【インタビュー】コラブロ「全部日本語で歌ったアルバムを作りたいよ」

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セカンド・アルバム『アクト・ツー~コラブロ第二幕~』をリリースしたコラブロが、今月、初めての日本ツアーを開催した。

◆コラブロ画像

5月からこの半年で3度目の来日。いまやすっかり日本通のメンバーは、今作の日本盤ではミュージカル『レ・ミゼラブル』の名曲「夢やぶれて」を日本語でカヴァー。コンサートでも、日本語の歌詞を暗記し披露してくれた。

5人に、初の日本公演やニュー・アルバム、日本への想いについて語ってもらった。

――初めての日本ツアー、いかがでしたか?

マット:最高だった! 日本でちゃんとした公演をやるのは初めてだったし、とくに、日本語で「夢やぶれて」を歌ったときのリアクションはすごくて、それを見られたのは嬉しかったよ。すごく歓迎してもらえた。

マイケル:5月に初めて日本に来たとき、11月にツアーで日本に戻って来られるなんて夢にも思ってなかった。こんな機会に恵まれて、本当に嬉しい。もう、次の来日について話してるんだ。楽しみだよ!

トム:たくさんのファンに会えて、嬉しかった。

――あなた達にとってのハイライトは?

ジェイミー:オーディエンスのリアクション。

トム:そう、とくに「夢やぶれて」はすごく気に入ってもらえて…。

マイケル:この前、来日したとき、イギリスと日本の習慣の違いに気づいた。日本のオーディエンスって、曲がちゃんと終わってから拍手し始めるでしょ。でも「夢やぶれて」を日本語で歌ったときは、曲が始まってすぐに大拍手があった。「スターズ」のときもそうだった。1小節目で拍手が巻き起こった。それ見たときは、嬉しかったよ。


――セカンド・アルバム『アクト・ツー』が日本でもリリースされました。

一同:イエーイ!

ジェイミー:僕ら、とてもハッピーだよ。

――デビュー・アルバムが成功したことで、このアルバムを作るのはプレッシャーを感じましたか? それとも、逆に自由にやることができた?

マット:今回は、僕らになにを歌って欲しいか、ファンにリクエストしてもらったんだ。だから、すごく楽しい体験だった。デモを作る時間も前作よりあったし…

リチャード:そう、1stアルバムはすべてを完成させるのに9日間しかなかったんだ。日程を決めて、スタジオに入って一気に作った。今回は、ファンにリクエストしてもらって、100曲あった中から僕らがいいと思ったものを20曲選んだ。それをデモにして、10曲にしぼったんだ。その10曲をあらためてレコーディングした。だから、曲について学ぶ時間がたくさんあった。それに、日本盤のために「夢やぶれて」を日本語で歌ったんだよ。

――5月にお会いしたとき、いつか日本語で歌いたいと言っていましたよね。それがもう実現。

リチャード:ほんと!

ジェイミー:僕ら、もっとやるよ。もっと日本語で歌う。

トム:全部日本語で歌ったアルバムを作りたいよ。

マイケル:「夢やぶれて」を日本語でレコーディングした後、日本ツアーが決まって、歌詞を覚えてくれって言われたんだ。ジェイミーと僕は、無理だ、オートキューを使おうって答えたんだけど、やってみたら覚えるのがすごく楽しかった。いまは完全に暗記してるよ。


――英語以外で歌うことってよくあるのですか?

ジェイミー:スペイン語で歌ったことはある。イタリア語もあるね。でも、ちゃんとレコーディングしたのは日本語が初めてだよ。日本のことをどれだけ大切に思っているかって証拠だ。僕ら、日本が大好きだからね。日本のファンが大好きなんだ。だから、僕ら、この先も日本語で歌い続けたいんだよ。

――ファンからたくさんのリクエストが挙がった中、どのように10曲にしぼったのでしょう?

ジェイミー:人気があった20曲を選んで、デモを作ったんだ。その中から、アルバム全体の流れに合うものをって考えた。

リチャード:そう、アルバムってそれ自体が1つの旅になるわけだからね。どの曲がよく出来たかではなく、どの曲がその流れに相応しいかなんだ。

ジェイミー:今回はよかったよ、時間をかけることができたからね。それに、僕らは前作のときよりシンガー、グループ、人間として成長したと思う。プロデューサーも僕らの声をとても理解してくれている人たちだった。1人はオペラ歌手で、1人は元指揮者だった。グループとしてだけでなく、僕ら個人の声もよく理解してくれたから、今回のアルバムではヴォーカルのクォリティがとても高くなっている。それに、自分たちの力を発揮する時間が十分に取れた。

――どれくらい時間をかけたのですか?

リチャード:2ヶ月だったよね?

トム:そうだね。

リチャード:クリスマス前にデモを作り始めた。それで、ツアーがスタートする前、1月にちょっと手を加えて、ツアーが終わってすぐにレコーディングを始めたんだ。

ジェイミー:レコーディング自体は1週間だった。でも、プロセス全体には時間をかけている。

トム:マットと僕は、ツアーが終わった翌日に僕らのパートをレコーディングし始めたんだ。疲れていたけど、毎日歌い続けたことで声が力強くなっていて、いいタイミングだったと思う。それに、20曲デモを作って10曲をアルバムに収録したってことは、僕ら、まだ10曲、みんなが聴いていないレパートリーがあるってことなんだ。まだ、どんな形になるかわからないけど、これもファンのみんなに聴いてもらいたいって思ってる。


▲マイケル・オーガー


▲リチャード・ハッドフィールド


▲ジェイミー・ランバート

――1stアルバムがコラブロを世に紹介する作品だとしたら、この2ndはどう表しますか?

ジェイミー:グループとしての僕らを象徴するものだね。

リチャード:グループとしてのハーモニーやサウンドが固まったと思う。これが僕らで、僕らができることで、僕らが続けていくことだ。

マット:あとほら、大切なこと言わないと。

トム:そうだ、ファンにリクエストしてもらって生まれたものだから、僕ら、よくこう言うんだ。ファンによるファンのためのアルバムだって。

――では、今回最大のチャレンジは?

ジェイミー:すべてのプロセスが楽しかったよ。

トム:そうだね、リラックスしてた。

ジェイミー:あるとしたら、アレンジかな。より複雑になってる。1stアルバムは、ヴァース、コーラス、ヴァース、コーラスが多かった。今回、僕らの声はもっと美しいパターンを作り出している。

マイケル:よく注意して聴くと…、「ミュージック・オヴ・ザ・ナイト」の最後の“ナイト”って歌っているところ、僕ら全員、別々にレコーディングしたんだけど、プロデューサーはそれを1つにまとめるんじゃなく、トム、ジェイミー、リチャード、マイケル、マットって順でそれぞれの声を繋げていったんだ。だから、よく聴くと1人1人の声がわかると思うよ。はい、今日家に帰ったら、それチェックしてみてね(笑)。

――してみます(笑)。では、それぞれのお気に入りの曲を教えてください。

リチャード:僕が好きなのは……

マット:チョコレート(笑)。

リチャード:えー(笑)。ころころ変わるんだよ。でも、「アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー」は大好きだ。すごくオリジナルでユニークなカヴァー・ヴァージョンになっていると思う。

マット:僕は「サークル・オヴ・ライフ」だね。アレンジが素晴らしくて、最後に向けどんどんビッグになっていく。

マイケル:僕は「アイ・ドリームド・ア・ドリーム」。レ・ミゼラブルの曲で、僕らのキャリアはレ・ミゼラブルの「スター」で始まったでしょ。だから、このミュージカルには思い入れがある。それに、日本盤では英語ヴァージョンと日本語ヴァージョン(「夢やぶれて」)の両方が収録されている。

ジェイミー:僕は「メモリー」が1番好きなんだ。子供のとき、『キャッツ』を観に行って、すごい曲だって思った。その感覚、ずっと忘れてたんだけど…、そのあと、誰か別の人が歌うの聴いても何とも思ってなかったんだけど、自分たちのヴァージョンを聴いたとき、あの感動が蘇った。

トム:僕のお気に入りは「ノー・マター・ホワット」だね。5人全員、それぞれの声が光ってる。次はマットのパートだ、いいなとか。一人一人の声、それにグループとしての声も両方いい。あと、この曲はあまり有名なものじゃないから。僕はアンダードッグが好きなんだ。

――前にお話ししたときに、「いつも一緒にいることで、より親しくなれた」と言っていましたが、いまでも「彼、あんな人だった?」なんて発見はありますか?

トム:あるよ。お互い、いつも新しい発見がある。

マット:今日もあったじゃない。

ジェイミー:なに?

トム:ジェイミーは自分のことで新しい発見があった。さっきのインタビューで(笑)。

ジェイミー:そう、僕は25歳だったんだ! 24歳だって言い回っていた。

――今日、25歳になったわけじゃないですよね?

ジェイミー:6月だよ。でも、頭の中で否定していたんだろうね。30に近づくのが嫌で。

マット:忘れたって言っているだけだ(笑)。

トム:毎年、1歳サバよむんだ(笑)。

マイケル:僕らがグループを結成したとき、リチャードが最後に加入したんだけど、実際に全員が会うまでちょっと時間があって、リチャードが「こんにちは。まだ、みんなに会ったことないけど、よろしく」みたいな感じのグループ・メールを送ってきたんだ。「みんなに会うの、楽しみにしてるよ。でも、その前にちょっと話さない?」って。でも、それに返事したのは僕だけだったんだよ(笑)。後でわかったんだけど、ジェイミーはコラブロを始める前、人との付き合いが苦手だったんだ。

ジェイミー:そう。すごく親しい数人と付き合うだけで、なにかの仲間に入るのって好きじゃなかった。だから、コラブロっていう仲間ができて、毎日楽しいのが自分でも驚きなんだ。

――マイケルしか返事をしなかった?

ジェイミー:そう、それ読んでて、フレンドリーな奴だなって思ってた(笑)。

リチャード:誰も僕と友達になりたがらなかった(笑)。


▲マット・ペイガン


▲トム・レッドグレイヴ

――もうじき、クリスマスです。この時期の予定は?

一同:イエーイ!

ジェイミー:クリスマス・ツリー飾るの、楽しみにしてるんだ。それに食事。

マット:みんな、自分の母親のクリスマス・ディナーが1番だって言うよね。

トム:日本ではケンタッキー・フライド・チキンなんでしょ? 

リチャード:だったら、僕はここに残る(笑)。

――では、2016年の目標は?

ジェイミー:ツアーがある。それに、絶対にまた日本へ戻ってくる。

マット:音楽を作り続け、ツアーをやり続けたい。

トム:僕は、コラブロ・ドールが欲しい。

マット:それ、どのインタビューでも言ってるよね(笑)。

――最後にジェイミー、発達性協調運動障害の人たちを支援する活動をしていると聞きましたが、よかったら、そのことについて教えてください。

ジェイミー:この障害はあまりよく知られていないけど、ボールが片手で投げられないとか靴の紐を結べないとか日常のちょっとした動作がうまくできないんだ。僕もずっと苦しんできた。臨床心理士に診てもらったり道具を使うことで、上手く対処できるようになったよ。でも、子供のときはそれを抱えながら生きるのは大変だ。僕はコラブロの本『Our Story』の中でこのことについて公表した。それを読んだ支援団体から、この障害について関心を集めるためにパトロンになってくれないかって連絡をもらったんだ。もしこの障害を持つ人が日本にもいるならば、後ろ向きにならないで欲しい。問題だと思うのではなく、受け入れて欲しい。僕は、これも僕の一部なんだって思うことで、克服することができた。

――ありがとうございました。

コラブロの新作『アクト・ツー』は、ミュージカルからの楽曲を中心に、コーダラインやジェイソン・ムラーズの曲もカヴァー。ファンに後押しされ、新境地を切り開いた。

Live pix by Kayoko Yamamoto
Ako Suzuki

『アクト・ツー ~コラブロ第二幕~』

2015年11月4日 日本盤発売
SICP-30851 \2,778+税
1.オール・アイ・ウォント(コーダライン・カヴァー)
2.アイ・ウォント・ギヴ・アップ(ジェイソン・ムラーズ・カヴァー)
3.ア・サウザント・イヤーズ(クリスティーナ・ペリー・カヴァー)
4.アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー(ザ・レンブランツ/フレンズのテーマ・ソング)
5.アイ・ドリームド・ア・ドリーム(レ・ミゼラブルより)
6.メモリー(キャッツより)
7.フー・ウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエヴァー(ウィー・ウィル・ロック・ユーより)
8.ミュージック・オヴ・ザ・ナイト(オペラ座の怪人より)
9.ノー・マター・ホワット(ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンドより)
10.サークル・オヴ・ライフ(ライオン・キングより)
日本盤ボーナス・トラック
11.ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス
12.ホワイト・クリスマス
13.夢やぶれて(日本語カヴァー。レ・ミゼラブルより)
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