:Summertime(1997.4.12/チキンジョージ)
M3:I Can’t Tell You Why(1991.12.14/六本木ピットイン)
M4:春がいっぱい_Spring Is Nearly Here(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M5:Georgia on My Mind(1998.3.2/六本木ピットイン)
M6:突然の贈りもの(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M7:My One And Only Love(1997.4.12/チキンジョージ)
M8:Left- Handed Woman(1989.5.20/神戸メリケンパーク特設ステージ)
M9:男が女を愛する時_When a Man Loves a Woman (1997.4.11/チキンジョージ)

『大村憲司バンド(ポンタ・セッション・4デイズ!)~ベスト・ライヴ・トラックスIV』
STPR002/¥4,300プラス税(2枚組)
4月29日発売
(DISC1)
M1:Mercy Mercy Mercy
M2:Knock on Wood
M3:Benjamin
M4:Charlotte
M5:Left-Handed Woman
M6:男が女を愛する時
M7:Leaving Home
M8:春がいっぱい
(DISC2)
M9:Better Make It Through Today (Vo:大村憲司)
M10:Bamboo Bong
M11:Rhythm Road
M12:I Can’t Tell You Why
M13:突然の贈りもの
M14:Everyday I Have the Blues(Vo:大村憲司)
M15:Ramblin’on My Mind(Vo:大村憲司)
1989年12月30日 チキンジョージにおけるライヴを全曲収録

『25周年ライヴ~ベスト・ライヴ・トラックスV』
STPR003/¥4,400プラス税(2枚組)
〈収録曲〉
M1-5:1st Night
M6-11:2nd Night
M12-17:3rd Night
(DISC1)
M1:Left- Handed Woman
M2:春がいっぱい
M3:Big Legged Woman  ゲスト:永井隆
M4:男が女を愛する時
M5:Stormy Monday  ゲスト:近藤房之助
M6:Greedy Woman
M7:The Lady in Green
M8:Snow Express  ゲスト:鈴木茂
(DISC2)
M9:My One and Only Love  ゲスト:渡辺香津美
M10:Leaving Home
M11:Breezin’   ゲスト:渡辺香津美
M12:Brown Shoes  ゲスト:寺田創一
M13:0の丘∞の空(ゼロノオカムゲンノソラ)  ゲスト:遊佐未森
M14:Wonderful Tonight
M15:都会  ゲスト:大貫妙子
M16:音楽殺人  ゲスト:高橋幸宏
M17:Local Hero
1997年4月25~27日 六本木ピットインにおけるライヴより収録


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