【ライブレポート】三浦大知の10周年FEVERツアー終了。「みなさんとの思い出が、三浦大知を歌わせるパワーの源」

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ここまで熱狂し続けたオーディエンスに、さらに火をつけることになるのが、「Right Now -Remix-」。ダンサーズがステージから客席に飛び降りたかと思ったら、三浦大知自身もステージではなく熱いフロアの真ん中に遠慮なく行く。中野サンプラザの2階席からは、常套句として字面でこそよく目にするものの、実際は目にすることなどできなかった“熱狂の渦”なるものが、エモーショナルな人のうねりの中で、三浦大知を中心にはっきりと確認できるほど。恐ろしいまでの盛り上がりがこの夜、生み出されていた。

「三浦大知として10周年を迎えました。その中で振り返らせていただくと、その時にあらためて強く思ったのは、三浦大知はライブの思い入れがたくさんあって。僕自身が楽曲を作る時に、ライブを目指して作ることも多いので、そういうところもあるのかなとは思うんですけど、ライブの思い出が多くて。それを思うと、あらためてライブというのはひとりでできるものではなくて。スタッフさんだったり、サポートしてくれるメンバー、そしてこうやって観にきてくださるみなさんがいて、ライブができるので。ライブの思い出っていうのは、言い換えれば、みなさんとの思い出だと思います。みなさんとの思い出が、ずっと、10年、三浦大知を歌わせてくれている、そんなパワーの源なんだなと強く感じています。」

これまでの活動で得たもの、証。それが自分にあるとするならば、自分の10年を証言してくれるのは、ほかでもないファンのひとりひとり。言葉でこそすべてを語ろうとしない大知の想いが込められた「Testify」。さらに後方から照らされるライトに浮かび上がる大知が、マイクを腰のあたりに下げて構え、アカペラで歌い始める「Anchor」。逆光で表情まではわからないものの、目の前に広がったステージ上の光景は、ある種の神聖さすら醸しだして、これまで三浦大知が歩んできた10年、これからファンとともに歩む未来への想いを描き出す。そして次の10年も、その先もきっと三浦大知とファンの間に存在し続けるのが、無条件に楽しいといえる三浦大知の「music」。終盤の展開は、三浦大知からのそんなメッセージだったのかもしれない。

アンコールでは、21公演ずっとやり続けた「FEVER!」の一言が放たれる。「これはいいんですよね。ただね、毎回やってきたんですけど、ずっと思っていることがあるんですよ。21公演、ずっと。……ダサい(笑)」などと話しながらも、「できれば腰に手を置きたいんですよね。」と、大知が「FEVER!」へのこだわりを語ったことで、観客からは「FEVER!」にもアンコールが。もちろん大知はこの声に応えて「はい、精神を統一して……FEVER!」と、再び披露。そして笑いと拍手に包まれながら、「三浦大知の音楽がみんなの“気づき”になってほしい」という夢を語り、アンコールの1曲「My Day」へ。

「三浦大知の音楽、エンターテインメントに触れた時に、なんか新しい自分と出会って、新しい自分の気持ちに気づいて、一歩前に踏み出したり、自分の新しい明日に向かって歩くことができたり。そういうふうに三浦大知の音楽がなっていったら最高だなって思います。今日、みなさんが感じたこととか、もしあれば、それを、その“気づき”をパワーにして、それぞれの『My Day』を歩いてみてください。そしてその『My Day』を重ねた先で、またこうしてFEVERできる日を楽しみにしています。」

しかし、これまでの三浦大知のライブが、ボーカルやダンスパフォーマンスといった彼の音楽的才能で観客を圧倒するものだったとすると、今回のツアーは、これにコミカルさをも含めたエンターテインメント要素が加わり、結果的に、また新たな三浦大知のライブエンターテインメントを提示することができた(本人曰く、アルバムから続く流れの中で自然と今回のライブが組み上がったそうだが)。大知の言う「かっこいいの最上級は“爆笑”」ならば、今回はかっこよさの点だけでなく、面白さという点でもまた爆笑。まさに“爆笑”に次ぐ爆笑。いや、これを素直に文字にしてしまうと、お笑いのライブか何かかと誤解されてしまいそうになるのが若干もどかしいところではあるが、これが現在進行形で進化し続けていく三浦大知の、もっとも新しいライブの形。

そしてなにより、アンコールも終わり、大知がステージを後にして暗転した中で響く歓喜の声と拍手喝采。そして客電がついた後に見えるひとりひとりの満足そうな笑顔。実際に全国各地どこからの会場に足を運んだ人たちは、その瞬間、自分の心の中に残った感情。

それが三浦大知が届けたかったFEVERのすべてである。


ところで余談だが、終演後、今回のツアーの“裏テーマ”について思い当たるフレーズ、つまり今回のツアーの裏テーマは“ブログの更新”ではないか、というのを本人にぶつけてみた。大知はこの問いに「そうですよ。」と笑っていた。これがただ単に、大知がこちらに話を合わせてくれただけなのか、はたまた本当に裏テーマ(のひとつ)だったのかは定かではない。しかし、もしこれが本当に裏テーマとしてあったならば、今回のツアーは無事に全日程が終了したが、あとほんの少しだけ、いつもの「なんとブログを更新しました」のフレーズが、Instagramで本人から発信されるまではその余韻が続きそうである。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
※11/14 19:29追記 最後の段落をよりわかりやすく書き換えました。



→ 次ページは『DAICHI MIURA Choreo Chronicle 2012-2015 Plus』の話
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